黒季の最高で最悪な1日
ブラン「うぅ〜、血がこんなに〜」
アインス「私も戦いで血を流すとは・・・」
ロッソ法国から無事脱出したノワール達は他の仲間と合流し、暗黒の魔城で治療していた。国外にあるハピーロはアスール達が全滅させた為、事実上ハピーロは壊滅した。とはいえ、本拠地にいた謎の女性、ノワールレディに関しての情報はノインでも知らないらしい。プラチナキラーにノワールレディ、次から次へと新たな脅威が出て来た。
ブラン「あのノワールレディ、めちゃくちゃ強くて私、腰抜かしちゃったわよ〜」
アインス「恐らくプラチナキラーと同等か、それ以上の強さはあるわね」
ジーナ「あのアインス様に傷を付けるなど、相手はやはりグレゴリーですか!?」
ツヴァイ「いいえ。今の所、そう言う情報はありません。もしそうならプラチナキラーの出動など不要です」
アハト「となると、新たな組織の用心棒とか!?」
ツヴァイ「それも考えていますが、情報が乏しい以上正体も分かりません」
ツヴァイ達はノワールレディの事で悩んだ。アインスに傷をつけたその敵に自分達が勝てるとは思えないようだ。まあ、アインスによれば能力持ちだと聞いているし。となると、今度はいつ、どこに現れるかも分からない。グレゴリーより難しいかも。
冬美「そんな人こそ近くにいるものじゃない?」
冬音「・・・うん、これ定番」
冬美と冬音が2人きりでコソコソ話している。近くか・・・案外そうかもしれないな。もしそうだとすれば、こちらの行動を逐一把握している事になる。つまり、我々の正体が分かっているという事だ。
ルージュ「今更考えても仕方ありませんわ。次お会いした時に話を聞けばいいのでは?」
アインス「そうね、今度は油断しないように気をつけましょ」
ブラン「うん、今度は負けないよ!!」
みんなはその後、家に帰ったがノワールは1人ある部屋に入った。そこには横たわっているロボットみたいな物があった。ノワールは工具を手に取ると、何か作業をし始めた。
ノワール「やはり時間がないか。急がねば」
ノワールが何を作っているのかは近日中に公開するつもりだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
休日。この日黒季は布団でゆっくりと寝ていた。昨日の事件と作業疲労感が溜まり、昼まで寝ているのだ。正直、この時間が気持ちよく、永遠に続いて欲しいと思ったか。あぁ、今日は良い1日に・・・
黒子「黒〜季っ!!!買い物行きましょ〜♪♪♪」
ならなかった。折角気持ちよく眠っているのに母さんは僕の部屋に入り、無理矢理起こされた。休みなのに、しかも朝9時に・・・。
黒季「他のみんなは?」
黒子「みんな眠っていると思って。あなたなら徹夜してそうだし、起きてるかな?って!!」
黒季「同じ配慮して欲しかった」
黒子「もちろんみんなには話したわよ。買い物行くか?ってそしたら、みんな拒否られた」
黒季「数秒前に同じ質問をして欲しかった」
黒子「ほら、早く着替えて。今日は買いたい物が沢山あるんだから。1日中、付き合ってもらうわよ、荷物持ち、じゃなくて黒季♪」
黒季「さっきの一文字で全てが詰まってるっ!?」
母さんは誤魔化したつもりだが、荷物持ちとして僕を連れて行きたいらしい。ていうか、強制参加。そんなの行くか!!母さんの買い物、無駄な物を買うから余計時間掛かるし、欲しくもない物を買おうとするし、全部母さんが仕切るからつまらない。そんなものに行くものかっ!!
