チョコレートを買いに行く
いよいよチョコレート買いに行きます。
それと一時間未満のブリュッセル観光。
出先での密かな楽しみ。
それはチョコレート。
ベルギーでは売店の100円かそこらのやっすいチョコレートが激ウマだったんです。一口食べて衝撃でしたね。
なに、これ美味すぎるんだけど。
こんなの食べてたら日本のチョコレートは食べられなくなる。安いチョコなのに(くどい)甘さ控えめでふわっと漂うカカオの香り。うまか〜。
現地のオジサマに何でこんなにチョコレート激ウマなんですかと聞いたらそれはそれは喜んでね。
「ベルギーではね、チョコレートは本物のカカオしか使わないんだよ(キリッ)他の国と違って代替品なんか使わないんだ!法律で決まってるんだよ!」
と熱弁して教えてくれました。
そんなにチョコレートが好きならとダム・ブランシュをご馳走して頂いたのに。ああ、申し訳なさが混ざるほろ苦い思い出です。
こうして滞在最終日、私はチョコレートをお土産に買いに行こうと決めたのです。
駐在されているエリート社員さんに美味しいチョコレートのお店を教えて貰いました。
「ピエール マルコリーニも良いけどね、僕はここがお勧め。」
王室御用達だそうな。しかも日本に進出していない。(ピエール マルコリーニも出店していなかった時期でしたけどね)
ほう。飛行機に乗るまで少しの時間があります。グーグル先生がいない時代です。私は教えて頂いたアドレスとガイドブックを持って最終日の朝、チョコレートを買いに出かけたのです。
◇ ◇ ◇
出張中に初めてブリュッセルの市街に行ったよ~。
ギャルリー・サンチュベール。
ヨーロッパ最古のアーケードだと知らずに行きました。
そもそもベルギーについての知識皆無だった私。ベルギーったらフランダースの犬。
大昔にベルギーに縁があった人がイジられていて「ベルギー人、そんなに冷たくないから!」と抗弁していた記憶しかない。
ま、あれ書いたのイギリス人だからな。
後、これまたイギリス人が書いたエルキュール ポアロ。このフランス人が!とイギリス人にディすられる度に俺、ベルギー人(しかも元警視のエリート)なんですがとぼやいてるとこ位しか記憶に無いです。
初日、移動がてらに車中からEU本部を見たり、ベルギー人は何カ国語(オランダ語、フランス語、ドイツ語)も話せるのでブリュッセルがEU本部に選ばれたんだと教えて貰ったぐらい。英語も必修と聞いた記憶があります。確かに出先の人は普通に英語を話してました。極東からきたへなちょこ社員よりスペック高いやベルギーの人。
さて、ギャルリー・サンチュベールというアーケードは早朝なんでまだどこも開店しておらずがらがらでした。
はい、ベルギーはホワイト労働の国でした。
ほわあ、アーケードの透かし格子から漏れる光が神々しく美しい。まるで教会の中のようです。
そして夢の国のように美しいお店のディスプレイ。しごでき先輩の言っていた通りおとぎ話に出てくる様な、砂糖菓子の様な美しさ。写真でお見せできないのが残念です。
ベルギーの人って綺麗で可愛いのが好きなんだなと思いました。
特にノイハウスのディスプレイは猫さんのチョコとリボンでめちゃくちゃかわよ。写真、残っていないのです。ご紹介できないのが残念です。
ああ、観光で行けたらどんなに楽しかったんだベルギー。私は血の涙を流しました。
搭乗時間まであまり余裕はありません。時間が無いから誰もいないギャルリー・サンチュベールを早足で通り過ぎて。
名物の小便小僧は遠くからチラッと見て観光終了。グランプラスという広場も行った様な気がするけどあまり覚えていません。早足で通り様に写真は撮っていた記憶はある。
ちなみにグランプラスは世界一美しい広場と言われているそうですが当時の私は
「ヨーロッパの広場ってどこも似ているな。」
などと罰当たりな事を思っていたのです。大体、役場の建物と広場と教会という感じで構成が似ているからね。こうして一時間に満たないブリュッセル観光終了。
個人的に好きな広場はイタリアはシエナのカンポ広場。赤茶色の扇形ですり鉢状になっている広場です。傾斜した地べたに座りこむととても気持ちがよかったのです。行事が近かったのか男の子達があちこちで地区の旗を舞いの様に振る練習をしていました。広場で競馬もするんですってよ。
閑話休題
グランプラスから地図とにらめっこしながら小走りに移動してようやくたどり着いたお店はとても小さなお店でした。名前は創業者の女性の方の名を取ってとてもシンプル。
到着したのが開店前。確か10時前。
買ってからホテルまで走ればぎりぎり間に合うか。白い階段の下で待ちます。
中では女性の方がゆったりと準備していました。刻々と迫る飛行機の時間に焦る私。早く開かないかな~っとすがる様な眼差しで店員さんを見つめます。
店員さんと目が合うこと何回か。
とうとう、仕方ないわねという感じで開店時間前なのにお店を開けて下さったのです。
ベルギーの人、優しい。
ベルギーの人、親切。
メルシーボークー!
考えてみれば、はるばる東からやってきたと思われる外国人の女の子が泣きそうな顔で見ているのです。
今、思うと悪いことしたなと思います。
小さなお店のなかにはカウンターがあってその前のショーケースに並ぶ様々なチョコレート。
お互い不自由な英語でやり取りしてプラリネの詰め合わせを注文します。
日本だと、このての詰め合わせって用意されていてパッと渡されるじゃないですか。
ベルギー王室御用達のこの店は違いました。
店員さんが一つ一つ宝石を摘まむように慎重にチョコレートを箱に詰めていくのです。
ゆっくりと詰めおわると丁寧に包装してリボンを丁寧にかけていきます。飾り気のない真っ白な紙の箱にロイヤルブルーの光沢を持ったリボンのコントラストが鮮烈でした。
なんて綺麗な青いリボン。
そうして渡されたプラリネの詰め合わせはずっしりと重かった。
そしてメルシー、メルシーとぺこぺこしながら私は店を出て。走ってホテルに戻りミッションコンプリート!
ぎりぎり送迎の車に乗り込んだ時、私は宝物みたいにチョコレートの袋を抱えていたのでした。
帰国して頂いたチョコレートは空輸に負けず形崩れなく。カカオの味が引き立つ甘さ控えめすこし苦味がある大人の味。
滅多に美味しいと言わないオカンが
「美味しいわね」
と珍しく褒めていました。
少しずつ宝物のように頂きました。
あれから何年もたって日本では名前を変えて進出したこのお店。喜んで買ってみたら日本で製造しているからか味が違う。
当時はブリュッセルに二店舗しか無かった小さなお店が年々支店が増えてパッケージも華やかになっていって少し寂しいような嬉しいような。
またあのチョコを味わうべく現地から取り寄せるべきか(円安だから絶対にもの凄い金額になる)迷うこの頃です。
おしまい
最後までお読み頂きありがとうございます!件のお店はMary。日本ではマダム・ドリュックで出店してます。