第10話 ドタバタパーティー結成?(仮)
【世界からしたら、今、わたしの過ごすこの時間は、ほんの一瞬の出来事なのかもしれない。 だけど、わたしにとってはこの『今』がかけがえのない思い出。わたしの色々な記録が詰まった『カラーメモリー』。 ~少女と不思議な虹鳥~ おしまい】
パタンッ
室内に本が閉じられる音が響く。
僕は、静かに部屋の天井を眺め余韻に浸る。
「おもしろかったー」
読書で固くなった身体を大きく伸ばし、「くうー!」っと興奮を抑える。
読書が結構好きな僕は、ピンコさんがいつの間にか実家から持ってきていた本が気になり、大広間に乱雑に置かれた本を眺めていたら、快く貸してくれた。しかし、よくよく考えたらこの世界の文字を知らなかった僕がなんで文字を読めるのかという疑問を持つと、ラフルさん曰く、『転生特典で読めるようになっている』とのこと、確かに、言葉が通じてるのも気になっていたが、そういうことなのか。そんなこんなで遅読な僕は、数日かけてその本を読んだ。そしたら、面白いのなんのファンタジーでぶっ飛んでるのは、そうなんだが、そのぶっ飛び方が良い意味で世界観を作っていた。
「さて、返しにいくか」
部屋を出て広間に行くと、そこでは3人共揃っていた。ラフルさんはピンコさんの本を借りて読んでいるようだ。ピンコさんとフラウムさんは楽しそうに談笑していた。
ピンコさんはこちらに気付き顔を向ける。
「おお、どうしたのじゃ?何か用かのう」
まるで我が家のように振る舞ってるな、こののじゃ魔女。まあ、確かに用があったのだが、一応、はっきりとさせておこう。
「一応、確認なんだけどさ、ピンコさんなんでここに住んでるの?」
「そんなもん。住みやすいからに決まっておろう」
隠す気がなかったようだ。そこは嘘でも理由つけるところでしょ?
「なんじゃ?お主は一緒に住む女性を追い出して、家無し生活でも遅れと申すのかのう?」
「人の家、吹き飛ばしてなにを申すかのう」
「それは言わない約束じゃ」
「別に約束した覚えはないのじゃ」
僕の完璧なカウンターにピンコさんは目を逸らす。いや、読めてるカウンターでしょ。こののじゃ魔女は記憶力がないのかのう?
「で、どうしたんじゃ?」
都合が悪くなったからか、時を戻し出した。ツッコムのも面倒だったので、そのまま話に乗る。
「借りてた本読み終わったよ。とても面白かった」
「おお、そうかいそうかい。それはよかったのじゃ。貸してたことスッカリ忘れてたのじゃ」
本当にこののじゃ魔女は記憶力がないのか?
まあ、僕も読むのに数日かかったから仕方ないかと気を取り直して話す。
「主人公たちの虹鳥との冒険、本当に面白かった。面白過ぎて僕も冒険したくなったよ」
その言葉にフラウムさんはガタッと震えると椅子から立ち上がり、目を輝かせて僕の手を掴んでくる。
「そうなんですわね!いいですわよ!行きましょう!今すぐ採掘にっ!」
彼女の前では禁句のことを言ってしまったようだ。
「いや、物語の話だよ?まあ、いつかはちょっと手伝ってあげたいなとは思ってるけど」
「いつかって『今』ですわ!」
このお嬢様、結構強引だな。まあ確かに、いつかお礼するって言ってなあなあになっちゃってる部分もあるからな。
「わかった……正直、今の僕じゃ、どこまで役に立つか分からないけど、簡単なものだったら付き合うよ」
「『パーティー結成』ですわね!」
「まだ、『仮』ね」
こんなに期待する女性を無下にはできないので、強引だが、『仮結成』と言った感じか。パーティー結成がこんなんでいいのか?
