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12話目 即席栽培迷宮より、大変身巨大三つ首竜登場、タマゴの騎士と大決戦、そして夕焼けの中、赤い炎に消える騎士、のくだり

迷宮を攻略するにあたり、その守護者と戦闘をしつつ、城壁を破壊するくだり


 即席栽培ダンジョンの周囲に轟音が響く。ドーム型のダンジョン外壁が、部分的に崩壊した音。その上空高い位置では、断続的にさえずり雀が作り出した、魔法の粒子が舞っている。

 さえずり雀達が構築、解放する魔法は大規模無機物破壊魔法。対象の静物の固有振動数を利用して、共鳴、自ら滅びるよう仕向けるというもの。音響爆弾とかいった部類、その強化版。まさしく人体に優しい破壊魔法といえる。まあ、崩れていく壁や天井に巻き込まれると、怪我やそれ以上の状態になってしまう所はご愛嬌。迷宮内の生物の位置は把握しているので、その中から、村人っぽいのに被害が及ばないように、威力を調整しつつ、外までのルートを確保するように制御する、その為の数百羽に及ぶ雀達による芸術的とも言える、並列魔法制御の妙。

 ワタシは機動棺桶を操りつつ、門番のプロペラ機動砲台の攻撃を引き受け、その辺りの仕事を観察する、無事、村人のいた区画を解放できたよう。村から逃れて、こちらに助けを求めてきた、猫耳少女のスノウさんは、その彼女につけておいた、さえずり雀の音声端末であるところの個体名キリトとともに、破壊された迷宮へと侵入しているよう。念の為に護衛に数羽、雀が付いていく。この雀、単独でも成人した戦闘力のある大人……秘密結社時代の平均戦闘員ぐらいの相手でも、護衛程度には役に立つ程度の攻撃能力を持たせてあるよう。もう、人の戦闘員とかいらなんじゃないか?という物議を過去に巻き起こして、我々から仕事を奪うなとか、戦闘員にデモまで起こされたことがあるらしい、随分民主的な秘密結社ということが判明して、驚愕するワタシ。もっとも、継続戦闘能力の弱さと、迷宮外では短期間にしか使えないことを、開発班が中心になって説明したので、それほど争議は長引かなかったよう、資料を見ると、当時の混乱が良く解る気がする、そして、開発主任は結構人望があったよう。

 ともあれ、轟音と共に、迷宮が安全に倒壊したのち、村人の避難が、スノウさんによってうながされていく。こちらはもう少し門番を惹き付けて、避難が完了したら、即席栽培迷宮騒動をおしまいにすべく行動を開始する予定。

 

 即席栽培されたといえ、さすが迷宮、奥の手をひねり出し、タマゴの騎士が危機に落ち入るくだり


 プロペラ機動の移動砲台、その動きが急激に変化、射撃していた砲塔その熱線?の種類を拡散型に変更。ワタシの眼をくらますように、閃光を上げる。咄嗟に、機動棺桶を後ろへ飛ばせ、間合いを取るワタシ。その間合いの離れた瞬間に、プロペラ砲台は、迷宮の壁側に近づく、ワタシは残り少なくなった、対空用の弾丸を連続発射して、それを牽制しようとするものの、鋭い機動で鉛玉の雨を回避される。プロペラ砲台はそのまま半ば崩壊したドーム状迷宮の上空にホバリング、そして、もう一度大きく光る、これは、魔法に使用する全ての粒子に干渉できうる粒子の放出、まだ結構残量があったのですね、でもそれが多分最後の放出?と予想。

