ノワールVS金獅子
ヴェルーナ「もう大丈夫。あとは私がやる」
ヴェルーナは再び剣を構えた。金色のライオンも転んだものの鎧には傷がなく、平然と立った。
金色のライオン「なかなかいい剣だな。この俺に突撃しても傷一つねぇ」
ヴェルーナ「これはアダマンタイトを沢山使った"不壊聖剣"。ただの剣ではないわ」
金色のライオン「面白い。今度は貴様を片付けてやる」
すると金色のライオンはロッドを構えて走った。ヴェルーナも剣を片手に走り去った。やがて武器同士でぶつかり、鍔迫り合いになった。お互い、攻撃の手を止める事なくぶつかり合い、その度に衝撃波が発生していた。金色のライオンが鉤爪を繰り出すも難なく受け流し、火炎弾を放っても剣で真っ二つにしていた。ユーフェミアはただただじっとしていて、2人の戦いを見ていた。
ユーフェミア(こ、これが・・・世界最高の力・・・?なんて強さなの?)
戦いが長引く内に金色のライオンは徐々に押されていた。何故なら彼女は属性を自在に操る"八属性主"と言う能力を持っていたからだ。闇と光以外の属性なら自在に使える能力で、水や風、地面などを繰り出して、攻撃がなかなか当たらないからだ。
金色のライオン「能力持ちとはな」
ヴェルーナ「私はまだ戦える」
2人が戦っている内にヴァイスファミリアの団員達が現れた。みんな武装しており、戦闘体勢に入った。ユーフェミアはそれを見て安堵したのか、地面に座ってしまった。団員がエリーザ達を救出すると、長い槍を持ったエディ・オンネットが現れた。
金色のライオン「また増えやがって」
エディ「こんにちは、僕はヴァイスファミリアのエディ・オンネットだ。うちの団員が世話になったようだね」
金色のライオン「今度はお前が相手をするのか?」
エディ「ああ、僕が・・・いや、僕達がだね」
エディは槍を構えた。それと同時に団員達も武器を構えた。まさに四面楚歌、周りは敵だらけで絶望的だ。しかし、金色のライオンは怖がるどこか、むしろ高笑いし始めた。
金色のライオン「ふ、ふ、フハハハハハハッ!!!」
エディ「?」
金色のライオン「これだけの人間を相手にしてくれるとはな。面白い、俺も本気を出してやろう!!」
金色のライオンはロッドを地面に刺すと、手を構え始めた。特に何か魔法を唱える訳でもなく、ただじっとしていた。異変に気づいたのは槍が少し動いた時だ。槍が何故かピクピクと動き出していた。それに続き、団員の武器や鎧までもが動きだした。そして最悪の事態になった。何と手に持っていたり、着ていた武装が全て金色のライオンの方に持っていかれたのだ。金色のライオンは手を上に上げると、武器達も上に登っていき、円を描くように回っていた。この現象にこの場にいた者は驚きを隠せなかった。
エディ「僕の槍がっ!!」
ヴェルーナ「私の剣も!!」
金色のライオン「何が起こったって顔だな。俺の能力は"鉄人兵"。磁力を操る能力だ」
エディ「なんだと!?」
ユーフェミア「モンスターが能力持ち!?」
ヴェルーナ「!!!!」
今まで見た事がない出来事だった。本来ならモンスターには能力の習得などあり得ない事なのだ。能力を持つという事、即ち凄まじい才能の持ち主である証。それは人間なら誰もが欲しがるものだ。現にヴァイスファミリアはヴェルーナを始め、数人以上は持っている。なので、国内外からの評価も高いパーティーだ。だが、今は・・・。
金色のライオン「さてと、そろそろ終わりにしてやろう」
金色のライオンは装甲を失った人間達に向かって鉤爪を構えた。みんなは逃げ始めたが、ヴェルーナとエディ、ヴァイスファミリア数十名は残った。彼らは戦う気だ。しかし、金色のライオンはそれを見て嘲笑いをした。
