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オリヴィア、覚醒!?

 「フアァ〜今ナン時ネ?」


その頃、オリヴィアは何故か船の廊下で目を覚ました。辺りを見渡すも誰もいなく、電気がついていなかった。奥からすごい音がするので行って扉を開けてみると、そこは大火災が発生していた。慌てたオリヴィアは急いで扉を閉めた。


「ア、危ナカッタネ」


仕方なく、オリヴィアは別の扉を探し始めた。しかし、どこも鍵が掛かっていたので開ける事すら出来なかった。それに自分が今どこにいるのかも分からず、壁にかけてあった懐中電灯で辺りを照らした。


「アレ?牢屋ジャナイネ?ココドコネ?」


すると、また近くから音がしたので、今度こそはと思い、走って行った。そして鍵穴からこっそり覗くと、誰かが戦っているのが見えた。小さい穴からだが、ガキンガキンッと音を立てて戦っている様子が分かる。これはアニメの世界でも夢でもない、本当の景色だ。


Erstaunt(エアシュタウント)(驚イタ)!!ナンカスゴクナッテキタネ!!」


つい興奮して、その場をじっと見ていた。しかし、鍵穴なので見る所が限られてしまい、もっと見たいと思った彼女は別の所へと移動した。上なら広く見られると思い、階段を上り、上の窓から見下ろした。覗いてみると思った通り、全貌が見えた。謎の集団が謎の集団と戦っているという事に。


「ワーオッ!!!コレハシャッターチャンスネッ!!!」


オリヴィアは思わず、スマホを取り出し、写真を数枚撮った。その時、写真を撮っている時、船が傾いている事に気づいた。近くに机があって、机の上にあった花瓶が徐々に滑っている。それも横ではなく、後ろに。流石のオリヴィアもこの時は危ないと感じ、下に降りて行った。


「ダ、ダイブ斜ニナッテキタネ・・・。コレハ危ナイネ」


何とか階段を降りおうとするも、船が斜めになっている以上、感覚がおかしくなっている。このまま自力では難しいだろう。すると急にガクッと大きく揺れた。その拍子にオリヴィアも手すりから手を離して、後ろに倒れてしまった。鉄の階段なので頭を打ったら一大事だった。このまま真っ逆様に落ちようとした時、ちょうどそこに誰かがやってきて間一髪オリヴィアを受け止めた。


「ダ、誰カハ分ラナイケド、助ケテクレテアリガトウ・・・」


「ったく、心配かけて」


「ン?アレ?ドコカ見タコトアルヨウナ・・・」


受け止めたのは黒一色のコートを着た男性だった。しかし、顔はパーカーとサイバーパンクマスクで隠れていて見えなかった。男性は彼女を抱き抱えると体を変形させて、丸い形になった。そして、そのまま素早く移動した。船が斜めであるにも関わらず、まるで風のように早く動き、やっと船から脱出出来た。船は半分海水に浸かっていて、まさに斜めに沈んでいった。やがて岸辺に着くと、体を人型に戻して彼女を下ろした。オリヴィアは状況が分からなく、困惑していたがやがて船にいた奴らもこっちに来た。


ヴィオレ「あんた頭おかしいんじゃないのっ!?」


ヴェルデ「何で船沈ませたのっ!?」


ブラン「ていうか、これが擬似タイタニック号・・・」


アマリージョ「私は案外楽しかったわよ」


2人は怒り、2人は楽しんでいた。ちょうど海からアスールも上がってきた。しかし彼女は超がつくほど不機嫌だった。そして、ノワールの姿を見るなり、彼の所へ走って後ろ蹴りをしてきた。ノワールもその衝撃に後ろへ吹っ飛んだ。倉庫の目の前にある資材置き場にあたり、全身もろに喰らった。その後、アスールがノワールの所へ歩き、胸ぐらを掴んだ。


