25話目 辺境のお家騒動につけ込んで漁父の利を得ようと画策して、予想を超える成果?を上げることになったことについて、語られるくだり
辺境の森林地帯で行われた、当事者から見ると惨劇で、第三者が見ると喜劇である、よくある戦闘のあれこれが、ざっくり描写されるくだり。
さて、色々準備を整えてみる。戦場をコントロールするというか戦場を作り上げる。ちょっと特殊なやつ。迷宮の機能を最大限に生かした奴。その場所は、開けたところではあるものの、ワタシこと卵の魔法使いの領域にしてみる。この領域で起こることは全て把握できるように”目”と”耳”を配置、センサの感度を上げて、対応する神経速度も極速に。ちょっとした高難易度のゲーム感覚?でセッティング。少し霧を出す。視界を覆うほどではない、けど、認識をごまかすような感じで。魔法の粒子、全ての因子に影響を与える不思議物質を使ったジャミング。魔法による探知そのものもごまかすように、そもそも何か不思議があってもそれを不思議と感じないような領域を作り出す。基本となる認識阻害の術式をいじり倒して作り上げたほぼオリジナルな魔法。ただし、古来より、迷宮内では似たようなことができる、もしくは自然現象(?)で発生はしている模様。
気分としては、カウチにあぐらをかいて座って、ポテトを食べている感覚?ただ、その手にはゲームのコントローラーが握られていて、目は、モニタを注視している感じで。入力用のデバイスを複数手元において、マニュアルで色々リアルタイムに影響を与えられるように準備。さて、軽く指やら、音声認識やら、視線誘導やら、をテスト。森の木々が不自然に揺れる。風が認識した通りに舞う、地面がまるで海の様に波打つ。余談だが、海の知識はあるみたいワタシ。波動の計算式として認識しているのかな波を?加えて、ワタシの意図を組んで動くユニットとして、猫耳少女を配置、プラス、雀達の目と耳も平行利用。制御は半自動で双方を動かしてみる。猫耳少女は隠密性を主体とした装備、森にとけ込むようなマントをつけさせて、いる。まあ、認識を阻害して、そこにあるのは判別できるけれど、それに不信感を持たせないようにしているので、これは保険というか、様式美のような装備ではある。
辺境伯妾腹のご令嬢、村めぐり行脚御の御一行が、次の村へと進む途中、見通しの悪い森の道で傍観というか、戦闘勢力に襲撃を受ける予定。その襲う側は、跡継ぎ争いをしている、辺境伯ご子息の私兵、しかし、それを見越して、さらにその外側から、令嬢側は、隠し球の、彼女の情夫?が持つ精鋭の隠密襲撃部隊でもって逆包囲をかまして、その私兵を倒してしまおう、というシナリオ。ワタシは特にその筋書きには介入しない。また、それを監視している彼らの上位統治機構に所属する一段にも別に何もしない……まあ、ワタシがすることを認識できないようにしているのは、襲撃をしあう連中となんら変わりはないわけだけど。そもそも、監視しているその機関のエージェントはワタシ達辺境迷宮組に取り込まれているわけだし、吟遊詩人、の目はワタシの目と同じ。
霧を心持ち深くする。森の道、倒木で塞がれた箇所、それを発見し、疑惑のセリフを吐くご令嬢の護衛の先頭騎手、そして、彼に森から放たれる矢、首筋に吸い込まれて、きょとんとした表情で落馬するその年若き護衛。カウント1。襲撃を告げる声、時の声をあげながら突っ込んでくる私兵と、雨霰のように、令嬢の護衛達に放たれる炎の魔法。私兵の奇襲は成功しているように見える。ばったばったと護衛がなぎ倒される。高温の炎、鋭い風の刃、氷でできた槍など、各種見栄えの良い魔法が放たれて、まるで機銃に掃射される歩兵のごとく、護衛達がなぎ倒されていく。
連度がやや低い、もしくは、若い護衛が多いせいか、面白いように護衛達がすりつぶされていく。カウントは2、3、4、5、と増えていく。死亡数のカウントを画面下に出すようにしたのはなかなか秀逸ではないだろうか?と自画自賛。年若い護衛の騎士たちが、自分の身に起きた、信じられない、信じたくない、現実を直視できずに、次々と散っていっていく。おお、お母さんとか叫んでいる子もいるな。それでも、ある程度の実力やら、運の良いものは、最初の奇襲を生き延びる。護衛の騎士団のリーダである少年や、その側近、そして、護衛対象である令嬢も、分厚い防護(魔法的なもの?)によって守られている、それでも幾人か手だれの側近が初撃で沈んでいるが、悲痛な叫びを上げているリーダの少年。令嬢は箱形の馬車の中。戦闘力のある侍女がかばっている。
