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第1話

「危ない!」

という声が聞こえた気がした。

いやそれは声ではなく聲と言うべきもの…ところ聲ってなんだ?とにかく聞こえた気がしたが、その時には時既に遅し時といった時だった。


幼い少女に猪突猛進猛スピードで突っ込んできた女子学生の自転車に気付いた女子好き好青年に突っ込んできた真っ赤なポルシェを眺めていた俺が居た場所めがけてきりもみ急降下で突っ込んできたライトプレーンに驚いたのか、誰かが何かを叫んだ。それが多分「危ない!」だったのだろう。


迫るライトプレーン。

驚く俺その他数千名。そんなに居たか?

相変わらず「危ない!」しか言わない通称危ない女。

これは、俺の中のガイアが最後の手段である神龍拳の飛び道具限定無敵時間でやり過ごせと言っている、と構えた俺は神龍拳どころか小パンチすらまともに出せないことに気付いた。

そして、結局死んだ。南極への大冒険もなかった。


ーーーー


「ここはどこだ?」

人の心を落ち着かせるようなショッキングピンクが一面に広がる空間で、落ち着かないそわそわな俺は、自分の身に降りかかった出来事に思いを馳せた。


「そうか…。神龍拳ではなく中昇龍拳が正解だったか…。」

いや思いを馳せるのはそこじゃない、そもそもゲージの管理がなっていないから…いやそうではなく、というセルフな突っ込みはせずに更に思いを馳せると、思い出すのは馳氏、ではなくて死ぬ前に大切に思っていた人たちとの別れだった。


引っ込み思案で優しくて内気で勝ち気で目立ちたがりなソロキャンパーの幼馴染X。

凡そ関係した女性の生年月日・スリーサイズ・趣味趣向を完璧にデータ化しつつ自分では一切使わない親友Y。

謎の人物Z。

抜け忍α。

ポッペン売りβ。

そして、暖かい眼差しで俺の成長を見守ってくれた熱い思いと篤い人情の両親たちγΔηθι。ん?人数多いな。

僅か5年間の短い生涯だったが、楽しい人生だった。みんな、また来世で会おう!


「一人で盛り上がっているところ申し訳ないんですが。そろそろ話してもいいですか。」


おっと先客がいたかと視線を声の方に向けると、そこには母と瓜二つの美貌を持つ女神のような女性「あなたの母親とは全く似てません」がいた。

「すべての女性は美しいのでそっくりなんですよ母上的な方。」

「そういうのは今はいいので話を続けます。いいですね。」


凄い目力を感じた俺は視線を声の方から胸の方に向けると、そこには母とは似ても似つかないまな板のような「おいこら」美しい衣を纏った抜群のプロポーションが目に飛び込んできた。


「いい加減話を続けますから。聞いてくださいね。」

「分かりました抜群のプロポーションの方「いいからき・き・な・さ・い」はい。」

「まず、あなたは生きています。」


ん?どういうことだ?

死んだけど、死んでない?


「いえ、死んだのではないのです。」


つまり、死んだけど生死の境を彷徨って生き返ってそれって死んでないじゃんって突っ込みが入って反省してやっぱり生きてますごめんなさいこれからは真面目に5歳児やります、ってこと?と、いつもの調子で渦巻いた思考の渦に巻かれていると、そろそろ分かったのか諦めたのか、勝手に話始めた母的人。


「一応女神イリスと名乗っておきましょう。それからあなたは死ぬ直前に、別の世界から呼ばれたのです。これからその世界で人生の続きを過ごすのです。」

「自分、5歳児っす。突然別の世界と言われてもだめっす。適応できないっす。好きな飲み物は酢っす。」

「さっきまでそんな語尾ついてなかったでしょ。」

「混乱すると語尾が変になる病にさっき罹患しました。罹患。みかんでも羅漢でもリットン調査団でもなく。」

「一応これでも神「神?女神?麺神?」「女神です」の権能「権能?県農?JA?」「ちょっと静かにしなさい」を持つ私です。あなたがこれから行く世界との共生が可能なのかは、あらかじめ調べて問題ないと判断しています。」


そうか。まとめると。


自分、異世界転生ですから。


「正確には転移でしょうかね。5歳児のままですが問題ないと判断しました。」

「キャー間違えた恥ずかしい穴があったら雪の女王、なお女王だけど発音するとじょうおうになる病にもさっき罹患してます。」

「それから転移先での様々な対応に困らないよう、私や他の神々から幾つかの能力を授けます。」

「そんなことより転移させられた理由と根拠と申し開きを2文字で言え。」

「GO」

「分かりました。一応知り合いや両親には『知らない世界でよろしくやっていくぜこの俺』と伝えてくださいでやんす。」

「ああ、既に伝えています。反応が聞きたいですか?」

「『またアイツは変なことに巻き込まれて…帰ってきたら説教だな・ですわ・だぜ・のじゃ・うっしっし』に300ガバス」

「正解です。でもこれから行く世界でガバスは使えませんよ。」

「で、元の世界には戻れるんですかい?はにぃいんざすかい?らーくでランチ?ランチパックを朝に食べるのは重罪ですか?軽犯罪だって?軽でも犯罪になる世の中は中々に厳しい。せめて執行猶予を…」


等々色々聞きたい事や言いたい事やその他の事の回答等の反応を待つことなく、突然意識が飛んだ俺は、次の瞬間見知らぬ天井を見た。

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