金色のライオン「どれだけ人間が襲いかかろうと、無駄だっ!!!」
金色のライオンが鉤爪を振り下ろそうとした。ヴェルーナ達も攻撃態勢に入った。その時、金色のライオンの後ろから何かが当たった。それを喰らった金色のライオンはモロに喰らい、倒れてしまった。それと同時に宙に浮いていた武器達は能力を解除された反動か、次々と落ち始めた。それはまるで雨のように、武器の雨が降って来た。
金色のライオン「誰だっ!?」
みんなが呆気に取られていると、後ろからサイバーパンクマスクを被った黒ずくめ集団が現れた。そう、ノワールファミリーだ。みんな手には銃を持っていた。彼らが金色のライオンの不意をついて銃撃したのだ。
ヴィオレ「何やら騒がしいかと思えば」
ブラン「うわっ!!なんか金色のライオンがいるよ!!」
アスール「あれ、カオスじゃない?なんか息切れしてるし」
金色のライオン「な、貴様らはっ!?」
ノワール「我らはノワールファミリー。闇を愛し、闇を支配する者。貴様の闇を支配してやろう」
金色のライオン「そうか、貴様らが最近うちのシマを荒らしている集団か。少しは面白くなってきたな」
金色のライオンは指をパチンッとすると、何処からかカオス兵が出て来た。うち9体は大きな口に細長い体、翼の生えた"ガーゴイルカオス"に変わった。
ブルーノ「ヤッパリコイツ、カオスダッタネ!!」
ヴェルデ「とにかくカオスなら倒すわよ!!」
そう言うと互いに武器を手に持ち、戦いが始まった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
荒野のある場所で始まった戦い。それは見た者を絶句させる戦いになった。互いに武器を手に取れば、ある者はやられ、ある者は次々と薙ぎ倒していった。モンスターとの戦いを長年経験したエディすらも、思わず夢中で見てしまう。それもその筈、たった10人が数百はいるであろうカオス兵に余裕で勝っているからだ。
アスール「はあぁぁぁっ!!!」
カオス兵「うがぁぁぁぁぁーっ!!」
ルージュ「くたばりなさいっ!!!」
カオス兵「どごぉぉぉぉーっ!!」
ヘルブラン「とりゃぁぁぁぁーっ!!」
カオス兵「めばぁぁぁぁぁーっ!!」
次々に倒されていったカオス兵は爆散した。そして残ったガーゴイルカオスは口から剣を取り出すと翼を羽ばたかせ襲いかかった。他の9人も構えて防御するも、攻撃の手をやめないカオスに避けながら戦うしかなかった。その頃、ノワールは単身金色のライオンと戦っていた。
ノワール「そう言えば、名前を聞いてなかったな」
金色のライオン「名前?ああ、俺の名は"ライモン・ゴーウェルド"だ」
ノワール「ではライモン。お前は何しに来た」
ライモン「貴様らの抹殺だ」
ライモン・ゴーウェルドと名乗る金色のライオンはノワールが剣を振り下ろそうとした瞬間、鉤爪でノワールの剣を掴んだ。本来なら粉々に砕け散るはずの剣が何故か力強く掴んでも壊れない剣に戸惑っていた。
ライモン「馬鹿なっ!?剣が壊れないだと!?」
ノワール「隙あり」
ノワールは隠し持っていた2本目の剣を背中から取り出して、ライモンの体を切り掛かった。攻撃を与えられ、ライモンが体勢を崩したのか鉤爪から剣が離れた。それをチャンスに、ノワールは二刀流でライモンに連続攻撃した。ライモンはモロに全てを喰らってしまい、ノワールの剣の一突で飛ばされていった。最初は余裕だったライモンも先程の攻撃を喰らいすぎたのか、立っていられるのがやっとの状態だった。
ライモン「ぐ、なかなかやるな。おもしれぇ」
ノワール「能力使わないの?」
ライモン「何!?」
ノワール「能力は?さっきの見せてよ」