 そして、そのプロペラ機の光の放出に呼応して、迷宮の崩れた壁が、宙に巻上り、プロペラ機を中心にして集合していきます。ワタシは間合いを詰めて火器の威力を上げるべく機動する、長引いた戦闘で、遠距離用の卵型飛翔物体の残弾も付き、爆裂槍も予備である一本を使ってしまっている、対空用のガトリングも弾がわずか、このガトリングの弾を有効に使うべく、間合いを詰めているわけなのだけれども、間に合うか?ワタシはトリガーを引いて、鉛玉の雨を降らせる、周囲に舞う、迷宮の崩壊時の粉塵がかき回される。初弾の着弾は確認、以降は噴煙に隠れて、よく分からない。やはりここはやったか?という台詞を言うのがセオリーかとちらりと思うものの、聞くものない台詞は意味がないだろうな、と思い返し、静かにわずかに、次の瞬間をまつ。

 予定調和だなと、思う。そこには、崩壊した迷宮の構造物をとりこんで、巨大化、異形化したもとプロペラ機だった門番が存在していたのであった。その姿はあちらの世界で言う所の、首長竜を模したもので、長い首が胴体と見なす、迷宮のドームそのものから、生えている。それも3本。怪獣映画で見たことがあるようなフォルム、色は鈍色だが。その首の長さは20mに近い、その口の大きさもそれに見合うほどのバランス。大きく口を開き、そこにはそれぞれ、20センチくらいの砲塔が見える。まあ、熱線的な物を放つのだろうなと予想。中央の頭には、センサカメラの単眼が、ガイドにそって縦横に動いている。いつもの動作確認であろうが、それは、獲物を前に舌なめずりをしている猛獣の雰囲気にも似ている。左右の同じほどの大きさ、フォルムの首にも、センサが生えている。これはもしや、弱点が増えたんじゃないか?という発想もちらりと脳裏に浮かぶが、逆に分散されたのでしぶとくなったか?とも思える。

 その機動力は迷宮と一体化したので、著しく下がったが、出力は迷宮と直結しているので、うなぎ上りであろうなと予想……余談だが、こちらの世界でもうなぎはいるらしい。美味で、やはりタレをつけて焼く料理法が開発されているらしい。食材保存倉庫にも在庫があったので、この一件が片付いたら、試してみるのも一興、おれこの戦闘が終わったら、うな丼食うんだ……うん文学的ではない。

むしろ天丼的……うな丼なのに天丼。妙にお腹が空いてきているので思考がちょっと変。

 残念なことに、または、計画通りに機動棺桶の飛び道具が切れたので、接近戦用の戦闘デバイスを展開する。棺桶の両側にブレードを飛び出させる。すれ違いざまに切り刻んでやろうという思惑。前面にドリルも捨て難いが、刺さると抜けないというのは、大物相手ではちょっと勘弁。同時にウエポンラックから、両刃の剣を抜き出して片手で構える。片手は操縦桿。この剣と棺桶のブレードは魔法を使って錬成しているので、見た目鋼だけどそれよりも硬度が高く、粘度も高い、良く切れる。棺桶本体のブレードに空いている穴がちょっとした工夫。刃に身が引っ付きません……開発主任は料理も趣味らしい。本当に、話があいそう。時代が違うのが、非常に残念。

 迷宮と一体化した三つ首竜はその口を大きく開けて、なんだか謎のエネルギー光線を放つ為に、タメを開始する。なんだか空気が震えるような、細かい粒子が集中するような、無駄?なエフェクト、演出。大気中で光学兵器っぽい何かを使うとか、発想がつくづく非常識。それだけのエネルギーもっと有効に使う方法があるだろうに、もっとも、戦争、兵器に使うという時点で、有効的とはなんぞやという疑問が立ち上るのだけれどの、上ったまま降りる気配はありませんね。これが、人の業というものか、という思考が一瞬頭をよぎるけれども、カラダは機敏に動く、または脳の一部は生存本能に従って回避行動を取る。予定調和、最初の一撃は、ギリギリの見切りとなった。流れビームは大地を穿ち、山の木々をなぎ倒す、自然破壊もはなはだしい。さらに、質量のあるビームっぽい挙動というところで、非常識なと思考が飛ぶ。熱せられて爆ぜるというなら分かる、けどいまの、着弾した反動で大地をえぐりましたよね?魔法というやつは、本当に概念が優先されるのだなと、呆れるところ。この粒子砲?もどきも、魔法で再現できるもの。というよりは、魔法の再現をする為に、色々と魔法の道具を組み合わせて作り上げられたのがこの、迷宮一体化巨大最終三つ首竜。ご苦労なことで。ちょっと自画自賛。

