23-1 サディスト
二十三.蛍
「光の攻撃に手を焼いてはいませんか。あいつは本当ゆがんだ性癖
もってるから、気をつけた方がいいですよ」
蛍は、几帳を隔てて玉鬘に対面した。
でも直接の受け答えではない
奥で臥している玉鬘に、女房を介して、用件を伝えてもらう。
「あいつはとりあえずサディストなんで。しかもバカだし。馬鹿なエスは
超危険ってことは覚えといた方がいいです」
「何をー」
奥から光の立腹声がした。
ほらいた、やっぱり。
蛍が苦笑して、光の企みを看破する。
「よばれて飛び出る夏の光、ってね」
奥に潜んでいることは最初からわかっていた
光の香って甘すぎて、しつこいくらいだもの。
「こんなバカにやられるくらいなら、いっそ俺にやられちゃいましょうか」
「お前になどやらないし。やらせねえし」
光は悪態ついて部屋を出ようとした。
それにしても、せっかくの訪問客の話を寝ながらきくってのは
どうだろう
あまりにも失礼じゃないかな。
「せめて、起きてきいてやったら」
断りもなく男に引き会わせておきながら
光、相変わらず勝手な言いぐさだった。
でも、このままだと光が寝所に入ってきそうな勢いなので
玉鬘は困って、そっと寝床をすべり出た。
端っこの几帳の影に、そっと身をよせる。
きたきた
光はほくそ笑むと、几帳の帷子を直すふりをして
さっと光るものを入れた。
まあ、まさか灯を…?
玉鬘はあきれた
姿が透けて、見えてしまう。
でも灯ではなかった
光はにやにやしながら、見えないように部屋を出た。