そんな僕を知ってか知らずか、ピンコさんはニヤニヤと近づいてくる。
「フウタさんや、パーティーのメンバーが女性だけだからって、手を出しちゃいかんぞ?」
「いや、さすがにそんなことしないよ」
ピンコさんは「ほれほれ」とツンツンしてきて面倒臭い絡みをしてくる。
「そうですわよ。フウタさんはそこはしっかりと弁えてる方ですわ。ですが、好みの方がいるのなら話は別ですけど」
フラウムさんは何故か恥ずかしそうにするが、まあ、僕が手を出すことはないとはっきり言える。何故なら、普通に僕はヘタレだからだ。……自分で思って哀しくなってきた。
「『巨乳好き』です」
「え?」
突然、聞こえた言葉に僕たちは顔を向けると、ラフルさん真顔でこっちを見ていた。
「『フウタさんは、巨乳好き』です」
急に人の性癖バラさないで!?しかも、なんで知ってるんですかね?……って、知ってたか……僕の全てを見たって言ってたもんな……恥ずかしくて死にたい……。
ラフルさんの言葉に2人は静かに僕を見つめる。
その顔やめて!
「CカップからDカップが好みです」
「うぐっ……」
さらなる追撃。僕は、苦虫を踏んだような顔をする。
2人は顔を下げ、自分の胸を見る。さぞかし地面が美しく見えるだろう。
それを見たラフルさんは何故か勝ち誇ったように「……ふっ」と鼻で笑う。
「ほ、ほーん……ほーん……まあ、男なんて所詮は胸しか見てない獣じゃ、まあまあまあ、わたしゃは大人じゃからのう。そんなもん気にしてないのじゃ。この変態がああっ!」
うわっ!?急に叫ぶな、ていうか、めちゃくちゃ気にしてるし、のじゃ付け忘れてるじゃん。
「ワタクシだって……ワタクシだって……能力さえ授かって入れば、盛る事ぐらいできますわ!」
いや、能力あれば盛れる訳じゃないからね?逆にもし、そんな能力で嬉しいの?
いきなりパーティーに亀裂が走ったんだが?
「そうじゃ、そうじゃ、読書好きのフウタさんにおすすめの本があるのじゃ。きっと、お主のお気に入りの娘が載っておるぞ?」
そういうとピンコさんは本の束から一冊の本を渡してくる。
「……これは!?」
僕は、目を見開く。その表紙には世の男性達が喜ぶ(自主規制)。
つまり
エロ本じゃねーかっ!?
「え?これ……」
ダアァァァァンッ!!!
目にも止まらぬ速さで何かが僕の手元を掠ったかと思った。次の瞬間には、僕の持っていたはずの本が地面にめり込んでいた。
なんとなく向けられる殺意の視線に背筋が震えながら、視線を向けると、ラフルさんがとても美しい笑顔で僕を見つめていた。しかも、右手には、なんかすごいエネルギーを纏っているように見える。
僕は、何故かゆっくりと膝をついていき、両手を開け地面につける。そして、頭を下げていく。そう、必殺の『DO☆GE☆ZA』である。
「さて、どう落とし前つけてくれるかのう?」
頭上から3人の圧を感じ、ピンコさんの声が聞こえてくる。
ていうか、これって僕が悪いのか?いや、違うよね?ピンコさんがエロ本渡してきたのが悪いよね?もっと振り返れば、突然、ラフルさんが僕の性癖バラしたからだよね?それでラフルさん今怒ってるんだよね?………………めっちゃ理不尽!
「ワタクシとしては、いきなり少し難しい採掘に行ってもいいと思いますわ。そしたら、フウタさんの苦しむお顔をきっと見れますわ…………ふふ」
その笑いやめて!顔見なくても分かるよ?絶対S顔してるよね?女の子こわい!
「パーティー結成ですね。これから楽しくなりそうです」
ラフルさんの優しい声が聞こえてくるが、なんだかとても顔を上げれる状況ではない。
パーティー結成こんなでいいのか!




