事件後の変化
「ねえねえ知ってる?十二神将の奴ら、かなり重症で帰ってきたそうよ。あのまま死んでくれたら私の研究材料になったのに」
グレゴリー本部、ポワソン・ト・レミーとドラゴ・ジャルダンはある地下らしき所にいた。十二神将が戻って来た時はみんなボロボロで、特にグレマーズと青紫は重症だった。
「ふん、奴らが弱かっただけだ。あんな人間に負けるなど」
「随分と冷たいじゃない。それよりあの男を改造するのが待ち遠しいわ」
ポワソンは手にメスを持って、カーテンのレースを開いた。中には手術台が中央にあり、辺りには器具と薬品の入った棚、天井には明かりとナイフやメス、チェーンソーなどの凶器がぶら下がっていた。ここはポワソンの研究室。捕まえた人間やモンスター、時にはカオスを改造実験を行なっている。今日もまた実験をするようだ。
「一体何をする気だ?」
「決まってるでしょ。あの少年を捕まえる。その後、色々いじって改造する。私の命令に動くようにね」
「流石、恐怖后の名は伊達じゃないな」
するとカーテンから誰かが入って来た。全身ローブで隠れていて、顔は見えなかった。ジャルダンは驚きつつ、ポワソンに事情を聞いた。
「何故人間がここにいる?」
「あら、これから改造実験をするのよ。彼、改造されたがってたみたいだから」
「しかしまさか人間がここに来るなど珍しいな」
「自ら改造志望してきたのよ。今度はこいつでやっていい?」
「好きにしろ」
そう言ってジャルダンは研究室を出て行った。残された二人はすぐさま実行した。ローブの男が手術台の上で寝て、ポワソンは手に持ってたメスを作業台に置いた。
「急に体を割くのも面白くないから、まずは色々と薬を打ち込もうかしら」
ポワソンは注射器を取って、中に薬品を入れた。そして男の腕にブスッとさした。男はうめき始めたが、ポワソンはお構いなしに薬品を投与し続けた。
「これからが醍醐味よ。こんな所で苦しんだら後が辛いわよ」
それからも地下の研究室では悲鳴が叫んでいた。
「まさか、こんな研究をしていたなんて」
丁度物陰から誰かいたのだ。全身ローブで隠れていて、性別はわからなかったが。その後、ローブの人は研究室を後にした。
「ノワールか・・・。頭の中には入れておこう」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、暗黒の魔城に戻ったノワール達。辺りを見てみるとそこにはカオスの姿はなかった。全部倒してくれたんだろう。そこへマザーとファザーが駆け寄って来た。
「ノワール、なんて姿なのっ!?」
「まさかっ、あの技を使ったのかっ!?」
二人はスライム状になった僕を見て大変驚いてた。城に戻った後はブラン達は僕を机に叩きつけて、尋問し始めた。みんなの顔が恐る恐る言い寄って来た。
「あんた、一体何でそんな風になっちゃったの?」
「まさか、あんたの正体がこれだったなんて・・・」
「いや、あのデカブツで消化されたんじゃない?」
「いやそれだったら死んでるでしょ」
「でも、あなたって一体何なの?」
事情を知らない女子達は僕に責め続けた。まあ、話してないから仕方ないけど。今更隠してもしょうがないから全て話そう。
「実は僕の正体はこの姿、スライムなんだ。気づいた時からずっと」
その言葉を聞いてみんな驚愕した。人間ではない事実、死なない体だという事実、みんな受け入れ難い事実だ。信じてもらえないことは充分承知だがブランは意外にも
「ならしょうがないわね。私達に隠し事はないからね」
とあっさり受け入れてくれた。天然なのか馬鹿なのかは知らないけど信じてくれたならいいや。それに続きアスールも
「どうしてそんな事実隠してたの?私達何年の付き合いだと思ってるの?私のことは何でも知ってるくせにあんたのことを私は全然知らないなんて卑怯じゃない?」
「ごもっともと仰る通りです」
「だからこれからもあんたについてあげる」
「えーと、ありがと」
と許してくれた。姉さんや妹もそれならしょうがないという理由でなんやかんやで許してくれた。みんないい奴らだな。何か心がスッとした。十黒のみんなも了承してくれたし万々歳だ。しばらく喜んでいるとツヴァイが
「ノワール様、一つ伺いたいことがあるのですがさっきの技は一体何ですか?私達が知らない技なのですが・・・」
