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朱雀と弟  作者:
第三部  母なき子よたりいつたり集ひきてあひ惑はんやしあわせ探し
120/175

31-4 ねくたれの御朝顔

「んー…」

二日酔いに後朝の疲れが重なって、夕霧はまだ眠そうだった。

でも今ですらすでに遅い時間帯なので

夜も明け果てた頃、そっと退出する。

ねくたれの御朝顔、見るかひありかし。*

見ないでよ。

夕霧、眉間に少し皺が寄っていた。

頭、痛い…

ほうーっと息をつきながら、六條邸へ帰る。

「どうだった?新妻の抱き心地は」

光はにやりと笑って夕霧を眺めた。

親のひいき目なのか、いつもより美しく輝いて見える。

「ん?」

夕霧は眉をよせてふり向くと

「別に」

いつものそっけなさで返した。

とりあえず、服の馴れ方がただならねえんだけど。

甘い匂いもつけられちゃってるし

すっかり女に存在感主張されてる。

まあこの子は気づいてないんだろうな、そういうことに。

ただ無邪気に頭痛抱えて帰る夕霧を、父は可愛く、いとおしく思った。

「これで女に慣れたからって、調子乗って浮気すんなよ。内大臣さん

って怖いから。器の広い人と見えるけど、結構嫉妬深いし、難しい人

だから」

また偉そうに説教した。

「だからそれはあんたのせいだろ。六位もお后も」

「いや、俺は悪くない」

「もう」

光はにこにこしながら

「雁ちゃんとならお似合いかな」とうれしく思った。

気心も知れてるし、年上女房だし。

夕霧ぜったい年上女房が似合うよ

言わないけど、そう思う。

悪態つきあうふたりは兄弟のように見えた。

夕霧は光に慣れてるので、おっさんおっさんとのたまうが

普通の人から見れば、やはりふたりの美には特別の輝きがある。

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