我儘の正体
数日後、母さんからやっと振り込みがあった。しかし、家賃分は無かった。仕送りとは一体?そんな事を考えながら学校に行くと、目の前に高級車が現れた。運転席から執事らしき人が出て来て、後ろのドアを開けると、中から見た事ある顔が現れた。黄色髪ツインテールのギャル、前にアジフライ弁当で取り合いになった女子だった。
「・・・おはようございます」
「・・・ご機嫌よう」
前にあんな事があったので、お互い気まずくなった。とりあえず挨拶だけでもしとくか?名前知らないけど。
「えっと、アジフライさん?」
「な、誰がアジフライですって!?私の名前は"赤城炎珠"!!アジフライではありませんわっ!!」
「じゃあ、赤城さん」
黒季は再び挨拶をした。赤城炎珠と名乗る女子は、あの某有名和菓子メーカー"赤城堂"の社長令嬢らしい。あの有名なカエデ饅頭を作っているらしく、広島にある某和菓子メーカーとはライバル会社らしい。形はほぼ同じなんだけど。
赤城「そう言えば、あなたのお名前は?」
黒季「黒季です」
赤城「では黒季くん。今後はアジフライ弁当を私に渡すように」
黒季「断る」
赤城「な、何故ですか!?」
赤城は驚いた様子だった。この我儘お嬢様、きっと世間知らずなんだろうな。このまま放置したら、きっとバチが当たるな。ちょっと見てみたいけど。恐らく、自分の親の名前、財力を使ってやり放題していたんだろう。そんな奴は嫌いだ。
黒季「ほんじゃそんな訳で」
赤城「あ、ちょっと、待ちなさいっ!!」
黒季は素早く逃げた。あんな奴と関わったら面倒だからな。そのまま下駄箱に行き、階段を上った。運の良い事に、赤城とはクラスが違っていた。なのでしつこく言われる必要がなかった。席に座るなり、宝華と白沢がやって来た。
宝華「黒季、あんた赤城堂の社長令嬢と揉めたって噂を聞いたんだけど」
黒季「あれは完全にあっちが悪い」
宝華「開き直るな」
どうやら売店であったあの騒動は噂になったようだ。また穏やかな学園生活とはかけ離れてしまった。忌々しい。
白沢「まだ私と付き合っている噂もあるし、行動はほどほどにした方がいいわよ」
黒季「それはお前のせいじゃけ。つーかまだ続いとるんかい」
白沢「不思議な事にね」
すると後ろから誰かがやって来た。
オリヴィア「みんな!!|Guten Morgen(オハヨウネ)」
ドイツ語の挨拶、オリヴィアだと言う事がすぐに分かった。あの一件以来、白沢達と仲良くなったようだ。おかげで黒季、白沢や宝華とよくいる事が多い。
オリヴィア「アジフライ弁当、ドウダタネ?」
黒季「お前もかい!!まあ、なんやかんやで終わった」
オリヴィア「分カッタネ。良カタネ!!」
いいんかい!!あと興味ないな。
宝華「いい!!問題を起こしたくなければ静かに過ごす事!!こっちも胃がキリキリするから!!」
黒季「分かった分かった。ジュース買いに行ってくる」
宝華「分かったは1回!!」
まあ、宝華の言う通り、これ以上問題を起こすのは不本意だ。今日も問題なく終わればいいが。1階に降りるために階段を進むと、廊下から誰かが走っていく気配がした。しかし、黒季は財布の中身を見ていたため、もう1人は急いで走っていたため、お互い気づく事が出来なかった。そして、階段を降り終えた矢先にちょうど走っていた人とぶつかった。お互い尻餅をつき、黒季は財布の中の小銭をばら撒いてしまった。
黒季「痛た・・・て小銭が!!」
黒季は急いで小銭をかき集める。近くにあるものから転がって遠くにあるものもいた。しかし、不幸中の幸いか誰も通ってこなかった。誰かに拾われる前に小銭を集めた後、ぶつかった人に駆け寄った。そこで意外な人物に会ってしまった。赤城炎珠だった。
赤城「ちょっと・・・てまたあなたっ!?」
黒季「それはこっちのセリフ!!」
赤城「どうしてあなたがここに!!」
黒季「ここは学校だ!!どこにいてもおかしくないだろ!!」
