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第7話 修行中シャロン

 荒れ果てた土地の上に、わたしは立っている。


 周りに見えるのは、高く聳え立つ遠くの山々。

 まだ春だというのに、この場所の空気はひんやりとしている。


 わたしはストレッチと屈伸を済ませてから、この場所で軽く一回転して、視界をぐるりと見渡した。


「直径百メテミレ(※長さの単位)の、円形状に……」


 そう呟いて、わたしはそっと魔法を唱える。


 高度破壊魔法〈無属性〉――最近練習しているものだ。

 魔法には、二種類が存在する。九つの属性のどれかを有するものと、そのどれも有さないものだ。


 有属性魔法のデメリットとして、その属性に耐性を持つモンスターには効果が余りないことが挙げられる。

 裏を返せば、その属性を弱点とするモンスターに効果的だとも言えるが、初対面のモンスターだと弱点や耐性がわからないことが多い。


 そういうときに役立つのが分析魔法なのだが、これは多少時間が掛かる。

 わたしでも、弱点と耐性の完全な解析までに五秒程度使ってしまう。

 その五秒の時間をくださるモンスターならいいのだけれど、戦闘の際は一秒だって命取りだ。


 じゃあどうすればいいかと言うと、高度破壊魔法〈無属性〉を使えばいい。

 無属性の攻撃魔法は、魔法そのものに耐性があるモンスターを除いて、多くのモンスターに平等に効く。無属性を弱点とするモンスターはいないが、耐性とするモンスターもいないのだ。なので、初対面のモンスターと相性がいい。


 ただ、無属性の攻撃魔法にも問題があって――――


 わたしは、ふうと息をつく。

 円形状に大きく抉れた自分の周りを、ざっと見た。


 端まで移動してから分析魔法を起動して、もう一方の端まで歩いてみる。


 ……結果、直径九十二メテミレ。


「ぐっ…………ぐぐぐぐぐ、」


 わたしは歯軋りしながら、どかっと大の字になって寝転ぶ。


「ぐわあああああああ! ああああああ! いつになったらわたしは直径百メテミレに辿り着くんだよおおおお! 大体九十二! よくて九十三! あああもう、マジで難しすぎるんだが!」


 大の字になってジタバタとしながら、そう叫ぶ。


 知り合いがいたらドン引かれるだろうけれど……まあ、こんなところに知り合いがいる訳ないし、大丈夫だろう。


 ――――そう、無属性の攻撃魔法は、とにかく難しいのだ!


「はああああああ…………」


 溜め息をつきながらふと、ラナさんが今のわたしを見たら何て言うだろうか、と頭をよぎる。


『いや既にめちゃめちゃすごいよー! シャロンちゃん、向上心がやばいよー!』とか励ましてくれるかもしれない。いい子だ。想像の中でもいい子。


 それか、『えええっ! シャロンちゃんが敬語じゃない! 新鮮だよー!』とかだろうか。これもありそうな気がする。実はわたしの素の喋り方はこっちだ。


 ぼんやり考え事をするのをやめて、わたしは上体を起こした。


「はあああ……まあ、いきなり一回目でうまくいく訳ないよそうだよ? 魔力は減ってく一方だから最初が最も肝心な気がするけれど気にしたら負けだよ? よーし、次だ次っ!」


 それから立ち上がって、修復魔法を唱える。


 そうすると、地面は綺麗に元の形を取り戻した。


「せめてまだ見ぬ直径九十四メテミレまで……頑張るかあ!」


 わたしは意を決して、再び魔法を唱えた――

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