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11話目 タマゴの騎士が迷宮の門番と対決するくだり、もしくは短くも長い戦闘と芸術的な爆発の関係について

タマゴの騎士の眼前に立ちふさがる怪物は大きなカラクリ人形、それとの闘争のくだり、もしくは、爆発物に代表される武器武装などに対する考察


 目の前にそびえ立つのは即席栽培されたとは思えない立派な迷宮、の門。迷宮を管理するコアが作り出した、最終防衛ライン。あちら側にはこの機動棺桶とワタシの存在にはすでに気がついている。臨戦態勢といった具合の気配がぴりぴり感じられる。門との間合いはおよそ20mほど。オープンシートの座席の上で、ランスを構える。高さ5mほどの門、その表面のレリーフが動き出す。門に描かれていたのは、首のない巨人。手が一対、脚が一対の人を模したもの、頭部はお椀を伏せたような形をしていて、丸いセンサが一つ。赤い光を放ちながら、その丸いセンサカメラが、十字に走ったガイドを縦横に、動作確認をするように動く。腕関節は蛇腹、これは伸びそう。先に付いている双方の手には長いかぎ爪が付いている。脚はその重量を支える為にどっしりとしている。かかとの上部に見えるノズルは、移動の補助用か?まさか空は飛ばないとは思うが、この世界だと、質量とか部品の剛性とか、もろもろ工学の、常識がズレているから注意が必要。巨人の身長は目測でおよそ4m50cmといったところか?さてどうする、どうでる。

 ワタシはランスを相手に向ける。巨人の装備からすると、単純格闘タイプに見える。ならば、こちらはそれに付き合う必要はなしであろうな。と、チャキっと構えたランスの、柄に付いたトリガーを引く。ランスの長いコーン状の穂先、その根元部分から炎が吹き出し、一直線に巨人へ向けて飛んでいく。ややずんぐりとした胴中央へ命中、爆発。騎兵によるランスチャージじゃないのかよ?というツッコミは無用。相手の間合いの外から、高い火力で殲滅する。戦闘の基本。だいたいこの機動棺桶で槍を担いで、突貫とか、怖すぎるだろう質量的に手持ち武器が持っていかれます。

 そもそも、こんな当たると爆発するような危ない手持ち武装で接近戦なんかしたくない。いくら魔法による爆発で、安全装置もありますよといううたい文句が説明書にあったとしても。とくに、説明書の最後についているハートマークがなんとも微妙な説得力というか、不信感を抱かせている。人体には安全な弾薬を使用していますというのは、何かの冗談ではないだろうか?と推測。もしくは、食べても大丈夫という意味か?ある種の炸薬はフルーツの味がするという。都市伝説?

 魔法を発生させる粒子は、あらゆる粒子に干渉することのできるという非常識な性質をもつもの。爆破というものは、基本、特定の粒子、小さな基本構成単位であるところの”粒”が、分裂して、その数を増すことによる、一定空間における質量の瞬間的な増大によるものであるから、急速な化学変化における物質の変容を利用した、あちらの爆発系の兵器の類似として、こちらでも作成することは容易。とうぜん、分裂して増加するに適した触媒を使用しなければならないので、そうしているよう。

 また、原理上は、原子核をこの魔法を発生させる粒子で崩壊させて、高いエネルギーを得ることができ、実際にそういう魔法が高レベル……魔法発生容量の大きなものが必要な呪文に存在する。しかし、あとの有害物質の除去が大変そうな気がする。死の大地製造魔法……のーもあなんちゃら……シャレにならない。もっともそれらの魔法を実際に使える人は皆無であるよう。人の歴史によると。それと、この核分裂の知識も体系としては解明されていない。ポンと、呪文だけあるような歪な構造。知識が断絶しているのか、そもそも与えられていないのか?相変わらず何者かの意図の存在を感じるものの、なにか根本的なことを見落としているような、そんな違和感がある。いまは戦闘に集中するべきと解っていても、思考があちらこちらへ飛ぶのはワタシの仕様。

