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第7話

1ヶ月が過ぎ、入学した。


その間、特に何があったわけでもなく、せいぜい正体不明の星の数ほど押し寄せた正体不明の正体不明物体を指先一つで片づけた正体不明の俺のレベルが振り切れて新たな真・超魔王NEXTとして全宇宙に君臨して秒で譲位したくらいだ。

ちなみに入学と同時に6歳になった俺。エスも5歳になった。5歳になって俺に追いつけると思ったかバカめ、年齢が追いつくためにはもう一工夫必要なのだガハハ「いえ別にいいです」あ、はい。


それはそうと俺もエスもSSSSだったことは、両親も喜んでいた。Sが4つ程度では全く足りない!学園に直談判だ!とか何とか騒いでいたが、これ以上増えると言いにくいので学園辞めます、というエスの一言でピタッと黙った。まあ、これについてはエスに同意だ。激しく。


「ということで今日から普通に授業を受けようと思う。というか授業の仕組みってどんなんだっけっかっね?」と、授業初日にクラスの面々に聞いた時の反応はこちら。


「そのくらいの気軽さで人生を過ごすのも悪くは無いのかもな。」

「ラルクお兄様の受講予定を伺ってもいいですか?」

「真面目に授業受ける気があるのね。ちょっとびっくりしたわ。」

「知らん。他の奴に聞け。」

「お前もあの講堂に居ただろ、何で知らないんだよ。」

「兄さま、授業の仕組みと今後の学園生活必勝㊙めちゃガイドVer.Kaです。兄さまなら速読法で0.2秒もあれば十分かと。」


パラパラ。よし把握。エスの有能さが光る一品だな!このまま出版して1冊10兆ZWDくらいで売り捌いて夢の印税生活だ!

ちなみにラルクの弟の第6王子ロットくん7歳もいるが、この子はSSSクラスだ。今年はSSSが1人しかいなかったということで、協議のうえSSSSクラスと合同となった。多少兄を頼り気味ではあるが、しっかりした良い子だ。うむうむ。


「あとお前らはマジで何のためにいるんだ?竜が人間の授業なんて聞いてもうまみみひだりかぜだろ?」

「儂らとて、万能でも無ければ、サボれば技術の腕は落ちる。何だかんだで勉強は重要なんじゃよ。」


へー。竜、真面目。もっと『この世の全ては色不異空空不異色』とか『踊らにゃソンソンカプコン』とかいう人生観だったと思ったった。というかあれか、そういう人生観なのを馬鹿正直に明かすとヤバい人認定されるから『人間も侮れん、儂らも日々勉強じゃ』とかある事無い事吹聴して巧妙に隠蔽しているつもりなのか、まあ準全知準全能な俺にはバレバレなんですお疲れサマルトリアの王子。あ、王子居たなここにも。


「隠蔽工作…中々世渡り上手なものよ。」

「盛大に勘違いしているのだけは伝わったわ馬鹿者が。」

「それはさておき、今日は何の授業だろうか、さっきのガイドにもあったかもしれないが、ここは場を纏めるTATSUJIN EXTREMEであるアイリーンに聞いてみよう。」

「何で私よ。まあいいけど。今日は初日だから今後の履修計画がメインのはずよ。科目としては機能魔導学、多重魔導陣続論、魔導代結線と構造解析Ⅰ&Ⅱね。まあ、SSSSクラスに入る人なら今更やらなくてもいいと思うんだけどね。」


ふんふんなるほどですね。そうなんですね、へー、ほー、ふーと過呼吸になりながら平静を装ってエスを見ると、エスも俺を見ていた。

「兄さまは勘と運と超常能力で全て解決してしまうので、深く考えなくて大丈夫ですよ。」

エスが言うならその通りに違いない。じゃあいつもどおり必殺50連打でもやりながら様子を見よう。


すると、教室の扉がガラガラと開き、一人の老人が入ってきた。


「おはよう皆さん。今年のSSSSクラスは粒ぞろいで何より。私も年甲斐も無く興奮していますよ。」

「学園長?」

「今年のSSSSクラスの担当は私が行うことにしました。」


トース学園長が担任?

それは良い冗談?悪い冗談?上段の突きを喰らうっしっし?


「前例とかあるんですか?」

「通常ならば、ありえません、とだけ。」

つまり通常ではないと。まあそうだろう。7人中王子2,竜2は控えめに言って一大事だ。

「一番の問題は、あなたですよレイン。」

「ええっ!私の評価高杉…?」

「そうじゃろうな。」「まあ…。」「ラルクお兄様も立方魔導陣基礎解析を受講しますか?」

「兄さま、こういう時は皆で落ち着いて授業を受けるのが良いと思います。」

うむ。俺もそう思う。全くそう思う。平々凡々ボンボン会館な学園生活のために、クラスで一丸となって全力で授業に臨もう。


「では学園長、張り切ってどうぞ。」

「それでは。通常ならば今後のカリキュラムの説明などを行いますが、私の権限で不要と判断しました。ということでこれが約7年前に発見された三角四重積層構造魔導陣の原本です。誰か解読出来る方はいますか。いや、出来れば居て欲しい、というかホント頼みます…。」


いやいや、一応学園なんだから授業しましょうよ。予定を全部吹っ飛ばして進まない研究の片棒担がせるって流石の学園長でもやってますやん、それやってますやんって似非関西弁は批判が嵐のように輝くので止めておこう。


「兄さま、学園長は四重積層とおっしゃっていましたが、こういう二層づつに分かれて起動する構造もそのように定義するのですか?」

「ん?一応定義上はそうだが、この場合は分かれているのは陣解析技師と積層技師の未熟さであって分かれている意味は無いな。上二層の第二魔導象限区と第三魔導象限区の位置関係が悪くて起動に0.2秒くらい無駄があるし、下二層は効果に対して記述が多すぎる上に上二層との連結魔導結線に失敗して繋ぎ直した跡がある。まあ四層に挑んで失敗したから応急措置で辛うじて繋いでみたってとこだろう。正確にはこれがこうなればいいんだが、まあ技術諸々不足していたんだろうな。」

「当時の技術の限界ということですか?」

「いや、単に担当技師の熟練度と思い込みの激しい性格のせいじゃないか?この陣の効果なら間にもう一層挟んでおけば安定するし。それでも従来の極光魔法の起動縮退制御効率を僅かに改善する程度だから、この程度の効果なら…」


かきかき。

ブーン。


「この単層魔導陣の方がよっぽど優秀。ということで後はよろしくです学園長。」

「え、ええ。分かりましたありがとうございます。」


やれやれ、今日の授業もこれで終わりだな、さっそく川に主釣りに行こう!近くに川ってあったかな。湖なら例のキラス湖があるが、奴が釣れたら嫌だから却下マンです。


「ということで行くぞ妹よ。」

「いえ、私はもう少し学園長とお話をしますので。後で追いかけます。」

「ん?そうか。じゃあまた会おう。わははは。」


レイン一人退室した教室に、誰とも言わず響くため息。何とも微妙な雰囲気の中で、エスターリアがトース学園長に話しかける。


「トース学園長、先ほどの魔導陣は見た目単層ですけど、超超圧縮積層構造で実質28層です。ちょっと今の技術で再現できるか分からないので、あまり広めない方が良いかと。」


それでは私も失礼します、とペコリと頭を下げてから退室するエスターリア。


教室には再び、誰とも言えないため息が響いた。

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