表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

第11話

「大々武芸大会改奇々怪界?」


学園からの帰り道、エスがそんなことを言ってきた。


「演習会ですよ兄さま。3人1グループで参加だそうですが参加人数が毎年多いので、予選でふるいにかけてから決勝を行うようです。」

「つまりグループ戦を前提としつつチームを組んで、頑張って連携技とか覚えたにも関わらず、最終的には結局ソロが一番強いとかになってそれなー、とかいう葡萄大会?」

「その辺りは考えられていて、細かいルールはこうなっています。あと葡萄は美味しいですが今回は残念ながら関係ありません。」

「ふむふむ。つまりこういうことか。」


・3人で1チーム。

・3人それぞれ腕脚に布を巻く。どれか一つでも取れたら脱落

・2人脱落で負け。

・一部の身体強化系初級スキルや同様の効果がある魔導などのみ使用可


つまり、ルール上はチームのうち2人が残っていれば勝ちだが、数の多い方が圧倒的に有利って感じだな。実際もし3対2になったら、1人が捨て身で奪いに来て相討ちになった瞬間に負けだ。


「しかも圧倒的な実力差がつかないように、ルールで能力に制限を設けているのか。最初の脱落者がカギということだな。」

「そうですね。まあ演習会という名のとおり、勝負というよりは演習ですね。集団戦連携の基礎を学ばせるというのが目的のようで、能力に制限を付けているのもその一環のようです。」

「ふむ…面白そうではあるが、俺らも参加可なのか?三角なのか?参画なのか?酸化還元なのか?」

「もちろん大丈夫ですが、誰と組むか、でしょうか。」


ふむ。

入学間もないとはいえ俺、最強。

エスは対俺最強。

つまり、疾風烈風最強兄妹レッツゴーな訳で、俺らが参加した瞬間にとなりのトトカルチョが全くの機能不全、一稼ぎしようとのこのこ虎視眈々と狙っていた輩連中が打ちひしがれて引っこ抜かれて投げつけられて食べられてしまうかもしれん。ん?別に誰も困らんか?じゃあ全会場の全試合を秒殺して全観客を白けさせるのも一難去ってまた一驚だな。


「もしかして、あまり暴れすぎるとデギン…もとい出禁になる?寧ろ今回は「見に回る!」の方が良いのか?」

「そういった不安もなくはないですが、今回は出ましょう。」

「お、それは何故なにナタデココ?」

「今年のSSSSクラスは例年よりも人数が多い、けれども他の生徒との繋がりもそれほどありませんので、生徒の中には少々不安がっている方もいらっしゃいます。」

「なるほど。今のうちに見せつけて安心させておこう、ということですなすな?」

「そうですね。今後の余計なトラブルを避けることにも繋がるかと。」


なるほど、もちろん害を成す存在では無いとは思われているのだろうが、具体的にどういう人となりでどんな実力か、人伝だけでは中々分かりにくい、見えないことへの不安、ということはあるだろう。


「うむ。では出る前提でチームを考えるか…。」

「それで、兄さまに一つお願いがあります。」

「ん?何だ?何でも言ってくれれば光の速さで望みを叶え給えだぞ?」

「今回、兄さまと私、別のチームで参加してみたいと思っています。」


お?それはどういうことだ?兄離れ?肉離れみたいだな。肉離れって要は筋繊維断裂だから、兄離れということは兄断裂…?兄がダンジョンでダブル烈風拳を打つと天井が崩落するのだろうか略して兄ダン烈?


「兄さまに久々に手合わせをお願いしたいという気持ちと、あともう一つ。」

「お、ピーンと来た。来たね俺。ラルクに誘われたな?」

「はい、ラルクとロットさんと、3人でどうか、と。」


これはラルクめ、やってるな。少なくともロットくんは乗り気だろうから、あとはエスの態度次第か。

まあ何でもかんでも目の届く範囲で行動させるのが正しい行いではないだろうと思いつつ、そういやまだ5歳だよなとか思いつつ、自分の5歳の時の行動を振り返って背中が猛烈に痒くなるがまあいい望み過ぎてた若気の至りよ。


「エスも比較的前向きだな?」

「はい、兄さまと相談して、良ければお受けしようと思っています。」

「うむ。我が一族でも最強の名を欲しいままにするエスターリアよ、その力存分に示すがよい。あ、ちなみに俺は最強を上回るので最恐兼恐妻でやんす。」

「ありがとうございます。それと兄さまのチームはどうするのですか?」

「まあ、闇狩りアイリーンやヴァルシャル姉妹に聞いてみて、だな。ちなみに聞いておくが…もし、もしだが、仮に3人揃わないと………?」

「出れません。」


うぐ。これは、よーし適当にグループを作れーと言われて結局毎回先生と組んでいたという封印された記憶が蘇りそうで心臓が早鐘を打つが、そもそも心臓の中に鐘があるということは機械化されているのではないか?それならそもそも機械が制御する心臓の鼓動が速くなるということがあり得るのか?それは欠陥品ではないか?よしリコールだ心臓が早鐘を打つ可能性があります、対象の心臓型番はHB-101から…。


「兄さま、やはり私組みましょうか?」

「優しさが痛い瞬間!妹離れをしろと突っ込まれそうな俺の事案に対して気丈にも俺は大丈夫と俺の全身を震わせながら答える俺の脂汗。」

「無理はしないで下さいね。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