「よくも、よくも私を見捨てたわねっ!!」


「見捨てたんじゃない。水の中はお前の独壇場だろ?」


「それ以前に人としてどうかしてるわよっ!!」


「残念だけど、僕人間じゃ・・・ふゔぁっ!?」


「都合のいい時だけスライムスライム言いやがって!!寝言は寝て言えっ!!」


アスールはノワールを海に投げ出した。ザバーンッと音を立てながら、ノワールは擬似タイタニック号と共に沈んでいった。


「ノワールめっ!!その中で頭を冷やしなさい」


アスールはみんなの所に戻った。一応1人除いてみんな無事みたいだ。


「そう言えば、みんなはどうやって脱出したの?」


アスールがそう言うと、みんなバックルのワイヤーを使って出たらしい。ちょうど船が傾いた時ぐらいに。ちなみに船に乗っていたラファエロとヴォルフガング、海賊カオス共はそのまま真っ逆様に落ちたようだ。とりあえず1つ終わった。次は何故かここにいるオリヴィアの帰還。あまり下手に話すとバレる可能性があるため、急いで帰ろうとした。その時、どこからか電撃攻撃がしてきた。みんなその攻撃の巻き添いにあった。その後、声も聞こえた。


「まさか、船を沈むとは、せっかくの移動手段がなくなったんだな〜」


「それよりも、せっかく仕入れた商品が逃げたぞっ!!」


そこには船と一緒に沈んだはずのラファエロ、ヴォルフガングがいたのだ。この事はみんな驚いた。


ブラン「どうして!?あなたは沈んだはず・・・」


ラファエロ「そう、沈んだわよ、分身が」


アスール「何!?分身!?」


ラファエロ「私の描いた分身、なかなか上手いだろ?」


アマリージョ「そう言えば、ずっと聞きたかったことがあるの?あなた達、誰?」


ラファエロ「そう言えば、名乗り忘れたんだな〜私はグレゴリーに所属する星光騎士団(プトレマイオス)がか座の使徒(ピクトール)のラファエロ・ペーンテール」


ヴォルフガング「同じく、こと座の使徒(リラ)のヴォルフガング・ヤーマッハ」


ヴィオレ「星光騎士団(プトレマイオス)?いや、さっきグレゴリーって!?」


グレゴリーというワードを聞き、ヴィオレ達はすぐ理解した。こいつら、グレゴリーの仲間だと言う事に。まさか、まだこんな奴らがいるとは思わなかった。


ラファエロ「私の能力は描いた絵を実現する事が出来る能力。分身もそうやって作ったんだな〜」


ヴォルフガング「ちなみに俺様はあらゆり音色を操る能力だ」


2人は不気味そうに笑っていた。自身の能力を明かすとは、よほどの腕前があると思う。ここは用心して対応するしかなかった。それにまだオリヴィアもいる状況の中、制限ありの戦いはちょっと苦しかった。ノワールは海の中だし。そんな中、最初に動いたのはラファエロだった。


「ではいくんだな〜。"実現する絵画(ミケラ・クリエイター)"」


するとラファエロは大きな筆を取り出し、空に向かって何か書き始めた。その正体は大きな爆弾だった。それを数個描き上げ、やがて実現化した。実現した事により、爆弾の雨が降って来て、辺りは一気に危険地帯になった。どこからも降ってくる爆弾にみんな逃げるしかなかった。みんなが混乱している中、今度はヴォルフガングが動き出した。


「"混乱合唱団(カオス・クラシック)"」


ヴォルフガングは琴を取り出し、その後弾き始めた。しかしいい音色ではなく、まるでこの世の終わりのような歪で君の悪い音色だった。その音色を聞いたみんなは思わず耳を塞いだ。


「こいつはあんまり聞かない方がいいぞ。頭がおかしくなるからな」


確かに彼の言うとおり、頭の中がおかしくなりそうだ。このままでは奴らの方が圧倒的有利だった。


「このまま上手くいけば、こいつらも売れるんじゃないの?」


「しょうがねぇ、お前らだけでも売り飛ばしてやるっ!!思いっきり高くなっ!!」


絶対絶命の状況だった。このままでは本当に売られてしまう。オリヴィアだけでも早く逃してやりたかった。するとオリヴィアの姿が見えなかった。どこに行ったのかは分からないけど、逃げたならよかった。そう思った時、どこからか石が投げて来た。


