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朱雀と弟  作者:
第一部  同じかと思ひにけるよふる夢は君がひかりに消さるまぼろし
23/175

8-1 もう会えないの

八.葵

 おほかたに花のすがたを見ましかば露も心のおかれましやは*

やましくない心で、あなたの姿を見られたならば。

花宴から二年が過ぎた

すでに朱雀の御世になっている。

光は何ごとも面倒くさく、地位は重く、外歩きをしなかった。

ただ藤壺ひとりのことを、ずっと心に想い続けている。

父は隠居して、彼女とふつうの夫婦のように暮らしていた。

だから会うことはおろか、文すら出せない。

「私の弟が大切にしていた人なんだよ、どうして軽々しく扱うのだ」

六條御息所と呼ばれる人がいた。

慎みぶかく教養があり、大人で、若い男が交際するには魅力がある。

光も十代の頃、一時期はまった。

今はもう、あまり会わないけれど。

「人のため、恥ぢがましき事なく、いづれをも、なだらかにもてなして、

女の恨みな負ひそ」*

父が言うのでかしこまって、内心失笑してしまった。

女の恨みを負うなだって?

誰のご寵愛のおかげで母が死んだと思ってるんだよ。

兄が言うならまだしも、父にだけは言われたくないと思う。

淡く聞きなして退出した。

幸せそうな厚顔に腹が立っていた。


「車争い?なぜそんなことを」

光は嫌になって眉をひそめた。

いい歳した女同士が、醜いことだ。

「いいよ、俺はこの子と見るから」

紫を抱いて車に乗った

祭はふたりで見物する。

包まれるようなやさしさがほしくて、年上を愛すのに。

なぜこうも醜く、プライドぶつけあうんだろう。

藤壺ならこんなこともないだろうに。

簾垂もあげず、紫と乗った

明るく笑って時を過ごす。

楽しかった

彼女にはもう、会えないのだろうか。

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