15-2 レフェリー俺
醜いとはいっても
挑まれたら負けたくないのが光なので
手持ちの絵をいろいろ出して、梅壺側へ混ぜてやった。
勝負の審判は蛍がつとめて
「え、俺?」
蛍は戸惑いつつも、中央の席へ向かう。
「内大臣さまの仰せときいておそるおそる参内してみりゃ、こういう罠か。
でも俺レフェリーなんてむいてないと思うよ?世の女性にあまねく愛を
配って、誰からも愛されるこの俺じゃあさ」
「いいから黙ってやれ」
光がにこにこ斬るので
「おおこわ。へいへい」
蛍は首をすくめて着座した。
今日は御前対決で
帝、中宮、権中さん
その他きらきらした童や女房たちも仕えてるから
ただの遊びではない、ちょっとした公式行事に見えた。
「左、右、左、右」
蛍はそのスポーツマン的な瞬発力で、さらさら勝敗を決めていった。
それでもたまに迷うと
「ひかるー」
軍配代わりの扇を持ったまま、光に助けを求める。
「それは右でしょう」
そこを中宮さまがフォローするので
「あ、はい」
蛍はすなおに従った。
時々、さし答へ給ひける程、あらまほし。*
そうかな
光は小さく自問した
女から見れば、そう見えるのかね
彼女は奥に座しているが、どっしりと落ち着いて
女帝の貫禄十分だった。
もう立派な政治家になっちゃったんだね。
人の上に立っているのが似合う人のようだと
少し寂しく思う。
絵合は夜までかかった。
最後、須磨、明石の巻に話題は集中して
結局梅壺側が勝った。