と質問してきた。知らない技というのはさっきのカオスに使った技のことだ。あの技のおかげでカオスは倒せたが代償は大きく魔力がほぼ1に近いぐらいに減ってしまって体を形成する分の魔力が残っていないのだ。今はスライム状になるのが精一杯なのだ。
「いずれ君達にも教えておくが今はまだ話さない」
「いやケチかっ!?」
「ケチで結構」
まだ魔力がそんなにない女子達には危ない技なのである程度強くなったら教えるつもりだ。しばらくしてブラン達はオリヴィアを連れて帰っていって、十黒達も部屋を出た。残ったのはスライムノワールとジャラゴンだけになった。
「なぜあんな技を使った。あの技は危険だって知ってるだろ!?」
「早く終わらせたかったし久々に使ってみたかったから」
「だとしても、またあんな事故をするのはごめんだからね」
「わかったよ。肝に銘じる」
ジャラゴンは激しく怒っていた。あの技で何があったのか、それは二人にしか分からなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「「グラトニーパラサイトを倒しちゃった・・・」」
その頃、グレゴリー本部に戻って来た黄道13星座隊一同。みんなで戦いが映し出されたモニターを見ていた。その映像は衝撃的でみんな唖然としていた。特に酷かったのはスコルとネメアーだった。
「な、何なんだっ!?あの人間はっ!?」
「こんな奴がいたとは、此奴は何者だっ!?」
しかし、中には称賛する奴もいた。
「中々面白い人間であ〜るな。吾輩は嫌いではないであ〜る」
「こいつつ、ゴイゴイスーなな!!ももっと見たかったででぇー!!」
タラバとバランスはノワールの戦いを面白がっていた。しかし、それでもみんなは彼を警戒していることに変わりはない。上級カオスを倒す人間など存在しないからだ。このままではいつかグレゴリーを崩壊しかねないかもしれない。するとカストル姉妹は
「ねえねえ、もう襲っちゃおうよ?」
「襲っちゃおうよ?」
と促してきた。本来であればすぐ決断出来たが、相手は未知の敵。今まで以上に行く訳にはいかなかった。なのでノヴァが
「今はもう少し様子見をしよう」
と止めた。2人はがっかりしていたが、もっと怒っている奴はいた。
「ここで何もしないのかっ!?大事な戦力を失ったんだぞっ!!今こそ攻め込むべきではないのか!?」
そう反論したのはネメアーだった。それに続きタウラスも
「俺もあのカオスを倒したガキを倒してぇ!!腕と角が疼くんだっ!!」
と戦いたがっていた。他にもスコル、アタマースも同意見だった。みんなの言いたいことはごもっともだが、ここで仲間を失えばそれこそ一大事だ。とはいえ、何も手を打たないという訳でもなかった。何か策を考えないといけなかった。するとアイギバーンが
「相手は今まで見たことがない敵。なのでこちらが動けば確実にやられるのは間違いないでしょう。そこでだ、ここは"星軍騎士団を使うのはどうでしょうか?」
と提案してきた。星光騎士団、それは黄道13星座隊によって作られた騎士団。言わば部下みたいなものだ。基本的にこちら側の影武者として、暗躍している集団でもある。強さは彼らとは違うが、それでも桁違いの曲者揃いでもある。
ネメアー「なるほどっ!!それならわざわざこちらから動かなくてもすむなっ!!」
タラバ「お主にしては中々面白いのであ〜るな!!」
アーミャ「面倒くさいけど、こっちが動かなくていいからあり」
ポカリ「えっと、私も何か言った方がいいですか?」
みんな賛同のようだ。
ノヴァ「よしっ!!この作戦でいこう!!」
カストル姉妹「「わーい!!楽しみっ!!」」
ノヴァの一言で会場は歓喜で溢れていた。ノワールの強さを知る事が出来る、唯一の作戦だからだ。みんなが歓喜で溢れている中、1人だけソワソワしてる人がいた。
「どうした、ポカリ?何かソワソワしてるけど?」
「あ、いえ、ノヴァ様!!実はポワソン様がいないようで・・・」
「ポワソン?・・・あぁ、確かにここにいないな?」
2人はポワソンがいない事に気づいた。彼女が今、どこで何をしてるのか、みんな知る由もなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、オリヴィアと一緒に救出したユーフェミア。彼女は記憶から今回あったことを忘れさせ、ミニストのベンチに寝かせた。彼女は今も熟睡中であった。




