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第9話

ある日の昼。


ある日とアヒルが似ている問題を完全解決すべく全スキルツリーをカンストしようとポイントを割り振っていたら物理的に足りないことに打ちひしがれていた俺は、気分転換と今期分寒天の消化のために学園内をウロウロしていた。

決して「学園長がまた呼んでます」と言われてまたかよマジかよしょうがねーなーと学園長室に行こうとウロウロして迷っているとかではない。


「大体にして、真・高速四足歩行スキルとか、阿修羅バスター限定回避スキルとかのスキルツリーなんてスキルポイント割り振る一択じゃないかこれが孔明の罠か。いや、これはイリスの罠だな。はた迷惑な奴めバツとして『腹八分で止めると逆に太るスキル』を全身に付与して懲らしめなければ。」


【濡れ衣も大概にしなさい。】


濡れ衣?それはなんだ湯あみ着みたいなやつか?それとも伝統芸ですとか何とか適当な理由をつけて豪雨のステージで踊った後の湯気が立ち上る民族衣装もどきか?まあいいか、そのうち何とかなるだろう、と今日も楽しくイリス女史との会話を繰り広げた俺の目に、笑いあうヴァルシャル姉妹が飛び込んできた。


「よう、今日も真面目に授業でているようで関心関心。」

「言われんでもちゃんと出とるわ。」

「まあ、実際新鮮だよね。人間の創意工夫は馬鹿にならないよ。」

「そういうもんか?」

「そうそう。」


それにしても、こうして穏やかに笑っている2人を見ると、完全偶然結果オーライではあるが良かった良かった。どうせ竜なんて殺しても死なないだろとか言って適当にやってたからな。いや違うか、結果が全てのこの世界、事実は小説よりも血合いだ。ん?気合いだったかな?


「一応言い訳しておくが、完全偶然結果オーライではないぞと、震える舌で告白するぞこの俺。」

「は?まあ良く分かんないけどいいや。」

「お主も、ただ散歩しているわけでは無かろう?」

「は?何を言っているのか良く分かんないですけど?別に迷ってなんかいないんですけど?これは俺の中にいるもう一人の俺が『散歩?いいよね、右足、左足、スキがないよね。この俺のた、泰然自若な散歩風景を楽しんでほしいな』と囁いているだけなのである。そうなのである。」

「で、何処に来いって言われたの?」


即席魔導陣展開。


《学園長室》赤

《学園長室》橙

《学園長室》黄

・・


しゅいーん。


《学・園・長・室》


「七色展開、即席立体形成魔力圧縮文字withT!」

「無駄に技術がすごい…素直に口で言えば良かろう。」


あきれる様子のヴァル。まあ、そうだろうな…。何せ文字の大きさが小さすぎる。見栄えが悪い。全天の七割を覆う位の大きさにすれば良かったしょぼーん。これは最早、腹を切って詫びる覚悟。ということでイリス女史、短い付き合いですけどありがとうございました。お手元に白装束と刀を送っておきました。来世でまた会おう!


【何故私が!?しかも受け取り拒否が出来ない!】


まあ、2秒ほっとけば勝手にロボットに変形するので、いらないならそのまま部屋に飾っといてくらはい。あ、一応40000TOPSのNPU詰んでるから女神AIをやらせても大丈夫です。つまりイリスが遂にお役御免!?さようならイリス、来世でまた会おう!


【お役御免とか不吉なことは言わないでください。ただでさえ最近…】


ということで、イリスの闇が深まる前にチャットを終了した俺。

でもって目の前の姉妹にも「あ、置き配の荷物が明後日届くのを二徹で待つのを忘れてた!じゃあまたな!」と立ち去ろうとすると、右手をシャルに掴まれた。


「とか言いつつ行くんだろ学園長室。案内するよ。」

「そうじゃな、儂も別に急ぎの用事があるわけでもなし、付き合おう。」


と言って左手をつかむヴァル。


なんだこれ、連行される宇宙人か?待てよ異世界人って王貞…じゃなくてワンチャン宇宙人みたいなものじゃないか?ということは、このまま俺は『マジで巡航ミサイルに磔の刑にされる12時間前』つまりMJ12状態にされてしまうのか?これは一大事、この危機を乗り越えるためには学園長にこの危機とジャンボハズレくじ10億円分を擦り付けるしかない。


「しょうがない行くか!こっちだな!」

「だからこっちだって。」

「お主本当は行きたくないんじゃろ?」

「そんなことはないぞ。決して『もう何年も解析が進まなくて…』とか言われるだけだしー行く意味ないしーとか思ってないしー。」

「いいから、ほら行くよ。」


くっ、強引に強硬に連行される俺は無カなのだろうか…ちなみに「カ」を片仮名にしているのは内緒だ。それにしてもこいつら妙に楽し気だが学園長から密命でも受けているのか?それともこの俺の超絶技術を掠め取る蚕業スパイか?!こうなったらしょうがない最後の手段だ!くらえ!スーパー、イナヅマ…


「キーーーッ…」

「大人しく連行されなよ。」

「そうじゃな。」


まあ、いいか。

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