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第10話 いざ冒険者ギルドへ

 ギルドは、この町の中心辺りに位置している。


 そもそもギルドとは、モンスターの討伐や素材の採集採掘、お悩み事など、様々な依頼が寄せられる場所だ。

 冒険者パーティーは依頼をこなすことで、報酬を得ることができる。それだけでなく、依頼の難易度によってパーティーランクも上昇していく。

 パーティーランクにはSSS、SS、S、A、B、C、D、E、Fの九種類があり、ギルドに初めて登録した冒険者は一律でFランクから始まる。

 ちなみにわたしは、この町のギルドには一人しかいないSSSランクだ。ふっふっふ。


 またそれとは別に、ギルドパーティーランキングというものがある。

 依頼にはそれぞれポイントが割り振られており、達成により得たポイント数でランキングが決まるのだ。

 ランキングには三種類あって、一つ目は毎日お昼頃に発表される日間のランキング(10位まで)。二つ目は、毎月初めに発表される月間のランキング(30位まで)。そして三つ目は、パーティーが結成されてから得たポイント全てを集計した累計のランキング(100位まで)。

 ちなみにわたしは、一年ほど累計のランキングで一位の座を守り続けている。ふっふっふ。(二回目)


 *・*・


 ラナさんとわたしは、ギルドへと到着した。


「さあ、行きますかー! ……って、どうしたんですかラナさん? 立ち止まって」


 扉を開けようとしたわたしは、ラナさんの様子が少しおかしいことに気付く。

 じっと俯いて、地面の方を見ているのだ。


 ラナさんはわたしの言葉に、はっとしたように顔を上げる。

 それから、ほのかに苦しそうに微笑んだ。


「その……アンちゃんたちと出くわしたらどうしよう、って思っちゃって」


「ああ、確かに……まあまだ朝早いですし、寝てるんじゃないですかね」


「うーん、そうだといいんだけれど、ちょっとドキドキしちゃって……そうだ。シャロンちゃん、一つお願いしてもいい?」


「勿論いいですよ? わたしにできることなら何でも。料理を除いて」


 首を傾げたわたしに、ラナさんは「もう、頼む訳ないよー」と少しだけ笑う。


 それから、わたしを真っ直ぐに見つめた。


「その……手、繋いでくれない?」


「ほへは? 手?」


「うん。そうすれば、勇気が出るかなって思って……!」


 ラナさんはそう言って、わたしへと左手を差し出す。


 ……きめ細やかな白い肌。


 ……え、わたし、もしかして手を繋ぐ流れ?


 ………………。


「だめ、かな……?」


「いやだめじゃないですだめじゃないです! なのでそんなうるっとした目でわたしを見つめないでくださいグワァー!」


「嫌だったら、大丈夫だよ……!」


「違うんです嫌とかじゃなくてむしろ嬉しいんですが! ただわたしにとって女の子って尊すぎるのでそれゆえに躊躇ってると言いますか! えーいどうとでもなれっよく考えたら今朝も繋いでるっ」


 わたしは勢いよく、ラナさんの左手を握った。


 彼女の反応を見ると地面に倒れ込む危険性があるので、とにかくギルドの扉を凝視しながら、尋ねる。


「どうですか? 勇気は出ましたか?」


「う、うん……! ありがとね、シャロンちゃん」


「お礼なんていいんですよ? さあ、行きましょう」


 わたしはギルドの扉へと頷いて、それをがっと開いた。

 ラナさんの歩調に合わせながら、そのまま中を進んでいく。


 取り敢えず、ラナさんもわたしもパーティーの変更をしなければならないので、受付に向かおう。


 入り口の側にあるので、辿り着くのはすぐだった。


 立っているのは、このギルドの受付嬢(二人いる)の一人――カルミアさん。


 ゆるく巻かれた金色の長髪と、サイドに留められた真紅のヘアピンのコントラストが美しい。

 瞳も金色だが、髪よりは少し鈍めの綺麗な色彩だ。


「カルミアさん、おはようござ……って、あれ?」


 わたしは気付く。

 カルミアさんの様子がなんか変だ。


 いつもなら、満面の笑顔でわたしを出迎えてくれるのに……今日は何故か目を見開きながら、肩をわなわなと震わせている。


「え、どうしたんですか、カルミアさ――」


 わたしが言葉を言い終える前に、彼女はだんっとカウンターを両手で叩いて、叫んだ。



「どっ、どどど、どういうことですのおおおおお!?」

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