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朱雀と弟  作者:
第二部  地獄へもとぶらひゆかん君が闇てらすばかりの光となりて
56/175

15-2 レフェリー俺

醜いとはいっても

挑まれたら負けたくないのが光なので

手持ちの絵をいろいろ出して、梅壺側へ混ぜてやった。

勝負の審判は蛍がつとめて

「え、俺?」

蛍は戸惑いつつも、中央の席へ向かう。

「内大臣さまの仰せときいておそるおそる参内してみりゃ、こういう罠か。

でも俺レフェリーなんてむいてないと思うよ?世の女性にあまねく愛を

配って、誰からも愛されるこの俺じゃあさ」

「いいから黙ってやれ」

光がにこにこ斬るので

「おおこわ。へいへい」

蛍は首をすくめて着座した。


今日は御前対決で

帝、中宮、権中さん

その他きらきらした童や女房たちも仕えてるから

ただの遊びではない、ちょっとした公式行事に見えた。

「左、右、左、右」

蛍はそのスポーツマン的な瞬発力で、さらさら勝敗を決めていった。

それでもたまに迷うと

「ひかるー」

軍配代わりの扇を持ったまま、光に助けを求める。

「それは右でしょう」

そこを中宮さまがフォローするので

「あ、はい」

蛍はすなおに従った。

時々、さし答へ給ひける程、あらまほし。*

そうかな

光は小さく自問した

女から見れば、そう見えるのかね

彼女は奥に座しているが、どっしりと落ち着いて

女帝の貫禄十分だった。

もう立派な政治家になっちゃったんだね。

人の上に立っているのが似合う人のようだと

少し寂しく思う。

絵合は夜までかかった。

最後、須磨、明石の巻に話題は集中して

結局梅壺側が勝った。

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