侵略!タコ怪人
メリウス「ふあぁ〜。眠たいですぅ〜」
マールス「眠いってあなた何1つやってないじゃないっ!?」
ルーナ「それよりもこれでいいのか?」
その頃、暗黒の七将軍のメンツはある場所に来ていた。その場所は首都圏外郭放水路だ。こんな場所に普通の人は滅多に来ないが、奴らはある事をするために来ていた。ルーナは地面に何かを書いていた。一件見ただけでは分からないが、上から見ると巨大な魔法陣を描いていた。こんな場所で魔法陣を描くのは滅多にいない。やがて書き終えると、ある姿が見え始めた。
???「あらら。もう終わっちゃったの?少し手伝おうかと思ったのに・・・」
マールス「余計なお世話だ。それより、そっちは大丈夫なんだろうね?」
???「心配ご無用。こちらも準備出来ましたわ」
頭部が壺で4本の触手が出た顔に奇妙な色の体、二足歩行で歩いてきた人間ではない姿。名前は"オクトーパ・エイトロー"。もちろんカオスだ。そんな奴が何しにきたのか、もちろん1つだ。
オクトーパ「この魔法陣は色んな世界の海に繋がっているから、この放水路でも受け止められないぐらい水を充満させるとどうなる?」
ルーナ「そりゃ、地球の大陸は殆ど水没しちまうじゃん?」
オクトーパ「そう!人間共は生きていく事すら難しい故に、海中生物の楽園になる。これこそが水の星、地球のあるべき姿じゃなイカ!!」
メリウス「うえぇ〜!!おっかないですぅ〜!!」
オクトーパ「水没していれば、混乱している地球人を何人も奪えるじゃなイカっ!!」
マールス「さらに水の中じゃ、あまり抵抗も出来ないわね。船にいる人間も襲うの?」
オクトーパ「当たり前じゃなイカ!!水中は我の独壇場。さらに船の上じゃ迂闊に攻撃も出来ない、最高の作戦じゃなイカ!!」
そう、彼らの狙いは地上を水だらけにして、人間や希少生物を攫う事。異世界で人間を攫うより、地球で攫う方が簡単だからだ。地球は魔法もなければ魔力すらない。まさにグレゴリーにとって格好の餌だと言う事だ。そこで狙いを定めたのが、ここ首都圏外郭放水路。夜は滅多に人が来ないこの場所はまさに打ってつけだった。
オクトーパ「では、私はまだやりたい事があるのでしばらく作業を行うわっ!!」
マールス「絶対にやらかすなよ」
オクトーパ「りょうか〜い!!」
そう話すと、マールス達は黒い緞帳を出して入って行った。残ったオクトーパは1人作業を再開した。
オクトーパ「ふふふ。あいつらを出し抜き、この私が成り上がってやるのもいイカな。使うだけ使って上に立つのも面白いじゃなイカッ!!」
ただっ広い放水路でオクトーパの笑い声がとても大きく響いた。そして暗い奥の方へスゥッと消えてしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夜、まだ明るい埼玉の街。その頃ノワールになった黒季はあるビルの屋上に立っていた。ビル風によりコートがはためき、まるで闇の支配者みたいな風貌をしていた。これこそが自分の求めていた理想の姿だ。夜の時間にビルの屋上から見下ろすシチュエーションこそ、闇の支配者に相応しいではないか。
ノワール「さてと、みんな来たようだな」
ノワールの後ろには、ブラン1人が来ていた。ブランも黒いコートをはためかせていた。顔にはそれぞれ変わったアイマスクをしていた。ノワールは黒のドミノマスク、逆にブランは白のドミノマスクをつけていた。これでも身バレする事はない。
ブラン「ノワール、みんなの準備が出来たわ。あとは出動するだけだわ」
ノワール「そうか。なら行こうか」
