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朱雀と弟  作者:
第三部  母なき子よたりいつたり集ひきてあひ惑はんやしあわせ探し
98/175

26-4 異腹ぞかし

「怪しのわざや。親子ときこえながら、かく、ふところ離れず、

物近かるべき程かは」*

夕霧は偶然、二人の密事をのぞき見した。

玉鬘は寝過ごして、今起きて化粧したという顔

その可愛さゆえに、光は衝動をおさえきれない。

柱に隠れるように寄っていた玉鬘を光が引き寄せると

美しい髪が、さらさら頬にかかった。

「つらい、苦しい」と思いながら

それでも表面上は、和やかに光によりかかっている。

「…」

夕霧は、少なからず衝撃を受けた。

何これ、もう完璧に自分の女扱いじゃん。

女は処世術なのか、光への好意なのか

受け入れすぎないよう、でも拒みすぎないように

絶妙の力加減で振舞っている。

なんか、夜の商売の女の子みたいだな

嫌われず好かれすぎない、ぎりぎりのライン。

偉大な母の遺伝子なのか、男の扱いが上手い。

異腹ぞかし*って…

ここまで見といてまだ本当の親子らしいと思ってる俺

鈍感すぎるだろ。

夕霧は嘆息した。

ふたりが息もかかるほどそばで語り合ってるのを見るのが

なんかつらい

たとえるなら、飲み屋入って綺麗なお姉さんの太もも触ってる

親父を偶然見つけた時の、見るに堪えない心境?

紫さんって人がいながら、この人は本当どうしようもないな。

女のほうもまんざらでもなさそうだし

もう結婚しちゃえばいいじゃん

行ける所まで行っちゃえばいいじゃんと

多感な思春期少年、なげやりに思って

その場を離れた。

なんだよもう、何見せんだよ、バカ。

歩きながらふと、雲井雁のことが胸をよぎる。

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