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第15話

「あれは…学園長ではないな。学園長に成り代わって演習会を荒らしに来た正体不明の存在だ!」

と俺の第六感の囁きに身を任せて、ズバッと学園長もどきを指さす俺超格好いい。素敵。


「いえ、あれは少々熱くなり過ぎた学園長ですね。」

「そうじゃな。」

「何であんなポーズ取ってるんだ?」

「あ、流石にやり過ぎたと思ったな。取り繕おうとしている。」


ということでズバッと学園長を指さす俺も一緒に取り繕っておこう。

えへへへ。



「それでトース学園長、演習会への参加は学生のみではないのですか?」


と、場が多少収まったところでド正論をぶつけるエス。俺も同感だ。怒声と土星が飛び交うこの惨状「怒声は無いね」「土星とはなんじゃ?」この状況なら当たり前の意見、当たりが前?ということはハズレは後ろということになるのか?前から順番に当たってしまったらそれはクジではなくて先着順では?よしこの疑問を解決すべく土星にひとっ走り行って「兄さま学園長とお話ししましょう」はい。


さて、一瞬で冷静になった俺。

「学園長、先生方の参加は事前情報には無かったようですががが?」

「今年は生徒の指導を主な役割として、特別に数チームが参加しているのですよ。」

「今年は、というと例年は違うのですね。」

「ええ、今年は、です。」


と何故か視線を俺に向けてくる学園長であるトース氏御年…何歳だ?風貌だけなら200歳位いってもおかしくないが…聞いてみるか?どうする?プライベートに踏み込むのは今どきNG…NGって最近言わなくなったな。ちなみに意味は『Nyarlathotepが例の黒光りするアレ、すなわちGの姿で人前に姿を見せたら何とかジェットプロで速攻駆除出オチ』の略だった気がする流石にその顕現の仕方はNoGoodだろニャルさん。


「どうせあれだろう?『レインさんとの試合を楽しみにしていますよ。なお我々が勝ったら一つお願いしたいことがあります。私の入れ歯を探して下さい。先祖代々伝わる由緒正しき入れ歯なのです。』とか言うのだろう?そもそも入れ歯を受け継いでも3K状態で使い物にならんから止めておけ、というシェフの気まぐれな有難い忠告を沿えておくぞ。あと3Kは古米・古古米・古古古米の略ですテストに出るぞいや出ないかも。」

「相変わらずの反応の速さですが、前半部分は正解に近いですね。」

「政界に近い!?まさかこの俺に王となり皇となり国の央で責を負う往々にして翁まで面倒な厄介事を押し付けるとでも!?」

「レインが散々学園長の呼び出しを無視しているからじゃないの?」

「お主結局我らに投げっぱなしじゃろ?」

「兄さま、学生の主たる目的は勉学と自己鍛錬だとは思いますが、可能な範囲での研究協力もお考えになって良いかと思いますよ。」


おお、これがあれか、紙面過疎化…じゃなくて四面楚歌というやつか。これは昔『面』という同じ名前の国が四つあってものすごく紛らわしいことから『じゃあ俺は四』『じゃあ俺は楚』『じゃあ歌で』『え、おれ面のままでいいの?』という国名の変更を行った話だったな確か。仲の良さそうな国々で何より。

ちなみにすぐ横で「いくら兄さまが万能過ぎるとはいえ、学園長は少々兄さまを頼りすぎです。」と説教しているエス。5歳児に諭される学園長って大丈夫なのか?大丈夫だろう。エスは超絶可愛い妹系女子だからな。可愛いは深鉢形インフィニットジャスティス土器ノダップ弐式!


「まあ、この際、もじゃ髭学園長率いるチーム『モジャ公』との試合も悪くない、と言いつつ、参加チーム数も多いこの現状では当たらない場合もありそうだが。」

「そこは大丈夫です。本戦終了後に特別な試合が予定されていますので。あと変なチーム名を勝手に付けるのはやめなさい。」

「特別な試合?それは権力をおおきく振りかざした結果か?」

「いえ、これは演習会前から決まっていたことなのですよ。しかも今年は少々面白くなっていまして。」


ん?どういうことだ?面白く、面白く…なるほど分かった。

「つまり先日二頭の皇竜が解析したばかりの『暁のドラゴンスレイヤー』で、自らが解析した武器に自らが打たれるシーンを撮影すべくヴァルシャル姉妹の有終の美を飾る試合「お前、俺たちに根深い恨みでもあるのか?」「洒落にならんからやめい馬鹿者」で、どういうことでしょうかトース学園長先生閣下翁御年200歳。」

「今年は、王族の方が上位の試合をご覧になります。また、優勝チームと学園の先生方から選抜した特別チームとの御前試合を行うことにしています。あとそこまで年齢はいっていませんよ。」

「王族の方…何方がいらっしゃるのですか?」

「そもそもエスのチームに王族がいるのは別にいいのか?で、何歳ですか?」

「ラルク王子やロット王子とは別の方ですが、何方が来るかは当日まで秘密です。年齢も。」


ふむ。どうせエキシビションマッチで、確実に優勝する俺と学園長の試合が組まれるのなら、態々参加しなくても良いはずだが…裏がありそうだな。


「裏は!」

「その一言だけだと誤解を招きかねませんが、言いたい事は分かります。態々学園長自ら予選から参加する必要があるのか、ということですね。」

「こくり!」

「頷くだけで良いですよ。そうですね、この演習会はあくまで連携の基礎を学ぶのが目的であって、生徒の皆さんもそこは十分に理解していると思っています。」

「こくりこっくりこうくりこうり!」

「ただ、今年はSSS以上に7名という、近年稀にみる状況です。」

「つまり年甲斐も無く燃え上がってしまった純粋な強さへの欲求が止められずに本来は出なくてもいいのについ出てしまった、年甲斐も無く、ということなのだな!年甲斐も無く理解した!」

「年甲斐も無く、とかは言わないように。ただまあ、少々熱くなってしまったのは申し訳ないですね。」


実際には、生徒指導という目的も一応あるんですよね?無かったら問題ですよね?と問いかけると、学園長は「も、もちろんですよ」と頷いていた。実際かなりの猛者だろうから、胸を借りるだけでも十分勉強にはなるだろう。今後は先生方が指導目的で出場するのが恒例になっても良いのかもな。


「でもさあ、トース学園長が参加するのって、結局レインとかエスとかのチームと戦いたいから、ってことでしょ?」

「そうじゃな。」

「要は学園長が直々に学生に宣戦布告してるじゃん。中々だよね。」

「うむ。相違ない。」

「しかもその余波で一般参加のチームがボコられてるし。」

「レイン、お主がきちんと責任を取るんじゃぞ。」

「イリス任せた。」

【無茶言わないでください。】

「じゃあ先生方をまとめてボコって再起不能にして学園の尊厳を勝ち取り平和をもたらす支社を設立するか!頑張るぜ!本社が無いけど!」

「先生まとめてボコるって、字面だけだと寧ろレインが悪だよね。」

「じゃな。」

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