襲撃側の私兵、接近戦用の武具を構えた部隊が切り込む。遠距離からの手が弱まっているのは、準備した大きな魔法が切れたせいか?弓矢で安全圏から切り崩すのではなく、直接殴りにいっているのは戦闘を短期で終わらせたいからだろうか?ノリと勢いである可能性もあるけれど、防御を固められるまえにひっかき回す方が、有利と見ているのだろう。まあ、しっかりと盾を展開すれば弓矢の効果は薄いだろうし、普通の盾、木製のものでもそれを貫ける飛び道具が無いということか、あと当然護衛側もうって出るので距離を詰められると弓矢は使いづらいか。
というわけで、血湧き肉踊る、殴り合いというかどつき合いがあちこちで発生。おお涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、逃げ惑っているのは文官かな?あっさり狩られているな。カウントが追加、ここまでは一方的に護衛側の被害が大きいなと。およそ3割が初撃とそれに続く白兵戦で削られたか?襲撃側が嵩にかけて優位に戦闘をすすめている。まあ、反撃で幾人くらいかやられているようだけど微々たるもの。
で、護衛側のリーダの少年が声を上げる。鼓舞する、同時に派手に魔法を展開、小さな球状の炎の弾を服す襲撃者にバラまいて、それを炸裂させる、威力はまずまず、ちょっとばかり、相手の勢いをそぐ、そして、その爆音に会わせるように、私兵の包囲の外側から、不意打ちの矢衾。森の中という隠密性の高い箇所からとはいえ、気づかれないように近づく技量は見事、それも騎乗したまま、移動しながらの射撃としてはらち外の精度で放たれる矢。ただ、私兵たちもあまり動揺はしていない、まあ別働隊ぐらいはいるやな、とこぼしているのは、私兵部隊の苦労性の副官。私兵側は既に予想済みではあったよう。
にやりと笑う護衛騎士団長の少年。隠密精鋭騎馬部隊は、弓をしまって、身につけていたり、馬につけていたりしている、ややそりのある刃物を抜き放ち、私兵集団に突入する。その表情はまさに獲物を狩る猟師のごとし、しかし、私兵軍団もやるもので、即座に半数が振り向き、温存していた障壁の魔法やらを展開して、いなす。ただ、さすがに今回は無傷とはいかず、切り裂かれ、地に伏せる戦士も多い。
そして、その瞬間、精鋭隠密部隊の切り込みにあわせて、文字通り、私兵の伏兵が降ってわく。襲撃地点の上空に、魔法によってつくられた足場に待機していた、十数名の魔法戦士達、この中には私兵団の団長も含まれていますね、彼らは、垂直に槍を抱えて、落下速度をも利用して、頭上より降ってくる。なるほど、空の色を写す布と、空中に足場を作る魔法の組み合わせか。直接令嬢狙うつもりで用意していたけれど襲撃直前に護衛側の伏兵に気がついて、突撃のタイミングをずらしたか?ともあれ、騎馬ごと貫かれていく精鋭隠密部隊がなかなか哀れだなと。カウントが追加されるの見ながら、めまぐるしく、手元の入力デバイスを操るワタシ。ああ、護衛騎士団の少年団長、ちょっと目をまるくしているなと。箱馬車の中の令嬢はじっと目を閉じて、色々耐えているようではある。上空からの槍衾部隊のうち2名ほどは、そのまま遠距離攻撃魔法である雷を落として、宙を舞って移動。森の妖精かな?そのまま距離を取ろうとして、あ、弓矢で落とされているや。うん遮蔽がないと危険ということですかね、カウント追加。
さあて、泥仕合かなこれは?ここにきて必死の形相で、魔法の武器を振りかざすご護衛団長の少年と、防御に徹する古参の鎧武者やら、危機として大槍をふるう巨漢とか、ぶつぶつと呪文を唱えながら、手にした触媒から煙をだしつつ、魔法の矢を打っている女性の魔法使いとか、少年の古くからの側近ぽい連中も死力を尽くしつつある。私兵側も山の妖精がガチガチの防御に固めた鎧を頼りに防御を無視した一撃を周囲にくらわせていたり、獣成分の混じった兵士が縦横無人に戦場を走り回ったり飛び回ったりして、切り裂いていたり、ああでも防具が薄いから、不意の一撃で落ちたりしているか?ううむ、無情だけれどもカウントが進む。
ちょっと襲撃側の私兵が有利かな?やはり戦場での場数が違うのか?指揮官の質が違うのか?令嬢側は彼女を逃がすような方針に変更したよう、護衛騎士団長の少年と、その側近達が道を切り開いて、包囲の一角の抜け、精鋭隠密部隊の騎馬に相乗りして突破する算段か?魔法による防御を展開しつつ、馬車から下りる少女。まあ、もちろん私兵の一団もそれをさせじと動くわけですが……。
おおっと、流れ矢がご令嬢の頭にヒット。ヘッドショットだなひゃっほう!ひゃっほう?