そう一言言うと、ノワールはビルの屋上から足を出して、飛び出した。前のビルとの間は、道路と歩道を挟んでいるため結構距離はあったが、そんな事を気にもせずに飛んだ。はためかせたコートがまるで翼みたいになり、実際に飛んでいるみたいに見えた。それに続き、ブランもビルから飛び始め、ブランも前のビルに着地した。そして、また次のビルへ飛び続けて、ある場所に着地した。そこは首都圏外郭放水路がある場所だった。ノワールはゴーストの情報を頼りに埼玉に来ていたのだ。そこで不可思議な人が出入りしていると言う情報を知った。関係者でも従業員でもないらしく、グレゴリーの仕業らしい。話によれば、この辺り一面に各異世界中の海を転送させ、地球を本当の水の惑星にする事。そして、その中で人間や希少動植物を誘拐し、売り捌こうとしているようだ。
ノワール「面倒だな」
ブラン「やるしかないでしょ」
扉には鍵がかかっていたが、腰のバックルで簡単に開けてしまった。そして、2人は地下へ続く扉を開けようとした時、影からカオス兵が現れた。どうやら隠れて待ち伏せていたようだ。剣や銃を持っているようで殺す気満々の様子だった。しかしこんな状況は想定内だった。あまり騒ぎにならないよう、カオス兵はゼーレアブソーブを発動させるとカオス兵は寿命を抜かれたのか、霧のように消えてしまった。ブランも自身の武器で次々と薙ぎ払いしていった。やがて5分もしないうちにカオス兵を全滅させた。そしてそのまま地下へ入ったが、中には誰もいなかった。
ノワール「誰もいない・・・」
ブラン「すっご〜いっ!!初めて入ったっ!!」
しばらくしていると、影の中から誰かが出てきたのだ。そしてそのまま壁にへばりついていた。
「誰かしら?こんな場所に来てる悪い虫は?」
オネェ口調で喋りかけてきたが、暗くて姿は見えなかった。そこで久々に"光る妖精"を初動させると、そこには人間と同じ体で手を壁にはいつかせながら歩いているタコみたいな怪人の姿がいたのだ。それを見た2人はただただ見つめてしまい、思わず
((誰?))
と思ってしまった。今分かるのはタコの怪人という事だけだった。しかしそんな2人をよそにオクトーパは話を続けた。
オクトーパ「我はオクトーパ・エイトロー。一応グレゴリーでもあるわよ」
ブラン「・・・オネェキャラ・・・」
自己紹介をしたが、独特すぎる見た目と声のギャップが違いすぎて、開いた口が塞がらなかった。
オクトーパ「ようやくシャバに出られたのよ。好き勝手暴れたいんだわっ!!」
ブラン「これ以上、暴れさせてたまるものかっ!!」
ブランは武器を手に取り、オクトーパの方に飛んだ。そのままオクトーパに突き刺そうとするも、奴の触手で弾き返され、その後壁に当たってしまった。
オクトーパ「あら?案外大した事ないのね?これなら・・・ぐはっ!?」
いきなり体に激痛が走った。体を見ると右腕が切られていたのだ。これは流石に驚きを隠せなかった。あの一瞬で暗い中腕を切られるとは、戦い慣れているのか!?オクトーパは痛みに悶えながら、辺りを見渡した。
オクトーパ「バカ・・・なっ!?一体誰・・・が!?」
???「やはりこの中は戦いやすい。魔力も影も十分ある」
オクトーパ「・・・!誰だっ!?」
すると壁から何か不特定な形の生き物が出てきた。いや、壁からというよりも影から出てきた方が正しいか。その影から無数の手が伸び始めて、オクトーパの体をがっちりと掴んだ。オクトーパは負けずと抵抗するが、掴む力が強く、中々離せなかった。
オクトーパ「うぐっ・・・!?話しなさいよっ!!」
???「悪いが、貴様には早く退場してもらう」
オクトーパ(だが、ここであの呪文を唱えれば・・・)
???「魔法陣なら壊した」
オクトーパが見ると、そこには地面が割れている場所があった。丁度魔法陣がある場所に。
オクトーパ「なっ!?」
???「さようなら」
すると壁から鋭利な刃物のような形が伸びてきて、オクトーパの体に刺そうとした。
オクトーパ「ええいっ!!この私がここで倒れてたまるかっ!!ここは退却よっ!!」
するとオクトーパの体は次第に煙状になり、何処かへ飛んで行った。がっちり掴んだ体も煙状になれば、スルルと抜けてしまった。壁から出てきた何かはやがて壁から抜け出して、地面に着地した。そして次第に体を構成し始めた。正体はノワールだった。ノワールはすぐさま壁に埋め込まれたブランを引っ張り出し、地面に叩きつけた。