お互いまた言い合いになってしまった。朝からこんなに会うとはどうなってるんだ!?運命も皮肉だな。こんな昼間の広い廊下で言い争いになるなど、誰が想像しただろうか。
黒季「あ、休憩時間がなくなる。じゃあな」
黒季は急いで自販機の方に走った。そんな中、ポツンと残された赤城。当然これで終わるはずがなく、そのまま怒りをぶつけていた。
赤城「ちょっと、待ちなさい!!全く、覚えておきなさーい!!」
赤城が去ろうとすると、廊下に赤い宝石が転がっているのが見えた。それを見た赤城は思わずそのまま見つめて、動かなくなった。そして赤い宝石に釣られていくかのように赤い宝石を拾った。
赤城「き、綺麗・・・ビューですわ」
赤城は見惚れてしまった。それと同時にポケットにしまってしまった。そして我に返った。
赤城「あれ?私、一体何を?」
いつの間にか記憶が飛んでしまったが、彼女は気にせず教室に戻っていった。これが彼女の運命を変える出来事だと知らずに。
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放課後、みんながまた異世界に行きたいと言い出したので、家のトランクケースから異世界に行った。オリヴィアは今回3回目になるが、戸惑う事なく楽しんでいた。今日は暗黒の魔城の外を探索していた。緑豊かな森に広い湖。まるでイギリスの山の自然を彷彿させる。しかし、1つ違うとすればここには可愛い動物だけではなく、凶暴なモンスターも存在する所かな。しばらく森を歩くと、全身が石で出来たモンスターと体が砂で構成されたトカゲ、大きなカメレオンが現れた。しかし、これらは僕が作ったモンスター。石で出来た"ストンゴレム"、砂で構成された"リーザンド"、大きなカメレオンの"カメレゴン"。みんな僕が作ったモンスターだからか、彼女達が触れても怒る様子はなく、寧ろ喜んでいる。
宝華「まじか・・・」
黒季「何驚いてるんだ?意外だった?」
宝華「あんたがこんなモンスターも作ってるなんてね」
宝華は驚いた様子だった。なんか凶暴そうなモンスターばかりしかいないと思っていたからだ。人は見かけによらないとは、こういう事だ。まあ、彼らは最近作ったモンスターなんだけどね。
オリヴィア「可愛イネ!!」
白沢「それ分かるっ!!ちょー可愛いっ!!」
秋穂「お兄ちゃん、女子受け狙ってる?」
女子達には好評だった。まあ、これはこれで良しとしよう。それにしてもこう見ると、6人も増やしてしまったな。あとは3人で10人揃うか。そう言えば、ケンちゃんあの石について、全く教えてくれないな。一体何なんだ?体に入ったら力がみなぎる、そんな悪◯の実みたいなことあるか?いや、あるか。黒季は石を取り出した。
黒季「うん?あれ?1個ない?」
石を取り出すと、赤い石が1個なくなっていた。あれ、やばくない?誰かが拾ったとか?それを売ったっか、有り得なくもない。そもそもどこで落とした!?ポケットや体内を探しても入っていなかった。やっちまったな。しゃれにならないぞ、これ。
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「またやられたみたいだな」
「また!?何のために頭下げてプト・・・何とかに頼んだのにっ!?」
「星光騎士団です」
その頃、地球のあるホテルの部屋で女性が会話をしていた。暗黒の七将軍だった。彼女達は観光で来た訳ではない。
メリウス「うぅ〜悲しいですぅ〜」
マールス「何でまたこんな事が起こるんですか?」
ルーナ「やっぱり大した事ないじゃん。もう一度私が出向く!!」
ユピーテ「そんな事言わないの!!優しい言葉で使いましょっ♪♪」
みんなが色々と話し合っていると、ウェヌスが
「私にいい案がある。確実に奴らを誘き寄せる作戦がある」
と言い出した。それを聞いたみんなはキョトンとしていたが、気になって話を聞く事にした。