ノワールはライモンを煽動した。相手を動揺させ、挑発させている。本来なら危険行為だがノワールは平然とやっている。ノワールの挑発に乗ったのか、ライモンはロッドを捨てて、鉄人兵を発動させた。能力は広範囲に広がり、ブラン達の所まで及んだ。その拍子か、ガーゴイルカオスの持っていた剣がライモンの所に集まった。そして、その剣をノワールの頭に集め、刃の方を先にして雨のように降らせた。これが当たれば即死は免れない。しかし、ノワールは逃げなかった。ノワールは何故か持っていた剣を巧みに使い、全ての剣をかわした。
ライモン「何故だ!?何故貴様が武器を持っている!?」
ノワール「それだけじゃないよ。みんな持ってるよ」
辺りを見渡すと、確かに武器を持っている人がいた。彼女達は意図も容易くガーゴイルカオスを倒していった。ライモンを始め、ヴェルーナ達も何が起こったのか分からなかった。
ノワール「教えてやるよ。この武器は鉄で作ってない」
ライモン「何っ!?」
ノワール「この剣は生きてるんだ。意思を持っているから引き寄せられない」
それでも意味が分からなかった。ノワールはライモンが混乱している最中に銃撃をし始めた。やはりライモンは全て喰らい、追撃の剣撃も喰らってしまった。ライモンも負けずとロッドを振りかざし攻撃した。ロッドの一撃がとても大きく、ロッドがついてくる度に衝撃が全身に広まり、剣で塞いでもノワールが後ろに退く威力がある。
ライモン「へっ!!その弱さでよく俺に盾ついたなっ!!」
ノワール「問題ないな」
ライモン「このっ!!」
ライモンはさらに素早く、攻撃を仕掛けた。今度は鉤爪も繰り出し、状況は混沌状態になった。ライモンはノワールの実力が自分が想像していた以上に最悪だっただからか、ノワールに対して強い怒りを覚えた。その証拠に再び鉄人兵を発動させ、落ちてある武器の他に地中にある鉄分をかき集めた。かき集めた鉄分はやがて形成し始め、剣や槍、短剣などに変わった。それにさっき集めた武器を揃え始めた。その武器達は刃先をノワールの方に向けて、宙に浮かんだ。ノワールは奴が何をするのか分かっていた。
ライモン「喰らえっ!!金属流星群」
すると武器達は素早く動き、ノワール目掛けて飛んできた。シンプルかつ強力な技だ。これだけでも危ないが、ノワールは別の事を考えていた。
ノワール(僕は大丈夫でも、後ろには・・・)
そう後ろにはまだカオスと戦っているブラン達がいたのだ。彼女達は気づいていない様子だ。あのままでは串刺しだ。ノワールは彼女達の所に行き、状況を教えた。
ブラン「武器が飛んでくるっ!?」
アスール「やばいじゃん!!どうすんのっ!?」
ルージュ「逃げた方がいいのではっ!?」
ヘルブラン「もうあんなに近づいちゃってるわよ!!」
ヴィオレ「じゃあ逃げましょうよっ!!」
アマリージョ「逃げるなんてみっともない!!ノワール、なんとかして!!」
ヴェルデ「ちょっと!!そんな事言ってる場合!!」
グレーズ「私は鋼属性だけど・・・」
ブルーノ「ア、来タネ」
全員「あ・・・」
みんなが話し合いをしている最中に武器がノワールファミリー全員に突き刺さった。武器全て百発百中で頭を始め、腕や足、心臓部など全て体を貫通していた。
エディ「なっ!?」
ヴェルーナ「・・・!!!!!」
ユーフェミア「そんなっ・・・・!!!」
ライモン「ふ、しぶとい奴だったな。だが、これで終わりだな」
一瞬にして地獄に変わった。10人全員がやられた。この状況で生きてる事はまず無いだろう。ライモンだけは1人高笑いをしていた。後は自分達の番だと言う事を想像していた。そう考えると、足がすくんで動けなかった。やがてライモンはしばらく高笑いをしたが、笑うのをやめてこっちに振り返った。