ブラン「痛〜いっ!!扱い酷すぎるよ〜!?」
ノワール「全く、先走るからこんな目に会うんだ。だから今のはお仕置きだ」
ブラン「ひどっ!?暴力反対っ!!」
そして2人は中が響くほどの言い争いをしながら、2人しかいない地下放水路を後にした。
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アートルム「オクトーパ、お前程の奴がやられるなんて珍しいね」
オクトーパ「邪魔が入ったんで。しかし、例の計画は今順調に進んでいます」
その頃、グレゴリー本部アートルムの部屋でアートルムとオクトーパが話していた。グレゴリー本部に戻ってきたようだ。オクトーパの言う計画はさっきので終わりではないようだ。
アートルム「それは良かった。これは極秘任務だからくれぐれも気をつけるようにね」
オクトーパ「かしこまりました。あんな奴らの二の舞にはなりませんので」
そう言い残すと、また煙になって出て行った。そして部屋に1人残ったアートルムは今度は本棚の方へ行き、ある本を奥に押し出した。すると、押した拍子に本棚が開き始めた。中にはソファや机、椅子など応接間になっていた。中では廣嶋が座って待っていた。
アートルム「今日はきちんと君に話しかけたよ」
廣嶋「まあ、何でもいいが私を呼び出した理由は?」
アートルム「実は君にお願いしたい事があってね」
廣嶋「???」
アートルムは廣嶋に何かを話しかけた。一応アートルムは周りを気にしながら喋っていた。何か聞かれたくない機密事項のようだ。
廣嶋「それはそれは大掛かりだな」
アートルム「君しかいないんだ。頼むよ」
廣嶋「・・・上手くいく保証はないが、やるだけはやる」
アートルム「任せた」
そう言うと、廣嶋は何処かへ消えてしまった。その後、部屋から出ようとすると、扉の前にポワソンが立っていたのだ。
ポワソン「あの男とあんなに話すなんて、よほど仲がいいのね?」
アートルム「別に仲良しって程じゃないけど、大事なビジネスパートナーだよ」
ポワソンは廣嶋の話題をするも、アートルムは驚く事なく端的に話した。
ポワソン「でも密会するなんて、とても重要な話だったのかしら?」
アートルム「何、ちょーっと面白くなってきたからね。これからが忙しくなるぞ」
アートルムがそう言うと、ポワソンは黙って部屋を出て行った。アートルムはその後、部屋の窓に行った。そこから見える2つの満月を見ながら独り言を呟いてた。
アートルム「ふふふ、今度は何を見せてくれるんだい?ノワール」
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黒季「アインスからまた情報がきた。あのタコ怪人の真の目的が分かった」
白沢「嘘っ!?事前に聞いたあれは私達を欺くための偽情報!?」
昼休み、屋上で黒季達ノワールファミリーは昼飯を食べていた。あの時いなかった他の人も交えて、話し合いをしていた。今まであった事は既にみんなには伝えた。ただ、オネェキャラの怪人にみんな引いたと言うのは言うまでもなかった。
宝華「その情報にはなんて?」
黒季「詳しい詳細は後で話す。それよりも、最近グレゴリーが地球に来ているのは知ってるよね?」
春香「そう言えば。最近カオス兵を多く見るようになったわね」
秋穂「誰かが手引きしてるって事?」
夏菜「それが妥当かもね。もしくは別の目的があるとか・・・」
白沢「とにかく、私達で何とかしないと」
黒季「だけど、そろそろこの人数では限界がある。アインス達も連れてくる頃合いかな?」
白沢「う〜ん・・・」
オリヴィア「モグモグ・・・」
みんな同じ考えを持って、頭を悩ませている(1人不明)。その頃、赤い石を持った赤城炎珠の姿を見た物は誰もいなかった。彼女が今どこにいるか、それは彼女以外誰も知らなかったのだった・・・。




