第2話
「...ぃ..て..お...っ...おきろ!!」
バシッ
「っつ...!!!」
突然の怒鳴り声と頬の痛み。
親にも叩かれたことないのに!!と思ってると突然声が降ってきた。
「起きたか...見かけない顔だがお前どこから来たんだ?」
誰だよ俺の睡眠邪魔した阿保は...。と思いながら上を見上げると...美少女がこちらを見下ろしていた。
....誰!?なにこの美少女!?日本人なの!?と脳内で独り言を叫んでいると
「聞いてるのか?何処から来たのかと聞いている」
もう一度同じ問いをしてきた。俺もその声に冷静になって周りを見渡してみる。
俺は綺麗な和室の中におり、戸?には色とりどりの目が沢山動いてる模様がついている。....目が動いてる?
「う、うわああああ!!!!」
「な、なんだ!?奇襲か!?」
俺の声にびっくりしたのかさっきの女の子が刀に手をやり、動いてる目のほうに向け刀を抜いた。
「...何にもいないじゃないか。驚かすな」
「え!?で、でもめ、目が!!」
「何言ってる。ただのそこら辺にいる妖だろ」
こっちに怪訝な顔を向け言ってくる。
てか、この人今妖って...。それにこの人....刀持ってる?
「あ、あの...その刀ほ、本物ですか?」
「当たり前だ!偽物なんか持ってるわけないだろ!」
「す、すいません!!」
やばい...。脳内で危険だから逃げろと俺に誰かが言ってくる。
けど、チキンな俺には足が震え逃げることも立つことでさえできない。
「もう一度言う。貴様何者だ」
「に、人間です!!」
焦って出てきたのは当たり前のことだった。やばい...殺される!!そう思って目をつぶり痛みに備えてる。....が何にも痛みがない。不思議に思って目を開けると....こっちを見て口を開けてポカーンとしてる姿が目に入った。
そして、その美少女が突然笑い出した。
「ぶはははっははは!!!!!」
お腹を抱え、目に涙を浮かべ爆笑してきた。....人間って言っただけなのになんでこんなに笑われるんだ?そう思いながら笑ってる美少女を見てみる。
よく美少女を見ていると可笑しな点に気付いた。
何故かその美少女は何というか...今の日本ではありえない格好をしている。
ミニスカートまではまだいいが服は綺麗な様々な色をした蝶が描かれている着物をしていて、腰には刀が刺さっている。しかも面白いことに頭から猫耳が生え、しっぽが二つ生えている。
冷や汗を流し頑張って状況を理解しようとしていると笑いを収めた美少女が俺に言ってきた。
「冗談でも人間と言わないほうがいいぞ。ここは田舎じゃないんだ。様々な妖怪がいるから人間だと冗談でも相手に言ったら一口で食われてしまうぞ」
「く、食われる?」
「そうだ。当たり前だろ。我々妖怪にとっては人間はご馳走の中でも最高のご馳走だ。誰だって人間を食いたいにきまってる。」
食いたいに決まってるって...俺、どうなんの?
涙目になりながら今後のことについて考えた。
妖怪というのを信じるとして(てか、信じるしかないだろ)この先どうすればいいのか....気が遠くなる。
そんなことを考えているともう一度あの質問をしてきた。
「で、貴様は何者で何処から現れた」
「えっと...あの...」
俺が吃っていると美少女は何を勘違いしたのか俺に言ってきた。
「そうか!お前記憶喪失だな!!」
「へ?」
座ってる俺の前で仁王立ちで立ちながら頷いている美少女を思わず見てしまう。
「なんだ?違うのか?」
首を傾げながら俺に聞いてくる美少女を見ながら俺はあることを思いついた。
ここで記憶喪失って言ったほうが都合がいいんじゃ...。と
「そ、そうです!そうなんです!実は俺名前しかわからないんですよ!気付いたらここにいて!」
「うむ。そうなのか。そうとは知らず怒鳴ったりして悪かったな」
そう謝りながら美少女は座ってる俺に手を差し伸べる。
戸惑いながら俺は美少女の手に自分の手をのせる。
美少女の手は雪のように白くスベスベで小さく、まさに女子という手をしていた。
美少女は俺の手を引っ張り起き上がらせ俺に自己紹介をした。
「私は猫香。猫又だ。よろしくな」
「俺は...しぐれ。紫暮だ。」
「紫暮か...いい名前だな」
「ありがとう」
そう言いながら握手をすると猫香が何かに気付いたように声を出して、俺に「まってろ」と言い、襖の向こうに行った。...にしても襖にある目からすごい目線を感じる。チラッと襖のほうに目を向けると、襖の目が俺をガン見していた。はっきり言って...怖い。
「こ、こんちにわ?」
勇気を出して挨拶をするとありえないくらい目を瞬かせながらこっちを見てきた。
「ひっ...!!」
びっくりして情けない声をあげながら尻餅をついた。
それから向こうが俺をガン見し、俺は震えながら向こうをおびえた目で猫香が来るまで見つめあっていた。
それから何分か立ったら俺が見ていた目が動き、襖が開いた。
「悪かったな待たせ...何やってんだ?」
「な、なんでもない!」
きょとんとした顔をしながらこちらに目を向けた猫香の目を逸らして立ち上がった。
「別にいいが...ほんとに大丈夫か?」
そんなことを言われ俺が大丈夫と答えると猫香が「でも顔真っ青だぞ?」と言ってきた。
猫香が見るには俺は死人のような顔をしているらしい。知らなかった...。
そんな俺の様子を見て、猫香が興味を無くしたのか俺に刀を差しだしてきた。
「これは?」
「お前がここに落ちてきたときお前が手に持っていたいたものだ。」
俺が落ちてきた?持っていた?まったく記憶にないことに悩ませていると猫香が「そういえば記憶がないんだったな。」といって「護衛用に一様持っておけ、世の中物騒だからな」そう言って俺に刀を握らせた。
「もう遅い。明日に備えて寝るぞ。紫暮はこの部屋を使え」
そう言って猫香は布団を素早く引いて「私はもう眠い。おやすみ。明日町を案内してやる。」そう言って出て言った。
行動が素早いな...と思いながら俺は襖の目を見ないように布団に入り、刀を布団のそばに置いた。
ご飯食べてないし、歯も磨いてないし、風呂にも入ってない...と思っていると意識がどんどんなくなっていき夢の中に入っていった。
なんだかんだ言いながらこの状況を楽しんでいる俺がいたことは誰にも内緒だ。と思いながら。