「痛っ!?何処から何だな〜!?」


「うん?あの女、石を投げやがって。無駄な抵抗を」


石を投げたのはオリヴィアだった。オリヴィアも石を投げて応戦していたのだ。


「早ク逃ゲルネ!ココハ私ガ引キツケルネ!!コレ一度言ッテミタカッタネ」


しかし、石ころ程度では傷すらつかなかった。必死の抵抗も虚しく、オリヴィアはヴォルフガングに捕まってしまった。


ヴォルフガング「何故こんな事をするんだ?貴様も危ないというのに」


オリヴィア「何故ッテ?私馬鹿ダカラ、理由ナンテ考エタ事モナイネ。私ハ自分ノシタイ事ヲシタダケネ!コノ人達ヲ守ルタメニ!!」


ヴォルフガング「そんなちっぽけなものをか?」


オリヴィア「チッポケダカラ、守ラナイトイケナイネッ!!アンタナンカニ絶対負ケナイネーッ!!」


すると海から茶色い光が出て来た。その光はヴォルフガングを攻撃し、オリヴィアの周りを包み込んだ。オリヴィアは何が起こったのか、ワクワクしていた。そして、光る物は茶色い宝石に変わり、オリヴィアの体内に入った。その直後、何やら体が痛く熱くなる感覚がし始めて、息苦しくもなった。次第に地面にひざまづいてしまったが、体が耐えるようになると今度は地面から黒い何かが出て来た。それは体に纏わりつき、服の形になった。そして金髪から茶髪、右目も茶色に変わった。服装は制服から黒いコートにレオタードの姿にかわった。それを見たみんなは驚いた。


一同「ええぇぇぇぇぇーっ!!!!!」


みんなが驚いてる間、海から何か大きな何かが出て来た。その姿は鮫みたいな黒い化け物だった。


オリヴィア以外一同「鮫えぇぇぇぇーっ!?」


オリヴィア「サメエェェェェェー!!!!」


鮫の形をしたものにみんなは驚き、オリヴィアは大喜びした。そして巨大鮫は口から渦巻き状の水を出して、放出した。その水はラファエロとヴォルフガングに命中した。


ラファエロ&ヴォルフガング「ギャアァァァァーッ!!!」


2人は吹っ飛ばされた。その後も巨大鮫は空中を優雅に泳いでいた。一体何なのか、その正体はやがて形を変えて見た事ある姿になった。


「どうだ!オメガロドンの威力はっ!!」


そう、ノワールが化けていたのだ。さっきの茶色い光もノワールから出て、同時にノワールの魔力も一緒にオリヴィアの体内に入ったのだ。そう、これでオリヴィアもノワールファミリーの一員になったのだ。


「私ノ名前、何テ言ウノ?」


「お前の名前は―ブルーノだ」


Bruno(ブルーノ)!?ナンカイイ名前ネッ!!」


オリヴィアもといブルーノはとても大喜びだった。もちろんみんなは最初戸惑ったが、ブルーノを歓迎した。


ブラン「オリヴィアちゃん!!良かったね!!」


アスール「全く、あなたもなっちゃうなんてね」


ヴィオレ「まあ、仲間が増えただけましでしょ」


アマリージョ「これからもよろしくね♪」


ヴェルデ「あはは・・・またなんかすごい人が入って来たね」


ジャラゴン「オラはジャラゴン!!よろしゅーな!!」


ケンちゃん「初めまして!!僕は賢者です!!みんなはケンちゃんと呼んでいますが」


みんなが歓迎してる中、冬美と冬音がやって来た。


「お兄ちゃん!!人質とお宝、集めたよ!!」


「・・・みんな解放した」


「ノワール?この娘達に何させたの?」


「実は2人にはまだ中にいる人質の解放、ついでにグレゴリーの隠し財産を盗・・・持ってくるよう言っただけだ」


「今、盗むって言おうとしなかった?」


「いいえ?」


「本当に?」


「・・・はい」


アスールは要人深いからな。妹達には誤魔化すよう言っておいたけど。すると奥から飛ばされた2人が戻って来た。


「よくもやってくれたんだなー!!」


「貴様ら、ぜってー許さねー!!」


カンカンになった2人だが、こちらには新しい仲間がいる。ブルーノの初陣だ。


「デハ行クネ!!私ニ続ケー!!」


ブルーノは真っ先に走っていった。それに続き、みんなもついて行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


『全く、また騒ぎを起こしてるらしいよ』


『お任せください!!私が出向きます』


『じゃあ、あとは頼んだよ!!』


同じ時間帯、別の場所で誰かが通信していた。全身白銀のスーツを着て、グライダーに乗って移動していた。背中にはグレゴリーのマークがついてた。そう、この人もグレゴリー関係者。それにさっきの相手はアートルム。人質を運ぶ港でボヤ騒ぎを起こしたようで、そこに駆けつけて行ってるようだ。ちなみに顔はヘルメットで隠れて見えなかった。その人が誰なのかは分からなかった。しかし、ノワールファミリー達といずれ出会う事になるとはこの時はまだ誰も知る由もなかった。

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