東京にようこそアインスさん達 (1)
翌日、オクトーパの戦いが終わっていつも通りの生活が始まった。しかし、今日は寝坊してしまったため、みんなバタバタしていた。お隣さんも朝から騒がしかった様子だ。つい最近隣に越して来た猿波一家だ。あの一家は不思議な家庭で毎朝バナナとプロテインしか飲まないという、アスリート選手みたいな生活をしているのだとか。また、夜も遅くまでキーキーキーキーうるさいとか。まあ、うちは防音対策してあるから大丈夫だけどね。確か家族構成は父、母、姉、妹だったはず。とにかく、今は学校に遅刻しない事が優先だ。大家の目を潜り、急いだ結果、何とか間に合った。学校ではまだ廊下で話す人もいたが、チャイムが鳴ると一斉に自分達の教室へと帰って行った。今日は数学担任の三原冴子の授業だった。眼鏡をかけた青髪ポニーテール教師で、これがまた厳しいと評判だ。しかし、その美貌からわざと構いたい男子が後を経たないとか。この学校の女性って変な人しかいないな。それにしても、みんながいつも以上にピリピリしている。何故か机から動こうとはせず、教科書や問題集、ノートが何冊か置いてあった。そして、そのノートにみんなシャーペンをガリガリと音を立てながら書いていた。もしかすると、あまり考えたくないがあれが近いという事なのか・・・?
宝華「そうよ。あんた、2週間後から中間テストよ?勉強してるん?」
黒季「・・・あ・・・」
やっぱりかいっ!!もうすぐ中間テストが始まるのだった。この学校は進学校だからか、テスト内容も難しい。これはモンスターならぬ、問スターが現れるという事だ。しかもこの問スターにはいくら僕でも勝てないのだ。何故なら・・・勉強してないから。そう言えば、アインス達を日本に誘う約束したけど、その約束が叶うのは2週間後かな・・・。今は、勉強するしかないか。それから家に帰ると、徹夜で勉強した。
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・・・かに見えた。最初は勉強していたが、数学や生物、化学、物理、英語、日本史、世界史、現代文、古文の内容が難しく、途中で命尽きた。うん、これ絶対無理。何であの学校に行ったんだろう?1番は近いからなんだけど。このままじゃ、赤点回避出来ない。うちの学校では赤点を取ると、追試を受けるがこれが面倒くさい。さらに1階の廊下の壁に順位が貼られるので、誰が1番上か下かが分かってしまう。プライバシーとは一体?一応、赤点は60点以上で回避だが、赤点取ったとみんなにバレるのは恥ずかしいな。せめて平均点以上は取りたい。そう願い続け、勉強をした。・・・うん、やっぱり無理。いくらスライムでも勉強は無理。こうなったら・・・誰かに教えてもらうしかないな。さっそくある人物の家に行った。
黒季「おーい、ほのか。助けて」
ほのかの家だった。ほのかは金持ちなので、実家は屋敷だ。また、ほのかは成績優秀で中学校ではそれなりの順位を取っていた。ほのかなら勉強を教えてくれるに違いない。そう思い、呼び鈴を押しまくった。すると玄関からほのかが出て来た。
ほのか「黒季ちゃん、どうしたの?」
黒季「勉強教えてください!!」
思いっきり頭を下げた。もう乗り切るにはこれしか無いと考えた。彼女なら大丈夫だと思うけど・・・。
ほのか「いいよ♪上がって!!」
すんなり受け入れてくれた。これはラッキーだ。優秀な人が幼馴染にいて良かったと思った瞬間だった。さっそく家に上がると、玄関には靴が沢山あって散乱していた。他にも誰かいるのだろうか。そう思いつつ、和室に案内され入ると、そこには白沢、宝華、赤城、オリヴィア、そして優衣がいたのだ。なんかすごい面子だ。
優衣「何であんたが来たのよ!?あんたも勉強会したかったの?」
黒季「・・・?勉強会?」
白沢「あら、知らないの?今日、私達はほのかちゃん家で勉強会をする日だったのよ」
オリヴィア「黒季モ英語一緒ニ勉強シヨウネ」
宝華「まさか、あんたも来るとはね。どっから聞いたの?」
赤城「まさか、盗聴!?」
黒季「そんな訳あるか。ただ教えてもらいたかっただけです」
ほのか「ならちょうどいいじゃない♪勉強はみんなでやった方が楽しいよ♪」
宝華「まあ、ほのかがそう言うならね」
優衣「絶対変なことはしないでよ!!」
黒季「・・・優衣、一度金床を頭に落とそうか?」
なんやかんやで楽しい楽しい(?)勉強会が始まったのであった。
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そして迎えた中間試験。緊迫した教室の中、問スターという怪物が頭を刺激攻撃してきた。みんなは右手にシャーペン、左手に消しゴムという武器を持って挑んだ。無論、僕も。テスト問題は問題集の中や宿題、あらかじめ教師達が準備した物の中の内容がほとんどあるが、最後に意地悪な問題がついてあったのだ。しかも全教科。どう思ったかの感想を書けや、数式がややこしい数学の問題など面倒くさい物があり、これを考える事で頭がキャパオーバーしそうになった。だから全部の問題、白紙にした。そして1週間の中間期間が終わった。たった1週間が長く感じた。しかし、これが終わればしばらくは楽になる。終わった後、放課後に勉強会したみんなでファミレスに行った。
