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朱雀と弟  作者:
第三部  母なき子よたりいつたり集ひきてあひ惑はんやしあわせ探し
82/175

22-3 うけたまはりぬ

さりげなくてを、もてかくし給へ*―

これよりあながちなる心は、よも、見せたてまつらじ。*

言いながら、女房たちが遠いのをいいことに

光は玉鬘の手を取った。

そのまま近づいて、そっと隣に臥せる。

玉鬘ははじめて光の本性を知った

まあこれは、ほんの一端にすぎないのだが。

「夕霧なんて全然葵に似てないのに、君は夕顔そっくりに見える時

があるよ。彼女を思い出して、つらくて仕方ない」

光はため息をついた

このまま、彼女がほしい。

娘を愛すのもある種の償いかもしれなかった

俺がこの子を抱いて幸せにするとしたら

夕顔、君は怒るかな?

「俺をあまりうとまないでね。拒まれれば拒まれるほど、力ずくで奪

いたくなるたちだから」

光の微笑みは美しく、恐ろしいほどだった。

玉鬘が、細かくふるえる。

どうしよう、ここは安全な町の中じゃない

勇者は間違えて、モンスターの出る森の中に姫を置いてきたらしい。

あるいは、深く閉ざされた魔物の城か。

とりあえずとりあえず、苦しげに眉を寄せながら

なんとか光の攻勢をかわした。

「誰にも内緒だよ。ふたりだけの秘密にね」

光は、涙さえ見せる彼女の様子を憐れに思って、そっと部屋を出た。

あまりショックを与えすぎちゃだめだ

女って、思いつめるとすぐ出家するから。

光三十六歳、一応それなりの経験は積んでいる。

 うちとけて寝もみぬ物を若草の事あり顔にむすぼほるらん*

あまり恥じらうと逆に怪しまれるよ?まだまだ子供だね。

にやりとあざ笑うような歌に、腹が立った。

何?いきなりあんなことをしておきながら、失礼な…

玉鬘はきゅっと口を結んで、文を書き返した。

うけたまはりぬ*―

「了解しました。気分が悪いので、返歌はしません」

怒ってふくれている顔を想像して、光はくすくす笑った。

それにしても可愛かったな

あの姿かたち、らうたさ、夕顔そのものだった

いや、もうすこし上等だったかな

手、出したいなあ…

思いながら一方で、「正気か?俺」と苦笑もした。

抱いた女の娘をまた抱くなんて

あまりにも非道というか、酷くはないだろうか。

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