 門の巨人への損傷を確認、前面の装甲が歪んでいるよう。結構な攻撃力だったのだが、一撃撃破とは行かない。コーンによる指向性の爆発を、曲面の装甲がいなしたか?もっとも、人型の、前面における面積の大きな対象なんて、いい的には違いなく、遠慮せずに、追撃をかます。手元のレバーを引きつつ、親指でレバーの先端のカバーを、弾いて、外す。中の四角い赤いボタンを押し込む。機動棺桶上部、その黒い板が、四角く、等間隔で弾け飛ぶ。白いタマゴ型の小さな物体が飛び出す、そのお尻から火を放ち、垂直に勢い良く。数m上に飛翔したのち、そのタマゴ型のボディの先端に装着された、眼、光学&電波センサで、門の巨人を見て、飛び立つ角度を調整、急激にその飛行ルートを変更して、速やかに巨人へと殺到する。

 一応、電気に関する知識はあるようなのだけどもこちらの世界、その仕様は、個々の機器、魔法ごとに、原理を理解せずに使用しているよう。

 巨人はその多数のタマゴを避けようと機動を開始する。脚部のスラスターを噴射して、わずかに地面から浮き、回避運動。しかし、タマゴ型の誘導飛翔物体からは逃れられない。機動棺桶上部にある、飛翔物体の発射装置は24発分、ほぼ、順次に、瞬時に発射することのできるそれは、擬似的な生物として、獲物を捉える眼をそなえている、ガジェットが特徴的。

 全弾命中したのは、たまたまではあるが、スペック&相手の的としての大きさを考えると、不思議ではない。門番の装甲へ命中した瞬間、小型タマゴが爆発する。命中した箇所から噴煙が巻き起こり、それが、門番の大きな体を覆い隠す。視界からは光学的にさえぎられるが、各種センサ、周囲に展開しているさえずり雀とリンクしているものも使用して、相手の状態を継続的に観察。ダメージは大きいよう。畳み掛けるために次弾を用意。噴煙を目隠しにしてこちらへ蛇行しつつ、ホバーで突っ込んでくる門番をいなすため、こちらも多脚を動かして、位置取り。ほぼ平坦な地形なので、水平移動がしやすくて良い。棺桶内のウエポンラックから、次のランス、というか携帯用の飛翔爆発兵器……あちらの世界では、グレネードとかいった部類ではないか?という物を取り出し、構える。

 背面の卵形小型爆発誘導飛翔物……もう、小型ミサイルといってもいいかもしれない、も、弾倉から射出孔へと自動的にセットされていく。棺桶の容量の関係で、この次弾分24発でおしまい。

 煙をかき分けるように、門番がダッシュ、装甲のあちらこちらが破壊されて、内部構造が見える。金属生命体をベースにしている迷宮産の怪物であるので、金属でできた駆動器官、自在に伸縮できる、金属製の筋肉が見える、なんと内骨格。骨格をなす体中心のフレームに金属製の筋肉をまとい、皮膚代わりに装甲を装着。金属筋肉の伸縮は、魔法の粒子を使用しての、変形?特殊な形状に最小単位粒子を並べて、少ない魔法の粒子で効率的に伸び縮みさせるような工夫も見える。後でじっくり観察したい。

 と、その接近している門番の単眼が、スコープ状に伸びる。同時に口にあたる部分が、展開して、半径10センチほどの砲塔が迫り上がる。光の粒子が漏れていく。視覚化されるほどのエネルギー?電子?熱線?光子?大気圏内でレーザーとか。勘弁して欲しい気がするが、減退しないように大気にガイドを作成しているのか?とにかく、光の束が、こちらの機動棺桶へと向けられる。

 当然、この攻撃を察知しているワタシは華麗に回避……できた。がしょんがしょんと脚で大地を踏み鳴らし、飛び退ける。さらに、移動しつつ、足元のスイッチを蹴り上げ、棺桶下部から、4機、四角いお弁当箱大の大きさのデバイスを投下、それは、それぞれの下部に4対の脚を展開、かさかさ、という音を想起させながら、戦場に走って、機動棺桶から移動。ミニ棺桶とでも呼ぼうか?

