二人は木枯らしに運命を見つけた
はじめまして。よろしくお願いします。
来世も絶対に添い遂げようね!と夫から熱烈に愛され感謝しつつも重すぎる愛に照れ、持て余し気味だった自分には乙女ゲームのヒロインは無理だ。それに万が一にもヒロインを愚民扱いする悪役令嬢にザマァされるのも勘弁願いたい。
そんな訳で私は前世を思い出した瞬間、多くの人がいる街中で、神様!私にどんな恨みがあるんですか!?と空に向かって大声を上げてしまったが、思い出したのが学園に受験しに行く直前だったから、ギリセーフです、神様!ありがとうございました!と、また空に向かって大声で礼を言って頭を下げたのは、その年初めての木枯らし第一号が吹いた日のことだった。
あれから一年過ぎ、木枯らしの号数を数えることすらしなくなった冬の日。私は魔法学校の女子寮で悪役令嬢が作るホットケーキをご馳走になっていた。
前世を思い出したものの、貧乏男爵家に生まれた私は進学しないで結婚や就職することは先の将来に対して得策ではないこともわかっていたから、学園と同じく成績優秀なら返済不要の奨学金がもらえ、おまけに卒業後の就職率ほぼ100%という実績がある魔法学校に入ったのだが、何故かそこにはいないはずの悪役令嬢がいた。
「どうしたの?早く食べなきゃ冷めてしまうよ?もしかしてチョコソースが気に入らなかった?待ってて今直ぐベリーのソースを」
「ううん、食べる!チョコ大好物なの!いただきます!」
学校一の天才で男装の麗人として男女を問わず人気のある彼女は、まるで雛鳥を世話する親鳥のように同室となった私に親切にしてくれる優しい人だった。
もしかして私と同じく彼女も……と、探りを入れたら、国の為に王子の婚約者を務めていた彼女は一年前に自身の魔法の才に気づき、愛する民の為に魔法使いになりたいからと円満に婚約解消したのだと教えてくれた。
「マジ天才だよね!この世界にはなかったチョコソースを作り出しちゃうなんて!」
「フフ、私の愛する民の大好物だから頑張って作ったの」
「へぇ、そうなんだ?でもホント凄いよね。もしかしたら将来、性別を変える魔法薬だって作れちゃうかもね!」
「ありがとう。それが最優先目的なの」
「え?」
「愛する民のために絶対作るから傍でずっと応援してくれる?」
「勿論だよ!」
一年前、木枯らしの中、空に向かって律儀に頭を下げてた姿に前世の最愛を見つけた悪役令嬢は、愛する民の満面の笑みを見て、満足そうに微笑んで追加のチョコソースを注いであげた。
ここまで読んでくれてありがとうございました。




