表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朱雀と弟  作者:
第三部  母なき子よたりいつたり集ひきてあひ惑はんやしあわせ探し
86/175

23-4 パーソナルスペース

「蛍は人よりよく見えるね。顔はそんなでもないけど。心が美しい

からかな」

「そうですね。弟さんだそうですけれど、同じくらいに見えますわ。

お美しい方でした」

花散里はおおらかに笑った。

競射の蛍はたしかに美しかった

スポーツマンだからばしばし射抜いて、もちろん一位取るんだけど

陽気そうでも何か物足りない

皆の前では笑ってても、時折ふっと寂しげな表情を見せる。

どうしようかな、本当に婿にしようかな

髭黒さんとか、候補はいろいろいた。

でもいまいち、決め手がない。

やっぱ俺が一番ふさわしいんじゃないかな

俺以上の男がこの世にいないのがいけないんだよ

などと、ぶつぶつ思いつつ

花散里と別の寝床で眠る。

「などて、かく、はなれそめしぞ」と、殿は、苦しがり給ふ。*

花散里はそれを当然と思っていた。

紫さんにも悪いし

気分転換でさえ、私などには手を触れぬ方がよい。

光には、その距離がちょっぴりつらかった。

「離れてて、寂しくない?」

几帳の向こうから、思わずたずねる。

「大丈夫ですわ。離れていても信じておりますから」

花散里は笑って答えた

変な方、私たちはいつも離れているのに。

すこし可愛く感じる。

二人の間に心の隔てはなかった。

ただ、この人が一番妻らしいというか

長年連れ添ってきたあうんの呼吸があって

熟年夫婦のパーソナルスペースみたい

お互いつかず離れずのテリトリーを守って、互いを尊重することが

思いやりある夫婦生活を維持する基礎となっている。

「わかったー」

光は微笑んで、きゅうと眠った。

紫に気使ってくれてるんだ。やさしいなあ。

でも独り寝ってやっぱり寂しい

ありがたいお心遣いだけど。

こういう夜があるから、よけい紫が愛しく思える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