黒季「とにかく行かない」
黒子「もし付いて来たらお小遣いあげようと思ったのに・・・」
黒季「そんな手に乗ると?」
黒子「なんならアイスも買ってあげる。ああ、シュークリームにクレープも食べさせてあげるわ♪♪」
黒季「いくつだと思ってるんだ?そんな手に乗ると?」
黒子「うん、見えるわ。何ならこれならどう?」
黒季「はっ!?」
母さんは懐からお金をばら撒いた。それに反応した黒季はつい反射的に動いてしまった。だが生き物なら、当たり前の事だ。僕は母さんが落とした小銭にお札を這いつくばって拾った。これでもう逃げられないが、金は欲しい。
黒子「これは前金ね。残りは買い物が終わってからね」
黒季「はっ!!お母様っ!!」
こうして、金を拾い集めるとすぐさま支度を済ませて、母さんと一緒に買い物に行った。着いたのはアウトレットモールでやはり休日だからか、人の数が多い。各店舗には人が大勢いて賑やかになっていた。早速母さんはある服屋に入って行った。その中で母さんはレディースの服を物色していた。やはり母さんも女性らしく買い物するんだな。
黒子「ねぇ!!これ可愛くない?」
黒季「そうか?僕は服は分かんないよ」
黒子「じゃあ、今度は黒季の服を見繕ってあげる♪♪」
黒季「いや、いらない」
そう言いつつも、黒子はメンズの店に入ってしまった。まあ、少しぐらいいっか。
黒子「ねえ?このドクロ、カッコいいと思わない?絶対似合うわよ!!」
黒季「いらない」
黒子「じゃあ、この色が混じった変な模様の服は?これは独創的でいいんじゃない?」
黒季「いらない」
黒子「うーん、あ、この浮世絵の絵は?ジャパンカルチャー剥き出しでクールよ!!」
黒季「いらない」
黒子「そう?じゃあ全部買ってあげる」
黒季「いらないっ!!!」
黒子「もう買っちゃった♪てへっ♪」
黒季「いらないって言ったのにっ!?」
こういう意味不明な行動をしてしまうから買い物には行きたくなかったのに。このやり取りをあと3、4回はしてしまう。そうなる前に早く何とかしないと。
黒季「母さん、姉さんや妹に服は?」
黒子「はっ!!そういえば!!ちょっと外で待っててね!!すぐ買ってくるわ!!」
そう言って母さんはどこかへ行ってしまった。その5分後、買い物袋を持った母さんが戻って来た。
黒季「ただいま」
黒子「もうご飯にしましょ?私、お腹空いたわ」
黒季「いいけど、何買ったの?」
黒子「ふふ、秘密♪♪」
何か変なの買ったな。顔を見てすぐ分かった。どうせロクなもんじゃないな。結局、何なのかは教えてくれず、フードコートで食事をする事になった。
黒子「ふふ、楽しんでいそうね」
黒季「1人だけね」
黒子「次はどの店に行こうかしら?」
黒季「まだ行くんだね」
途中、アイスを買ってもらいながら買い物を続行した。もう買い物袋は10以上はある。荷物持ちさせる僕の身にもなってよ。そんな時、よそ見をしていたのか通行人とぶつかってしまった。手に持っていた買い物袋は地面に散らばり、アイスはぶつかった人の服にべっとりついてしまった。相手はいかにもヤの字みたいな風格の人だった。
男性A「ああっ!?何ぶつかってんだっ!?折角の服を汚しちまってよ〜!?」
男性B「あ〜あ、この服兄貴の特注のオーダーメイド品で数十万、いや数百万はするんすよ?」
男性C「数百万する服を汚してしまった責任、どうすんだい、小僧」
男性は兄貴と呼ばれ、その後ろに取り巻きが2人いた。スキンヘッドとサングラスを掛けたチャラそうで近寄りがたいその姿、普通なら誰も関わりたくない人達だ。兄貴と呼ばれる男性は僕の服の胸ぐらを掴み、
「どうケジメ取るんだっ!!」
と脅して来た。本来ならこんな男ぐらいすぐに倒せるがここでやってしまうと面倒事になるので、ここはか弱い男を演じる事にした。
黒季「ひ、ひえぇぇぇ〜・・・か、堪忍を〜・・・」
男性A「あぁっ!?責任取れねーのかっ!?だったら・・・」
するとその時、奥からドドドドッと走っていく人がいた。その人は人混みを優雅に避け、チーターよりも早く駆けて行った。そして、僕と男達がいる所まで立ち止まった。その正体は黒子、母さんだった。
黒子「黒季っ!?大丈夫っ!?怪我ないっ!?」
黒季「か、母さん・・・」
黒子「待っててね。母さんが助けてあげるからね」
男性A「ん?貴様の母親か?こりゃぁ丁度ええ。このガキが俺様の服を汚しちまって・・・」
黒子「これ、うみむらで半額で売られていた服じゃない。しかもご丁寧に値札、取り忘れてるわよ?」
男性A「なっ!?」
確かに値札は付いていた。値段は半額なのかたったワンコイン、500円。さっき数百万のオーダーメイド品って言っていたのはでまかせだったって事?安い物を高く見せびらかす嘘つき野郎だったのか!?
男性B「な、何を言ってんすか!?」
男性C「適当な事、言ってんじゃくなぇっ!?」
黒子「ほら、こんな奴らに関わるだけ無駄よ。行きましょう」
黒子が男性の手を振り解き、黒季の手を掴んで行こうとした時、背後から殴りかかってくる気配がしたので僕は首を横に避けた。
男性A「な、かわしただとっ!?」
黒季「か、母さん・・・さっき僕を殴ろうとしてきたよ〜」
黒子「何ですってっ!?・・・貴方、越えてはいけない一線を越えてしまったわね」
男性A&B&C「「「ひぃっ!?」」」
黒子の目は普段の優しい目とは違っていた。そのせいか、母さんよりも巨体な男共を威圧し、後退りさせていた。その目はまさに殺し屋の目をしていた。しかし、男はビビりつつも黒子に向かって殴ろうとした時、黒子は男の腕を掴み、背負い投げをした。そのまま男は伸びてしまい、白目を向いて気絶してしまった。
男性B&C「「あ、兄貴ーっ!!!」」
黒子「次は・・・」
男性B&C「「す、すみませんでしたーっ!!!!!」」
取り巻き男性2人は兄貴を残してダッシュでどこかへ逃げてしまった。それを見た見物客は唖然としていた。しかし、黒子は気にもせず、僕の手を掴んで歩き出した。
黒子「あー、怖かったわ〜」
黒季(・・・それは背負い投げした人の言うセリフじゃなくない?)