ウェヌス「前にドラコから能力をもらっただろ。今回はそれを使う。試しにカオスを使ってな」
それを聞いたみんなは納得した。そういえばドラコに能力をもらったんだっけ。いざと言う時に使えとは、まさにこの事だろう。
「私は賛成だ。ちなみにみんなもな」
多数の賛成で実施する事にした。明日は本部に戻って作戦会議だ。
「すみませ〜ん。ルームサービスのお食事、どうなされますか?」
ユピーテ「あ、は〜い。今行きますっ♪」
その前にホテルスタッフが持って来てくれたルームサービスを今は堪能する事にした。
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黒季は家に帰り、急いで部屋中を探した。机や椅子、棚の後ろなどなさそうでありそうな場所をくまなく探した。しかし出てきたのは小銭にコンセント、何故かドライバーまであった。
黒季「ない、ない、ないっ!!もうどっか落としたわっ!!」
ジャラゴン「あんな大事な物を落とす馬鹿がおるかっ!!」
ケンちゃん「だからポケットに詰めるなって言ったでしょっ!!」
2人も黒季と一緒に赤い石を探していた。彼女達はまだ異世界を堪能中。しばらくは帰っては来ない。その間に何とか見つけないと、あとで何言われるか。ありとあらゆる場所を探しても、家の中にはなかった。じゃあ外だ。外で落として誰かに拾われたか、カラスに攫われたかの2つだ。しかし、こんな広い場所を探すのは骨が折れる。
ジャラゴン「能力使わないの?」
あ、能力使えるんだった。最近、全然学業に集中していたからな。そうだよ、能力を使えばいいんだった。早速新たに"捜索術"を作って赤い石を探す事にした。場所の確認はケンちゃんを使って位置を割り出している。これならわざわざGPSをつけなくても、特定の物を探す事が出来る。早速調べてみると、意外な事に石はあまり遠くない場所にあった。その場所まで歩いていくと、あるアパートまで辿り着いた。うん?どういう事?何故石がこのアパートにあるんだ?よく分からないが、石から発する魔力を微量感じた。姿をハエに変えて、急いで探した。するとある部屋から魔力を感じたのだ。その部屋に入ると意外な人物がいたのだ。赤城炎珠本人だった。なんとボロい壁に小さなちゃぶ台、隅に小さなテレビなどモノマリストみたいな生活をしているのだ。金持ち自慢したのは、見栄だったのか。というか何でこんな部屋に住んでるんだ?すると赤城と朝見た執事が何やら話していた。
執事「お嬢様っ!!いい加減現実を見てくださいっ!!」
赤城「嫌よっ!!私はまだこんな生活、認めないんだからね!!!」
執事「しかし、この所赤城堂はかのライバル社の競争に負けてしまい、会社は買収されたのですよっ!!それ故か、あなたのお父上でもある社長は体を壊してお亡くなりになられたっ!!今は残された遺産を少しずつ使ってやっと生活してるレベルですよっ!!」
赤城「ならあなたが何とかしなさいよっ!!あなたはパパの側近だったのでしょっ!!パパの近くで仕事を色々と見ているじゃないっ!!」
執事「しかし、1から10まで分かる訳ではありません!!もういい加減にしてください!!」
赤城「嫌よ!!赤城家に生まれたからにはそれ相当の暮らしをしなければいけないのよっ!!」
執事「・・・もう話になりません。奥様には申し訳ないですが、本日限りでやめさせていただきます。お世話になりました」
そう言って執事はアパートを出て行った。部屋には彼女だけポツンッと残っていた。・・・なんか、すごいものを見てしまったな。成金我儘女かと思ったら、実は貧乏気取り女だという事が分かった。色々事情があるんだな。
黒季「・・・一旦帰るか」
ジャラゴン&ケンちゃん「「・・・うん」」
3人は一旦帰った。石についてはまた後日、彼女から聞き出せばいいか。