 避難している住民に破片が飛ぶが、計算されたように、被害は少ない……埃まみれになるくらいは勘弁して欲しい。命が大事、そして、そういうギリギリの演出が大事。誘導している猫耳少女が少し心配そうにこちらを見ている、ちょっとニヒルに笑ってみせるタマゴの騎士。離れていてもその笑みが分かったのか、ちょっと安心する少女、タマゴの騎士の顔の大きさは無駄じゃないんだな、と、ちょっと納得して笑う。

 思考誘導で、初期に放って待機させていた、ミニ棺桶を物陰から呼び出す。アンカーは切れているけれども、テイザー……有線電撃装置、つまり、飛び出すスタンガンが装備されているそれを、牽制に使う。わしゃわしゃと細く小さな脚で、瓦礫あふれる大地をかさかさと進む。多少は効果があるのか、うっとうしそうにその細かい奴らを見る三つ首竜。そこに素早く突貫、切り込んで行く。傷は浅いものの、ヒット。迷宮からの補給で傷は修繕されていくものの、リソースは確実に削られていく。このまま注意をこちらに引きながら、村人の避難を待つという演出。山の中遠くへ避難させれば、とりあえず大丈夫?迷宮に取り込まれてから、さほど時間が立っていないので、村人達は結構元気そう。消耗度が低い、被害も少なかったのか、意外と冷静?暴発するやんちゃものを期待してたのだけども……ちょっと残念、さすがに辺境に住む住人はメンタルが太いなと感心。

 何度か、牽制の為に突貫。切り刻みつつ、消耗とうながす。ビーム(笑)は結構その射線を読みやすいので、まず当たらない。大きくなって鈍くなったという感じ。そのかわり、タフ。首を振りかざしながら、その硬い皮膚でこちらを押しつぶそうともしているが、回避さえ出来るのなら何の問題も無い。たとえオープンシートで、その竜の首振りの風をタマゴ表面の皮膚に感じられたとしても、ええ何も問題ないわけで。いまかすりましたかね?少し傷ついたボディのダメージを確認しつつ、それと引き換えにヒットさせた、右腕の剣の効果を確認。傷はわずか。

 なかなか攻撃を命中させることができない三つ首竜は攻撃方法を変化、ビームを連続発射に替えて、さらに画面をワイプ。うわ、安全地帯が無い?そこは作るところ、上空に逃げる。緊急用の空中制御用デバイス、スラスターを拭かす、短時間なら飛行も可能と取説には書いてあったが、まあ、ジャンプの補助程度だよな、という感想をレポートに書いておく。と、その無差別連続発射ビーム(笑う、のは非効率な攻撃方法だから、ある意味自嘲の意味で)の一部が避難中の村人の群れにむく、その対象に猫耳少女のスノウさんが含まれているのを予測して、素早く動く、棺桶をほぼスラスタの能力の限界まで使って、瞬間的に移動、射線に割り込ませる。同時に、ビームの威力を減衰させるように、残り少ない魔法の粒子を緊急放出させる。ビームを止める、曲げる、明後日の方向へとそらす。しかしさすがに出力が違いすぎるし、まあ、棺桶だしなという思考が、最後によぎって、頭のなかで、肩をすくめる。タマゴの騎士の肩ってどこだろう?腕とのジョイント部分か?

 爆発四散。

 轟音散華。

 響くのは少女の悲鳴。

 どうやら、彼女らの被害は軽微らしい。

 どこか遠くからそれを見ているワタシはちょっとほっとする。


 さて、これからどうしようか?


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