黒子「あ、アイスまた買ってあげないと。今度はどのフレーバーにする?」
黒季「え?あ、ありがと?」
黒子「もう、素直で可愛い〜」
正直、10メートル以上離れて歩きたかった。母さんがあんなに強かったとは知らなかった。なんか相手にしたくない人だな。その後も4、5店見て何とか帰った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
春香「あ、おかえり」
夏菜「今日はツナ缶が安かったから餃子よっ!!早く手伝って!!」
秋穂「お兄ちゃん、買い物どうだった?」
黒季「余計な物を買い過ぎてぶち充実してた」
黒子「もう!!照れるじゃない!!」
黒季「褒めてない」
家に帰るとみんな餃子を作っている最中だった。何しろ、今日はツナ缶が安くなる日だったらしく、ツナ缶段ボール一箱を買って、餃子の皮も一箱分買ったみたいだ。まあ、我が家の贅沢といえばこの餃子だからな、みんな餃子を包むのを手伝っている。
冬美「お兄、私包むの早くなったよっ!!」
冬音「・・・私も、にぃに」
黒季「そうだね、ならこっちも負けてられないね」
黒季達は餃子を包むのに集中し始めた。徐々にタワーのように重ねて高くなって、終いには100個以上は作ってしまった。
春香「ねぇ、これ全部焼けるよね?」
黒季「安心しろ、このヘファイストスに出来ないものはない」
黒季は台所の壁に吊るしてあるヘファイストスと呼ばれるフライパンを手に、餃子を焼き始めた。餃子を次々と焼いていき、気がつけば全部焼けた。
黒季「ほい、出来たで!!」
冬美「わーい!!」
夏菜「うんうん、これこれ!!」
黒子「クロカンブッシュ、いや餃子ンブッシュね!!」
冬音「・・・クロ、何?」
秋穂「お兄ちゃんも食べるわよ〜」
黒季「ほいほい」
黒季が席に着くとみんなで食事を始めた。やはり我が家で作った餃子は美味い。他とは違う独特な味をしている。ちゃっかりジャラゴンも隠れて食べている。
ジャラゴン「美味い、美味い、もっとちょうだい!!」
黒季「100個以上あるし、食べな」
我が家の贅沢品、餃子はみんな大好物の料理だ。今までは野生動物やモンスターの肉、森やダンジョンに生える植物や果実、川で取れた魚、安い小麦粉で作ったクレープ、それがない日にはチョコ菓子を少しずつ分けながら食べてたな。あ、昨日まで夕飯はチョコ菓子だった気がする。昼飯でほとんど使っちゃって食べれるのがチョコしかなかったな。
黒子「どうしたの?」
黒季「いや、何でもない」
まあいいや。今はこの贅沢を楽しもう。夕飯が終わると、早速母さんは今日買って来た物を見せていた。センスの悪い僕の服、冬美と冬音の私服、ブティックに食料品など沢山の物を買っていた。そのお金で毎月家賃を払ってほしいが。
黒子「あ、あとこれは全員分よ。ジャジャ〜ンッ!!!!」
そう言えば、何か買ってたな。中から取り出したのはモコモコして、熊耳付きのフードがついた黒いパジャマ上下だった。それを家族分買った・・・て、嫌な予感がした。
黒子「黒季〜、あなたはこれよ〜」
黒季「くっ・・・何で」
黒子「逃さない」
黒子は僕の服を全て剥ぎ取って熊パジャマを着させた。うん、似合わない、かも?案外似合う?
黒子「これで全員熊ちゃんね、可愛い〜!!!写真撮らせて〜♪♪♪」
黒子は早速自撮りをして、何枚か写真を撮った。みんなもいつの間にか、着替えちゃってるし。
春香「案外似合うわね、黒季」
夏菜「姉さんこそ」
秋穂「冬美と冬音は可愛い〜」
冬美「みんな似合いますよっ!!」
冬音「・・・ママ、グッド」
黒子「今日はこれ着てみんなで寝ましょ〜」
黒季「今日はめちゃくちゃな1日だな、餃子除いて」
ジャラゴン「似合うぜ・・・ふ、ふふふ」
ケンちゃん「お似合いですよ〜、写真1枚・・・」
黒季「おい」
ジャラゴン&ケンちゃん「「ヒイィッ!!!」」
結局黒季は黒子に強引に引っ張られ、みんなと一緒に寝てしまった。




