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そんなチートならお断りします。  作者: ぷりん・ざ・さーど・えくすぺりめんと
かんべんしてよ編
8/17

頭文字さん、かんべんしてよ。(……追記)

かなり、お下劣です。

とくに女性は、閲覧注意かも。

あと、乳製品好きな人も、閲覧注意です。

 ……遠くで、小鳥がちゅんちゅん鳴く声が聞こえる……

 俺が、頬に暖かい日差しが当たるのを感じた。

 

 ……目を覚ますと、フロント・ウィンドウ越しに、広葉樹が一本、生えているのが見えた。


「ふぁぁ~」


 あくびをしながら、助手席から体を起こす。

 ……いったい、どれくらい眠って……いや、気絶していたのだろうか……


 車のドアを開けて、外に出る。


 穏やかな風に(ほお)()でられながら、辺りを見回す。


 俺は、小高い丘の上、一本だけ生えた木の木陰(こかげ)に立っていた。

 足元は、見渡すかぎりの大草原だった。


「おお、やっと起きたか」


 後ろから声を()けられた。


 振り返ると、(じい)さん……神さまが立っていた。

 左手に持ったボードに、ボールペンで何やら書いている。 


「神さま……こ……ここは、どこですか?」


「んん? ああ、ここが『わきが峠』じゃ……」


「わきが峠って……ここが? 見渡す限りの草原ですよ? いわゆる、ひとつの走り屋ご用達(ようたし)ワインディング・ロードは、どうしたんですか? 紅白デビルは?」


「だから、連中が走っていたのとは別の惑星の『わきが峠』じゃ。 ワシらは、別の惑星……異惑星に転送(ワープ)したのじゃ」


「それで、勝負はどうなったんですか? 走り屋どうしの戦いは……」


「まあ、ワシらの勝ちじゃな。だって、ワシらの方が先にこの『わきが峠』に着いたもん」


「……でも、ここ異惑星なんでしょ?」


「異惑星じゃろうが、何じゃろうが、ここは『わきが峠』といったら『わきが峠』なんじゃ! とにかく、わしらの勝ちじゃ」


「何なんだよ、そのルール……」


「細かいことは、気にするな。……これで『異惑星に転送(ワープ)したら……』の部分はオッケーじゃな。あのウシトラ姉妹、二人とも、このドーテーのアホガキに惚れとったようじゃから『エイリアン娘にモテモテな件w』の部分も、良し、と……」


 (じい)さん、なにやらブツブツ言いながら、ボードにカリカリ書き込んでいる。


「……何すか……それ……」


 俺は、爺さんの肩越しに、そのボードを(のぞ)きこんだ。


「これか? これはチェックリストじゃ。 いわゆる、ひとつの『TODO』ってやつじゃな」


「チェックリストって、何の?」


「内容も決めないまま、な~んも考えずに『売れ筋のタイトル付けりゃPVホイホイじゃろ』っと、適当に題名をつけてしまったからのぅ。ここまで、タイトルと内容が一致しない状態が続いてしまった……」


「はぁ……?」


「まあ、言ってみればズル(チート)しちゃったのよ。それで、このままだと管理者側に(にら)まれて、最悪『垢バン』じゃ。そんな事になっても詰まらんから、こうして後付(あとづけ)で内容とタイトルを一致させようと言うわけじゃ」


「……管理者? 垢バン? 俺には、何のことだかサッパリ分からないんですけど……」


「分からんでええ。こりゃ、いわゆる一つの『第四の壁を越える』ってやつだからな……くわしく知りたければ『ファンタジーものの表現について 青葉台旭』でグーグル検索するように」


「うわ、ひでぇ……何ですか、その露骨なPV誘導は。それこそ垢バン注意ですよ……」


「お前、ほんとは全部分かっとるじゃろ?」


「え? 何のことですか? ボク、分かんない……」


「……まあ良いわい……異惑星に転送(ワープ)、うっかりチート超能力発現、エイリアン娘にモテモテ。この上位ランキングにおけるテッパン三要素のうち、ワープとモテモテは、クリアしたからの。あとはチート超能力だけか……おい、ドーテー」


