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朱雀と弟  作者:
第三部  母なき子よたりいつたり集ひきてあひ惑はんやしあわせ探し
99/175

27-1 カリスマ帝

二十七.行幸

光三十六歳の師走は、冷泉帝の行幸があった。

たくさんの親王、上達部たちを引き連れて

雪の舞うなか、大原野に鷹狩に出かける。

なんて美しい方…

玉鬘はひと目見て、心奪われた。

みかどの、赤色の御衣たてまつりて、うるはしう、動きなき御かたはら

目に、ならび聞ゆべき人なし。*

父の内大臣も子息たちも、足元にも及ばなかった

この方は、本当に人かしら

光よりもずっと、厳かで麗しい。

この世のものとも思えぬ美しさに、思わず神仏の化身ではないかと疑う。

やはり、すごいな

夕霧もお供しつつ、すこし息をついた。

この人の、このひかり

父と藤壺さんをかけあわせた類ない輝きが

雪の野にまぶしく映える。

狩衣に着替えると、また一段と凛々しく、美しく見えた。

冷たいまでの輝きが時折にこりと微笑む

その一微笑で

この世の女はおよそ瞬殺できそうに思えた。

そんなカリスマ帝も

「形式ばってて退屈だね」

夕霧だけには、飾らない微笑をもらす。


「どう、綺麗な方だったでしょう。すこしは宮仕えする気になった?」

光に心中をよまれて、玉鬘は苦笑した。

よくわかるなあ

たしかに、大きくなびきました。

女御や更衣にはなりたくないけど

他の人たちにまじって、そのお姿を明け暮れ拝見できたら。

さぞしあわせだろうなあ。

そんなふうに思う。

なほ、おぼし立て*―

光は玉鬘に宮仕えをしつこくすすめた。

悩みに悩んだ最後の手段

冷泉さんなら。

あきらめも納得もつくと思うらしい。

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