23-3 よほどうざい
おとなおとなしく、ひたぶるにすきずきしくはあらで、いと、けはひ
異なり。*
蛍は始終落ち着いていた
恋に狂うふりなど、もちろん狂言で
女への礼儀でもあるが
根は思った以上に、しんとしている。
まだ亡くした人を想い続けていた
恋じゃない、懺悔だ
だからよけい意味がなく、悲しい。
声はせで身をのみこがす蛍こそいふよりまさる思ひなるらめ*
さぞ、おつらいことでしょう。
玉鬘はそっとつぶやいて嘆息した
あの人は私に恋したいのかしら?
何かもっと違うものを求めていたように思う。
吐息すら、とても紳士だったと思った
丁寧で、やさしい紳士。
「蛍はやけに夜更ししていったね。まとわりついて、うざい奴でしょう」
光がにやにやしながら言うので
貴方のほうがよほどうざいよ。
と思うけど、もちろん言わずに、玉鬘が苦笑する。
この人に嫌われるとまずい。生きていけないし。
でも触られるのもだめだ
私はこの人の娘ってことになってるんだから
しかもこんな大々的に宣伝されて、懸想人集められて
これで結局この人の手に落ちたなんてことになったら
いい笑いものだと思う。
どうせなら、嫁にしてくれればいいのに。
その中途半端な態度が玉鬘を苦しくさせた。
思ふことなくは、をかしかりぬべき御有様かな*―
顔はいいのにね
性格若干変だから、痛い人だと思う。




