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八天勇者物語  作者: るーびっくきゅーぶ
旅立ち
2/22

静かなる攻防

2.


普通の夜だったように思う。俺こと織戸ダイは、いつも通り電気を消し、布団の中で某掲示板を巡回したり、アニメ情報を検索したりして過ごしていた。スマートフォンとは便利なものだ。大抵のことは出来る。もはやルーティンワークと化した作業をしながら、今日と明日の境目という俺の一番好きな時間をエンジョイしていた。


午前3:00。人には言えない行為を終えた俺は、さあ寝るか!とようやく床に就く(もう就いているが)決意をした。その時である。


スゥーッ…襖が開いた。


…。待って欲しい。俺は現在一人暮らしだ。つまり、襖が勝手に開くなんてイベントはホラー的な何かか、もしくは泥棒的な何かである。襖を見ながら、俺は真顔になっていた。某AAの如き真顔だった。



自慢ではないが、俺は臆病者(チキン野郎)である。某50分脱出に掛かるお化け屋敷にサークルの女の子と行った時にも全力ダッシュで逃亡した鳥野郎である。(ちなみにちょっと気になっていた娘だったため、嫌われた時は泣いた。)そんな俺に目の前の光景はショックが大きすぎた。修学旅行中に買った、今や外にも持ち出せない屋内護身用木刀で戦おうとも思わなかった。


俺は真顔のままそっと布団を被り、般若心経を唱えるかの如く羊を数える。ヒタヒタと足音が聞こえる。だが無駄だ。今の俺は防御面に於いて最強。なんか声も聞こえるが、気のせいに決まっている。そういえば襖が開いた時、手も見えていたし目玉すら見えた気がするが、気のせいである。無駄なんだ無駄無駄。無想の境地に入った俺にはそのような攻撃は効かない。修学旅行の座禅を思い出すなあ。親友だったヨシくんは元気かなあ。同窓会にも行ってないからわかんないや。ははっ。


そんなこんなで、俺は周りをぐるぐる歩き回る足音と、時折布団を叩く感触を完璧にシャットアウトし、5分ほど見えない何かの存在を否定し続けたのである。


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