「はい……って、ドーテーって俺のことっスか? いつから『ドーテー』っておれのオフィシャル・ネームになったんすか?」


「そこに、こだわるな。とにかく、今から貴様にチート能力を(さず)けてやろう」


「ま、まじっスか? いいんですか? ホントに?」


 いきなり俺のテンションMAX。


「……で、どの種類のチート能力が良い?」


「ど、どの種類って……チートにも色々な種類があるんですか? ……あ、ああ、なるほど……つまり、どのステータスを無限大にして欲しいか、ってことですね? そうだな~やっぱりここは男らしく(ストレングス)かなぁ……いやいや、いかに強くても一発で削られたら終わりだからなぁ……ここは、やっぱりHP(ヒット・ポイント)無限大か……いやいや、待てよ……体力削られる前に先制攻撃しかければ良い訳だから、そうすると敏捷性(アジリティ)かな? いやいや、やっぱりMP(マジック・ポイント)無限大っしょ。無限に治癒(ヒール)してけば良い訳だから……」


「おまえ、何言ってんだ?」


「だから……チートの種類……」


「アホか。チートの種類って言ったら、あれしかないだろ? パルメザン・チートに、モッツァレラ・チートに、チェダー・チートに、ゴーダ・チート……」


「ぱ……ぱるめざん、ちーと……?」


「便利じゃぞー。パルメザン・チート」


「何すか、それ」


「ミートソース・スパゲッティの上でな……」


「……はあ……」


「思いっきり、頭を()く」


「……」


「そうすると、髪の毛の中から、ボロボロと粉状のものが落ちてきて、ミートソースの上に降りかかる。すると、あ~ら不思議、スパゲッティ・ミートソースのコクと旨みが一段と濃厚に……」


「そ、それのどこが、チートなんですか」


「チートじゃないか。振りかけるだけでミートソースにコクと旨みが加わるんじゃからのう。あ、ただし、熟成に六ヵ月かかるから、最低半年間はシャンプー禁止な」


「いりません! 絶対に要りません! そんなチート」


「そうかぁ? けっこう便利じゃと思うぞ……じゃあ……おっ! そうじゃ!」


 (じい)さん、ここでポンッ、と、手を打つ。

 なんか、(ひらめ)いたな。コイツ……


「カマンチョベール・チートにしよう! そうだ! それが良い! ドーテーのお前にピッタシじゃ!」


「か……か、まんちょ、べーる……」


「このチート能力を(さず)かるとだなぁ……何と……驚くなよ……」


「……」


(わき)の下から、女の()()()の匂いが出るようになる……」


「……はあ?」


「しかも、飛びっきり濃厚なやつ……普通の女の三倍くらい強烈な匂いが……」


「あ、あの~それの、どこが、チートなんですか? 返答しだいでは、殺意おぼえますよ」


「ドーテーのお前がじゃなぁ……一人エッチをするときにな……()めるんじゃよ。 自分の(わき)の下を」


「……」


「そうすると、女のまんまんをクンクンしている気分が味わえて、もう最高じゃ」


「……」


「ほど良く、モジャ毛も生えておるし……」


「……」


「おまけに、クンクンしているのは自分の(わき)の下だから、()められてる女の気分も味わえて、一石二鳥!」


「い、嫌だ……俺、絶対に嫌ですからね……」


「何じゃ、三倍じゃ物足りんのか? 欲張りじゃのう……仕方が無い。今回だけ、特別サービスとして、五倍強烈な匂いを授けてやろう……」


「やめろーっ! やめてくれぇーえええええぇえぇえぇ……」


 俺は、手術台に縛り付けられた本郷タケちゃんライダーのような悲鳴を上げたが、もう遅かった。


 ……こうして、俺は、神さまの魔法によって『怪人、まんまんワキガ男』にされてしまった……

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