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第3話

さて、学園下見までのしばしの間、自室に戻った俺はさっそくアレに取り掛かる。


「アレっていうのはだな、えーっと、つまりだ…。」

そう、これは勢いでアレとか言ったけど実は何も考えてなかった、という訳ではないからね!という言い訳を、誰もいない部屋と見せかけて大抵天井裏に隠密的な従者が潜んでいると見切っている俺は、そいつに聞かせるように「アレのことさ!」と大きめの声で宣言する。


しーん。


「いますよね。」


しーん。


「まあ、隠密だから居たとしても返事はしないだろう。」

と言った瞬間、天井から【こんなこともあろうかと準備しておいた垂れ幕です。いないのであしからず】という垂れ幕が垂れ下がってきたが光速でみじん切りしておいた。

というかこういう時は光速で動けるんだな。よし、この技に名前を付けよう。都合が悪い出来事を一瞬でなかったことに出来るスキル『イリスの逆切れ』だ。


【やめなさい。】


逆切れもとい、スキル『イリスの御業(逆切れver.)』を手に入れた俺はもはやあれだな。イリスと一心同体だ。つまり俺の中にイリスが入っているのだ。俺、イリス入りっす。



さて、一瞬で冷静になった俺。

せっかくだから自分の能力をもう少し確認しておこう。

5歳児だが頭脳は…すごくすごい。

5歳児ではあるが身体能力は…すごくすごい。

でもってその他、すごくすごい。

よし、じゃあ試すか、と言いながら窓から手を出して「暗黒極光聖魔法奥義、東西南北中央腐敗!すべてを焼き尽くせ、まではしなくていいからそこそこ燃えるかどうか確かみてみろ!」と叫ぶと、はるか遠くに聳え立つ山が真っ赤に燃え上がって上半分が爆発四散し噴火したが、すぐに何事もなかったかのように休火山化した。


んー、まあ、この世界で敵なし程度の能力ってことかな?だが、屋敷内では二番目だ。じゃあ一位は?当然俺だ。一人だけど一位二位独占。このomnipresent感が隠し味だね!


「でもってアレだ、異世界といえば…ステータスオープン!」

シュン!

ブーン。

ピピッ。

ガガガガガ。

ブーガガピーーーーボヒュン。

お、本当に出た。何か爆発して煙を出しているが「LV:ひとよひと◎にひと∵ごろ」とか表示自体は出ているので大丈夫だろう。細かい点で気になることはあるが、恐らくイリスのうっかりが原因だろうと見極めた俺はその他の表示に目を向ける。


「ふむ…。」

そして表示される様々なステータスを眺めていた俺は、一つの結論に達した。


何が書いてあるのかさっぱり分からん。


爆発したからか?いや、やはり女神のうっかりか原因だろう。このうっかりさんめ。

そしてステータスの隅に何故かここだけ読める『本来はこの世界に居ない存在』については気にしたら負けだと思ってる。


【通常はステータスが表示されるのですが、多少無理に転移させたことで表示がおかしくなっています。身体能力やスキルについては、この世界では最上位に位置する状態にしてあります。実際に使って確かめてみれば、自ずと理解できるでしょう。あとうっかりではありませんよ。】

「はい。分かりました。うっかり様。」


【この世界は楽しくも厳しい世界です。相応に力がなければ何かを為すこともままならないでしょう。だから違います。】

「はい。分かりました。うっかりイリス様。」


【女神から授かった力なんですよ、凄いんですよ。分かってます?】

「はい。分かりました。八兵衛様。」


【はあ…あとは、我々の都合で転移させてしまった償い、ということもありますが。あとこれが最後です、うっかりではありません。】

「はい。分かりました。大イリス大女神大先生。」


【そこは「償いとは?」って聞くタイミングですよ。あと手のひら返しが過ぎます。】

「償い…つまり、俺がイケメン兼イクメン(される方)でごめんなさいこぱわあ、一生ついていきます、抱いて!ということですよね?」

【違います。】


つまりあれだろ、次元間のパワーバランサーとしてイリーガルファンクションコールな存在を再定義しないと多重次元を管理する無限の天秤が崩壊しかねない、金がない?金はある!まあ無いよりあったほうがいいよね、要はそんな感じで崩壊するよりは崩壊しないほうがいいよね、ほうかいほうかい、ってこと。

「ですよね?」

【まあ…大筋で合っているのが逆に怖いですが…。】


うむうむ。俺の超絶チート能力(仮(新(真)))が神々の都合もアッサリと暴露しちゃいますYO☆


【ちなみにこの会話は他の神々と共有しています。羽目を外し過ぎてはいけませんよ。】


なんだとマジもんでプライバシー無視マンカゲマンじゃねーか。暴露したと思ったら暴露されていた、何を言っているが分からねーが、ってこの暴露系V女神erめ。なんて読むんだこれ。ばくろけいぶいめがまー?俺の私生活と純真を返せこのめがまーめ。めがまーめってメラゾーマに微似てるな。

これはめがまーめではない、めがだ、みたいな。



さて、一瞬で冷静になった俺。

まあ都合よく女神その他大勢いるであろう神様方とお話ができると思えば、この女神AIとの脳内会話も悪くないと思い直した思いを胸に、さあ、全裸ミニスカート、じゃなくて下だけミニ、じゃなくて下見に行こう!



再び一瞬で冷静になった俺。

頭の中で【女神をAI呼ばわりしない!】とガンガン文句をつけられている気がするが気のせいだと思うことにして、更にメイドさんとのやり取りと移動等々途中の行程等々全て割愛、着きました学園。

我がメルカニア王国の中心部に位置する、愛と勇気と海と山と大空が静かに眠る学園スニュートスニア。


「兄さま、スニュートスニア魔導学園です。」

「って何故いるのだ妹よ。」

「当然です。当り前です。兄さまを一人で放り出すのは限定ランチの列に割り込むくらいの重罪ですので。」

「それは重罪過ぎてぎゃふん、と言っておこう。しかし俺も大概だが、お前も4歳とは思えんな。実は175歳くらいサバ読んでない?あ、それは俺の前世だったわ。180歳まで生きるって宣言して5歳で死んでりゃ世話ねーわって死んでねーかぎゃはは。ぎゃははって笑ったの生まれて初めてです。」

「大人びているという点では兄さまには勝てませんが、自分も頑張っているのです。褒めてください。」

「よしよし、では盛大に褒めてあげよう。」


そーれどーん。


次の瞬間、雲一つ無い青空に、巨大な文字が浮かび上がる。

《よしよし。いい子いい子。》

しかも全ての文字が違う色にビカビカ光っているぞ。芸が細かいだろう?おれマジ有能。


「ありがとうございます。満足しましたので、今すぐ消してください。疾く。」

「うむ。余も千疋屋、もとい満足じゃ。」

シュイーン。

「じゃあ行きましょう。来月入学する方々は既に講堂に集まっているようですので。」


といってスタスタと歩く妹。そういえば名前なんだっけ。えーっと「エスターリアです」そうそうエスターリア。小さい頃はエスって呼んでたって今も十分小さいじゃねーか。まいいか。


さて、一瞬で冷製スープを懐から取り出して一気飲みした俺は、「今は一気飲みとかコンプラ云々」と呟きながらエスの後を追った。

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