 質量はそれほどない、直接門番にぶつけても、効果は薄い。これは、いろいろ細工用のデバイス&移動砲台。さすがに打ち出す弾はレーザーでは無い。門番を囲むように展開、並走させつつ、発射するのは、ワイヤー付きのアンカー。いわゆるスリング?2mほどの長さのワイヤの両端にウエイトをつけたものを、射出。相手の四肢の動きを阻害しつつ、からませて、装着させた瞬間に、高電圧を発生。擬似的とはいえ、筋肉をもつ門番の、四肢をその電気信号ノイズで動きを阻害。

 脚を止めた、巨人に、装弾完了済みのタマゴミサイルを順次全弾発射。着弾の瞬間、門番が吠える、その巨体の周囲に光の膜が広がる。魔法粒子の全方位直接照射による、衝撃緩和、加えて、異常状態のリセット。なかなか粘る。しかし、当然、魔法粒子も有限であるからして、いわゆる切り札を切った状態。その衝撃緩和の光が消えた瞬間、爆裂ランスを発射、狙うは装甲のはがれた、胴中央、命中、轟音、大爆発。内部構造に深刻なダメージを与えた手応え。

 門番は、その半身を大きく損壊している、左腕はほとんど肩の辺りから取れかけている。このまま押していけるか?そこまで相手は甘くない。さすが迷宮産の怪物。しぶとい。

 それは、爆発四散したように見えた、しかし、百対を越える眼と耳は見逃さない、聞き逃さない、表面の動かなくなった、部品が周囲に爆発するように離脱、コアにあたる部分、頭のセンサをふくめた胸部におさめられたガジェットが、宙に飛び出る。くるりと天地を逆にする門番の頭、センサが下、それに乗るように熱線砲?が砲身を伸ばす。ひっくり返った胸中にあったコアから、棒が左右斜め上方方向へとのび、その棒が、プロペラを展開。2つのプロペラで宙を移動する、熱線移動砲台が完成。ここまでの変型がおよそ3秒。職人芸だなぁと思わず感心。

 対してこちら、機動棺桶の左前装甲をスライド、変型。対空用の装備を展開。細長い筒を12本ほど束ね、左右130度、上下角度70度まで動かすことのできる、小型の質量を射出する、質量兵器が外気に触れる。あちらの世界でいうところの対空用バルカン……もちろん動力は魔法粒子。もうなんでもありだなというか、収斂進化と意地をはるのも、不自然じゃないかこれ?ぜったいあちらの知識の流入があっただろう?以後要検討と開発者の手記を確認することというメッセージカードを。心のコルクボートに備忘録として、はっておく。

 スペースの関係で数分も連続射撃を行えば、弾切れを起こすが、そもそも継続戦闘能力を期待された機体ではないわけで、だいたいは、その程度に時間になっていれば戦闘はおわっている。こちらが破壊されているか、相手が無効化されているかの違いはあるけど。自走棺桶の名称はダテじゃない。

 空中プロペラ移動熱線砲台となった門番、連射はきかないようだけれども、嫌らしい位置取りでこちらを狙い打ってくる。典型的に相性が悪い存在。対空砲で牽制、応戦、空をきる鉛玉……、鉛かどうかは解らないが、まあ、文学的表現。

 撃つ避ける、避ける撃つ、相手の機動をせばめる射撃、穿つ攻撃、爆ぜる地面。周囲に漂うイオン臭。戦場の香りといってよいのではないだろうか?などと思いつつも瞬時も止まらず、機動。じらすように、相手を惹き付ける。飛行砲台の制御は、迷宮生物のコアが直接行っている、つまるところ、このカトンボは地面を這いずる八本脚の虫に、ただいま絶賛夢中ということ。


 上空100mほど、さえずり雀が幾何学的に並んで飛んでいる、くるくると同心円をいくつか描くように、それは立体的に、球をつくるように。複雑な機動が絡み合い、術式の準備を淡々と進めている、完全に迷宮の注意が機動棺桶にむいている隙を予定どおりに突く。

 魔法粒子が視覚化されるほど強く発散される。

 大規模破壊魔法術式の構成から、展開。

 さて、ぶっつけ本番、どのような、賽の目がでるか?ちょうはんでそろいますか?

 

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