白沢「みんな、お疲れ様っ!!今日は楽しみましょっ!!」
宝華「ここのドリンクバー、全部飲み干すわよっ!!」
優衣&ほのか「「わーいっ!!」」
赤城「久々の外食っ!!なんかどれ食べていいか、分からない!!」
オリヴィア「トリアエズ、コノパフェ2ツネ!!」
白沢「じゃあ、私はランチセットAからEにしちゃおっと!!」
宝華「え・・・?2人共、そんなに食べる気??」
みんながワイワイしている中、1人だけ浮いた人がいた、僕だ。今日は白沢が奢ってくれるというからついて来たが、なんか今頃になって不安になってきた。この空気感についていけれるか・・・。まあ、楽しかったらそれでいっか。みんな一生懸命頑張ってきたから、羽目を外したいんだろう。ただ最近、グレゴリーがここ地球にやって来たから、ゆっくり休めないのが不安だが・・・。
ほのか「・・・季ちゃん、黒季ちゃん」
黒季「・・・あ、何?」
ほのか「さっき、愛菜ちゃんが"破壊!豪快!王様全開!レジェンドナンバーワン!!パフェ"を頼んじゃったけど、大丈夫よね」
黒季「・・・え?あの1個5000円で、50cmぐらいあるパフェ?」
ほのか「うん、そうよ。愛菜ちゃん、2つ頼もうとしたけど、私達が全力で止めたから安心してね♪」
・・・一難去ってまた一難。何処へ行っても自由に過ごせなかった。
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その後、夕方ぐらいにみんなと解散した。結局、あの特大パフェは殆どの人が苦しみながら食べ、10分の1いくか分からない所でギブアップになった。しかし、白沢が殆どペロッと食べてしまった。僕も頑張って食べたが、甘い物しか食べてない為、途中で気分が悪くなった。このままじゃ、糖尿病になってしまう。しかし、今日1番驚いたのは白沢があんなに食べる人だとは思わなかった。そう言えば、昼飯の時、やけに大きな弁当箱で食べていたな。それにポケットに圧縮された菓子パン、リュックには駄菓子やお菓子が山のように入っていたな。なんか恐ろしくなってきたな。そう言えば、中学の時も同じような人に会った事があるような。誰だったっけ?そんな事を考えている内に家についてしまった。いつものように大家に警戒して階段を登りつつ、部屋に入ると急に黒い影が襲いかかった。
???「ボスゥーッ!!」
声を聞いてすぐに理解した。この声はフィアだった。それによく見ると、意外な人物達がいた。
ツヴァイ「お久しぶりです、ノワール様!!急に押しかけてすみません」
ドリィ「ご無沙汰です、ノワール。今日は手土産を沢山お持ちしましたので、是非ご家族の方にどうぞ」
フィア「ボスっ!!ボスっ!!久しぶりのあれやってーっ!!」
フェンカ「来ちゃいましたよ!!」
ゼクス「悪いね、急に」
ジーナ「またお会い出来て嬉しい限りです、ご主人様!!」
アハト「ここがノワール様の住んでいる家・・・」
ノイン「また会ったねーっ!!」
ツイーナ「おかえり、マスター」
なんと十黒のメンバー全員来ていた。しかも仕事着ではなく、私服で。アインスだけかと考えていたから、まさかの出来事に驚いた。それにしても、みんな懐かしく、久しぶりだな。最近みんなと会えてないから、なんか嬉しいな。
秋穂「彼女達、ついさっき来たのよ。今はみんなで家事のお手伝いをしてるわ」
春香「アインスちゃんは夏菜と買い物に行ってるわ。ノインちゃんは冬美と冬音の相手をしてるわ」
あ、だから夏姉とアインスがいないのか。しかし、よくうちが分かったな。
ツヴァイ「ゴースト達の情報を頼りに来ましたので」
黒季「あぁー、なるほどね。あ、お茶用意してなかったね」
ツヴァイ「いえいえ、私達が急に押しかけたのですから、ここは私が」
そう言ってツヴァイは台所に行って、食器棚からガラスコップを取り出した。春姉はその隙に冷蔵庫からお茶の入ったペットボトルを取り出した。ツヴァイはペットボトルを持ち、コップにお茶を注いだ。
黒季「そうだ、今日泊まる部屋だけど僕の部屋で良ければ、数人は寝れるよ」
ドリィ「まあ、わざわざありがとうございます!!」
フィア「フィアはボスと一緒に寝たいっ!!」
ジーナ「ずるいっ!!私もご主人様と一緒に添い寝したい!!」
黒季「近所迷惑になるから静かに」
みんなが騒いでいるうちに、夏姉とアインスが帰ってきた。2人共、手には袋いっぱいに食品が入っていた。
アインス「あら、もう帰ってきたの?ごめんなさいね、急に来て」
黒季「大丈夫。どうせ姉さんが中間終わったから来ていいよって言ったんだろ?」
夏菜「まさか。彼女達自ら来たのよ。まあ、一応スケジュールは教えたわよ」
黒季「まあいいわ。今日はみんなも疲れたから、ゆっくりしていきーな」
今日は朝から夜まで騒がしくなりそうだな。




