プロローグ
真夏。
それは普通に過ごしているだけでも溶けてしまう時期のことだ。
コンビニでアイスを買っても家に着くころには溶けて原型をなくしてしまう。
それに加え、俺の住むとこは田舎の中の田舎。
コンビニなんて歩いて45分くらいの所にあるもう少しで撤去されそうなくらいな錆びれた1軒だけだ。
唯一この田舎に住んでいてよかったと思うのは夏になり夜、森に入って川の近くで綺麗な蛍たちを見ることだけだ。それ以外によかったと思うことあまりない。
といってもその川の近くには不気味な神社があり、本音を言えば怖すぎていくら蛍が綺麗でもあまり一人では行きたくない場所だ。そんな神社だが昔おじいちゃん、おばあちゃんにあそこは妖怪の世界とつながっている大事な場所だからちゃんと敬意をもってあそこに行かないと妖怪達に向こうの世界に連れていかれてしまうぞと言われ昔の俺はその言葉を信じてしまい向こうの世界に行きたくないため毎日のようにお参りなどをしていた。
今はそんな言葉を信じておらず、お参りなどにはもちろん行っていない。
それがいけなかったのか。それともあの場所に行ったのがいけなかったのか。
それともいけなかったのではなくよかったのか・・・。
今の俺にはわからなかった...。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「泣かないで...。綺麗な顔が台無しだ」
「私...そんなつもりじゃ...」
「あーあ。もう少しだったのになー」
「あんた今までどこにいたの!?」
「君が持ってるそれ...もしかして妖刀かい?」
このお話はごく平凡な自分と妖都と言われる妖怪が住む場所で出会った妖怪達と笑いあい、時には喧嘩をし、友情を深め合い、妖怪と恋に落ちる奇妙な物語。
そして・・・・
その妖怪達との最後の別れまでの奇跡の物語。