ライモン「次は貴様らだ」
その一言がどれだけの絶望を植えつけられたか、顔を見ればすぐに分かった。ライモンはロッドを手に歩き始めた。徐々に近づいてくる恐怖に体は何も受け付けなかった。ここまでなのか、ここで死ぬのか、そう思った・・・がその時、後ろから誰かが銃撃をし始めた。まさかの出来事にみんな驚きを隠せなかった。
ヴェルーナ「嘘、でしょ・・・?」
ユーフェミア「は、え・・・?」
ライモン「馬鹿なっ!?何が起こったっ!?」
みんなが目を向けた先は、つい先ほど刃物を全身に刺された10人だった。刃物はまだ何本か体に刺さったままだが、それでも徐々に抜いていき始めていた。
ノワール「ふ、なかなかいい技だな」
ライモン「何故生きているっ!?」
ノワール「知りたければ教えてやろう」
ノワールは剣を取り出し、ライモンに襲い掛かった。ライモンもロッドを振りかざして襲いかかったがロッドをかわし、そのままライモンの腹部を切りつけた。
ライモン「ぐはっ!?」
ノワール「大した事ないな」
その後も攻撃させないよう何度も斬りつけて、ライモンは転がってしまった。それでも何とか立ち上がったライモンは鉤爪を使って引っ掻こうとしたが、逆にノワールは剣を爪の間に入れさせて、攻撃を見事交わした。それでも襲い掛かってくる敵にノワールはロッドを持っている片手に銃を撃って、ライモンを怯ませた。見事命中したのか、ライモンは怯んでロッドを落とした。それをノワールが拾い、ロッドで攻撃し始めた。自分の武器が敵に使われている事にライモンは苦しんでいた。そして、ノワールはロッドを大きく振りかざし、頭に目掛けて鉄球を落としたがライモンは鉤爪でガードした。しかし、鉤爪と鉄球はお互いぶつかると綺麗に粉々に砕けてしまった。
ライモン「馬鹿なっ!?硬さが自慢の俺の爪がっ!?」
ノワール「Checkmate」
ノワールは壊れたロッドを捨てて自分の剣を持った。するとノワールは剣の先端に魔力を込め、紫色に光り出した。そしてライモンに目掛けて走っていき、斬りつけようとしたがライモンも負けずと拳を握りしめて思いっきり殴った。すると刃はライモンが殴った所からひび割れた。そして先端部分は砕かれて、下に落ちていった。
ライモン「はっ!!武器が壊されれば・・・」
ノワール「終わりだと思った」
ライモン「何っ!?」
ノワール「"エクストリームソード"」
すると落ちた刃は浮かび上がっていき、空中を舞った。刃はノワールの意思で動き、剣の動きと連動するように動いた。最初はライモンに一撃を喰らわして、2度目にまた横から一撃を喰らわせた。そして最後は空高く刃を浮かばせ、剣が振り下ろした拍子で刃も落ちてくるのだった。
ライモン「ば、馬鹿な・・・」
ノワール「The END」
そして、刃はライモンの体を縦に貫いた。刃は地面に刺さり、ライモンの鋼鉄の体をバターを切るようにスゥーッと勢いよく切った。これでライモンは死んだ。強い敵ではあったものの、もう一押しだった奴だ。ライモンは抵抗する事なくそのまま後ろに倒れ込み、背が地面についた拍子に爆発死してしまった。落ちた先端の刃は次第に滅亡と絶望の剣に集まり、次々にくっつき始めた。やがて元通りになった状態で竿に収めた。彼女達も丁度か、その前に戦いを終わらせていた。残ったのはこの戦いを見ていた人間達。一瞬見て、死んだ人間がいない事を確認するとその場から立ち去ろうとした。
???「なかなかやるな。だが、次はそうはいかんぞ」
その時、どこかから誰かが喋る声がした。そして、ノワールが魔力を感じる方を見るとそこには男性が1人立っていた。
ノワール「何者だ?」
ネメアー「俺はネメアー・ビースト。グレゴリーだ」




