27-1 カリスマ帝
二十七.行幸
光三十六歳の師走は、冷泉帝の行幸があった。
たくさんの親王、上達部たちを引き連れて
雪の舞うなか、大原野に鷹狩に出かける。
なんて美しい方…
玉鬘はひと目見て、心奪われた。
みかどの、赤色の御衣たてまつりて、うるはしう、動きなき御かたはら
目に、ならび聞ゆべき人なし。*
父の内大臣も子息たちも、足元にも及ばなかった
この方は、本当に人かしら
光よりもずっと、厳かで麗しい。
この世のものとも思えぬ美しさに、思わず神仏の化身ではないかと疑う。
やはり、すごいな
夕霧もお供しつつ、すこし息をついた。
この人の、このひかり
父と藤壺さんをかけあわせた類ない輝きが
雪の野にまぶしく映える。
狩衣に着替えると、また一段と凛々しく、美しく見えた。
冷たいまでの輝きが時折にこりと微笑む
その一微笑で
この世の女はおよそ瞬殺できそうに思えた。
そんなカリスマ帝も
「形式ばってて退屈だね」
夕霧だけには、飾らない微笑をもらす。
「どう、綺麗な方だったでしょう。すこしは宮仕えする気になった?」
光に心中をよまれて、玉鬘は苦笑した。
よくわかるなあ
たしかに、大きくなびきました。
女御や更衣にはなりたくないけど
他の人たちにまじって、そのお姿を明け暮れ拝見できたら。
さぞしあわせだろうなあ。
そんなふうに思う。
なほ、おぼし立て*―
光は玉鬘に宮仕えをしつこくすすめた。
悩みに悩んだ最後の手段
冷泉さんなら。
あきらめも納得もつくと思うらしい。




