表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朱雀と弟  作者:
第四部  借り物を返す旅路のはじまりにさしのべらる手二度と離たず
129/175

32-5 昨日より今日

「えっ、妊娠?!」

この前嫁入りさせたばかりの娘がもう妊娠したというので

光はすっかり驚いて取り乱してしまった。

「妊娠てあんな若くてもできるの?!」

「女は皆違うんだよ。体が丈夫なら、若くても産める」

こういうことにはむしろ夕霧のほうが冷静で

妹の具合をきき、妊娠期に応じたケアをしてやる。

夕霧が手慣れているのには理由があった。

彼はこの時期、すでに息子を持っている。

本文中に記載はないが。一切記載ないのだが。

「ちょっと初孫って重要なんじゃないの?夕くんなんで見せてくれ

ないのー」

「見せて何になるんだよ。姿を残せるわけでもなし」

夕霧はさらっと言って、相変わらずそっけなかった。

男の子ってこんなもんかねえ。

父光も思わずほろりとする。

「とにかく安定期までは注意が必要だから。変なストレスかけんなよ」

慣れた調子で去ってしまった。


明石姫君は悩ましげに、でも実家に帰れてくつろげるのか

紫と気安くすごしていた。

この機に、三宮さまにもお会いしようかしら。

父朱雀からもねんごろな消息がきていた。

「ふつつかな娘ではございますが、どうか許してやってください。

よろしくお願いいたします」

かしこまって、すごい平身低頭

まるで私のお嫁さんに下さるような言い方ね。

先帝ともあろうお方も、娘の前では一人の親らしい。

思わず苦笑してしまう。

あるべきかぎり、気高う、恥づかしげに整ひたるに添ひて、花やかに

今めかしく匂ひ、なまめきたるさまざまの薫りをも、とり集め、めでた

き盛りに、見え給ふ。*

去年より今年はまさり、昨日より今日はめづらしく、つねに目馴れぬ

さまし給へるを、「いかで、かくしもありけん」と、おぼす。*

相変わらず、紫式部の紫褒めは著しかった。

歳とともに増す、永遠の輝き。

三宮も緊張しつつ、彼女と対面した。

「私も絵が好きでね。人形も、いつまでも捨てられなかったわ」

そんなふうに話す姿が若々しく美しい。

本当にやさしそうな方。

宮さまも、すぐ紫に好意を感じた。

頻繁に手紙などをやりとりして、同じ邸内どうし

隔てなく付き合う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