防御の魔法を打ち消しているから、流れ矢ではないか?そうですね、森の木の上に狙撃手がいたね、防御魔法を阻害する矢のよう、これうちの迷宮の倉庫にもあったな、武器開発主任が、お金の束をあいてに投げつけているようで勿体ない気がすると、愚痴を取説に書いてあった曰く付きの奴。ご令嬢の傷、これは手の施し用がないようみ見える。あ、護衛騎士の少年の顔がなんとも言い難いものに、そしてこれは切れたかな?ド派手な魔法が彼の武器の特性をふまえて暴発しようとしているな。ほとんど狂戦士みたいな……というか、理性飛ばしてるような。あーこれはあれかな、うん。周囲に獣じみた雄叫びが響くな、なんとか止めようと、女魔法使いが手を伸ばすけど、これは止まらないよう。かのじょのいないせかいなんてひつようない的な叫びが聞こえているような、ううむ主体性の無いセリフだと断じるには、すこし非道か?そうしているうちに……。
彼を中心にして、魔法が発動というか、暴発?
周囲は高温高圧の熱球に包まれて、大大大爆発。
茸雲があがってらぁ。
めまぐるしく、手元のデバイスを操作するワタシ。戦場の把握に努めるけれど、うん森の奥に後退していた私兵以外は一瞬で全滅コースかな、蒸発している?奥の彼らももあまり永くないね。即死は免れたけど、少ししたら、カウントされそう。
しかし、この手の魔法には制限がかかっていたと認識していたけど、何か解除キーが存在するのかな?恐らく手にした魔法の剣が何か怪しいか、それとも血筋か?ともあれ、地形が変わっているもと森林地帯を調べる。中性子線、ガンマ線、アルファ線もろもろヤバい粒子がだだ広がり。うわあ、死の大地が出来ているなあ。周囲で戦闘を観察していた上位陣営の間諜も生きられないね。全滅か。画面下のカウントはストップしているね。双方会わせて200人弱くらい?いやあ、争いというのは虚しいものだな、と改めて認識。しているのは、あちらの世界の常識をもっている方か、こちらの世界の知識をもつ人格の方か?ちょっと呆れているのはこちらの世界のワタシであろうかな?
雀は全滅している?いや、数羽避難に成功。猫耳少女は爆発前に鎧を展開、あれは悪所も平気だから、環境的な要因による悪影響にも対応できるので問題なし。ある意味完全防御的なスーツだから、宇宙空間や深海でも大丈夫じゃないかな?直撃でなければ、というか爆心地が彼女ではなければ、特に問題ない程度のガジェットを少女自身に組み込んであるからその身体は大丈夫。
ああ、鎧の中に、雀リーダのキリトがいるな。ちゃっかりしている。
双方全滅というのは、いささか予想外。しかしすっきりしているのは確か。ううむちょっとシナリオをいじって調整する必要があるか?むしろパターンとしては6番目と24番目のハイブリットで行けば問題ないかもしれない。まあ、まとめて面倒をみるようになるのかな?しかし分別のつく年齢であろうに、短慮な事をしたものだなぁ少年。やはり若いからか?まあワタシもまだ若い(生まれたて)んだけども。ちょっと引いた意識で眺めるのは生まれの特殊性か、あちらの世界の意識の影響か?気になるところ。
さあて、それでは次のステージを始めましょうかね?




