22-3 うけたまはりぬ
さりげなくてを、もてかくし給へ*―
これよりあながちなる心は、よも、見せたてまつらじ。*
言いながら、女房たちが遠いのをいいことに
光は玉鬘の手を取った。
そのまま近づいて、そっと隣に臥せる。
玉鬘ははじめて光の本性を知った
まあこれは、ほんの一端にすぎないのだが。
「夕霧なんて全然葵に似てないのに、君は夕顔そっくりに見える時
があるよ。彼女を思い出して、つらくて仕方ない」
光はため息をついた
このまま、彼女がほしい。
娘を愛すのもある種の償いかもしれなかった
俺がこの子を抱いて幸せにするとしたら
夕顔、君は怒るかな?
「俺をあまりうとまないでね。拒まれれば拒まれるほど、力ずくで奪
いたくなるたちだから」
光の微笑みは美しく、恐ろしいほどだった。
玉鬘が、細かくふるえる。
どうしよう、ここは安全な町の中じゃない
勇者は間違えて、モンスターの出る森の中に姫を置いてきたらしい。
あるいは、深く閉ざされた魔物の城か。
とりあえずとりあえず、苦しげに眉を寄せながら
なんとか光の攻勢をかわした。
「誰にも内緒だよ。ふたりだけの秘密にね」
光は、涙さえ見せる彼女の様子を憐れに思って、そっと部屋を出た。
あまりショックを与えすぎちゃだめだ
女って、思いつめるとすぐ出家するから。
光三十六歳、一応それなりの経験は積んでいる。
うちとけて寝もみぬ物を若草の事あり顔にむすぼほるらん*
あまり恥じらうと逆に怪しまれるよ?まだまだ子供だね。
にやりとあざ笑うような歌に、腹が立った。
何?いきなりあんなことをしておきながら、失礼な…
玉鬘はきゅっと口を結んで、文を書き返した。
うけたまはりぬ*―
「了解しました。気分が悪いので、返歌はしません」
怒ってふくれている顔を想像して、光はくすくす笑った。
それにしても可愛かったな
あの姿かたち、らうたさ、夕顔そのものだった
いや、もうすこし上等だったかな
手、出したいなあ…
思いながら一方で、「正気か?俺」と苦笑もした。
抱いた女の娘をまた抱くなんて
あまりにも非道というか、酷くはないだろうか。




