ノワールVSヴィーラ その2
「おーおーみんな行っちゃったね」
その頃、ノワールはあるトラックの中に隠れていた。みんな僕が向こうへ逃げたと思っているに違いない。残念だが僕はそう遠くには行っていない。倉庫のすぐそばにいるのに。しかしこれで敵を分裂させることは出来た。後は彼女達を回収し、迎えが来れば安心だ。みんながいなくなったのを見計らって、トラックから出た。そしてあの倉庫へ戻っていった。倉庫の扉はもう一つあって、さっき入った所と真反対に扉があった。そこに彼女達がいるに違いない。早速入ってみるとそこは牢屋みたいな所だった。入って進むも誰も入ってなかった。もう売られたのか、それとも・・・。何も考えないことにした。そして進んだ所で二人が入っている檻を発見した。ユーフェミアは眠っていて、オリヴィアは辺りを見ていた。
「・・・何してるの?」
「暇ダカラ、寝テタケドオナカスイタカラゴハンマッテルネ」
いやマイペースか!?こんな状況で良く言えたな!?てそんなことを考えてる暇はない。黒季は檻を壊してユーフェミアをおんぶした。
「ワタシモオンブシテネ」
「後でね」
そう言って、倉庫から出た。
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「ええい、探せっ!!草の中や木の中まんべんなく探せっ!!」
同時刻、ブロンガス一同は森の中をくまなく探していた。木を薙ぎ払い、草を刈り、地面を掘ったり、岩を壊したりと、ありとあらゆる所を探していた。しかし一向に彼は見つからなかった。一体どこへ行ったのか全員分からなかった。
「くそ、これだけ探して見つからないとは」
「これじゃ、ただの時間の無駄だ!!」
ブロンガス、琥珀が文句を言うとグレゴリーパトロールのキツネがゲラゲラと笑っていた。馬鹿にされた二人は今にも殴りかかりそうになった。しかし、一匹のキツネが他のキツネを制止した。
「お前ら、笑いすぎだ!!そのうち笑い死にするぞ」
彼の一言でみんな笑うのをやめた。おかげで二人も怒りを抑えた。すると青紫が奥からやって来た。
「やっぱり思ったんだけど、ここにはいないと思うよ」
彼女の衝撃発言に全員固まってしまった。
「そういうことだっ!?これだけやって逃げてないだと!!」
「一体どういうことだ、説明しろっ!!」
ブロンガスと琥珀が青紫に問い詰めると青紫は体を一回転して
「だってわざわざ僕達にわざと捕まった人がすぐ逃げると思う?きっと僕達を遠ざけるために一芝居を打ったんだよ。実際はすぐ近くにいたって訳」
と答えた。それを聞いた二人は怒りを爆発させた。
「おのれぇ~!!あのガキ、どこまでも我々を馬鹿にしやがって!!」
「あいつには楽に死なせてたまるか!!」
そして全員に戻るよう指示した。そして全員が戻ると、研究所が今度は火事になっていた。
「な、これは!!」
琥珀はただただ固まってしまった。
「やられた。あいつ、僕達の情報を全て盗んでいったに違いない。まだ遠くへは行ってないと思うからその辺を探して」
青紫の指示で隊員達は捜索を再び始めた。そしてブロンガスと琥珀も
「我を怒らせたことを後悔するがいい!!」
「久しぶりに腕が鳴る!!」
と気合を見せていた。そして二人もビュンッと姿を消した。一人残った青紫は火事現場を見て
「あれがアートルム様の言ってたノワール・・・か。僕は君を甘く見ていたよ」
とそう言って姿を消した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
黒季とオリヴィアが長い牢屋の部屋を走っていると、また大きな扉が見えた。今度こそ出口だろう。そして開けてみると、案の定外へ出られた。しかし、そこは爆発と火事で危険な場所でもあった。みんな消火活動を行っている。みんなが消火してる隙にこそこそと歩いて、開けた中庭へたどり着いた。
「ふ~、やっと着いた」
「ナンカ迷路ミタイナトコロ出タネ」
オリヴィアの言う通り、そこは草花で作られた迷路の作りをしていて、噴水とベンチもあった。ここでお茶でもするのか?二人はしばらく散策して、やがて中央部分なところへとやってきた。すると後ろから誰かがやって来た。しかしグレゴリーではなかった。
「待たせたわ、ノワール」
「ごめんね、ちょっと派手すぎたかしら」
アインスと白沢もといブラン達がやってきたのだ。僕の魔力を辿ってよくここまで来たな。
「ボス~!!会いたかったです~!!!」
フィアが急に抱き着いてきた。まあ、いつも通りってことだな。それに珍しく、ティーナまでもが来ていた。
「・・・ノワール様のピンチにはぁ~必ず駆けつける~」
どうやら寝起きだな。しかしみんながこう揃うのは久しぶりだな。またひと暴れが出来るかも。
「ノワール?黒季ジャナクテ?一体ドウイウコトネ?」
オリヴィアは混乱していた。訳の分からない展開で頭がパンクしそうなようだ。するとみんなオリヴィアと背中のユーフェミアに気付いた。
「一応確認するけど、何でオリヴィアがここにいるの?」
話しかけたのは宝華もといアスールだった。オリヴィアもアスールの方を見て「?私達、ドコカデ会ッタコトアルネ?」と答えた。アスールはやばいと思ったのか、一回咳払いをして
「えっと、私の名前はアスール。あなた方を助けに来た」
と言い出した。するとオリヴィアはアスールの体を上から下までじっと見て、何かを悟ったかのように
「コレハ!!ローアングル二ピッタリネ!!」
としゃがみながらアスールの体を目視していた。しかも太ももを触りながら。当然アスールは悲鳴を上げて、オリヴィアの手を振り払った。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!何してんのっ!?」
「日本人ハ足フェチノ人ガ多イッテ書イテアッタケド、ソノ理由今分カッタネ!!」
「余計なことをしなくていい!!ていうか何情報!?」
アスールは余計に怒ってしまった。そんなアスールをよそに他の娘にも同じようなことをしようとしたが、僕がスライムで拘束した。これ以上問題を起こさないでくれ。
「ていうか、お前達も来てたとはな」
「だって急にあなたがいなくなっちゃったんだから、すごい心配したのよ!!」
「あ~、原因は今負ぶってる人のせい」
そう言って、ユーフェミアを見せた。彼女は今も眠っていて、起きる気配が全く無かった。その隙に今までの経緯を話した。すると彼女達はすんなりと受け入れてくれた。
「ならしょうがないですね。ノワール様は被害者ってことですね」
「全く、主様を誘拐するなんて愚か過ぎますよ」
ツヴァイとドリィはやれやれと言わんばかりにため息をついた。すると彼女達の後ろから何かが飛んできた。もちろんすぐに分かった。
「お待たせ~!!このジャラゴン様、再び参上!!」
「何でそんなにテンションが高いんだ?」
「だって久々に出番が増えるかもって思うと、つい興奮しちゃって」
そう、ジャラゴンだった。あいかわらずテンションが高いな。しかしジャラゴンを呼び寄せたのはある理由があったからだ。それは・・・。
「ひ、久しぶり・・・です~。今度は何をするんですか?」
「ねえねえ、私もっと花火が見たいんですけど~」
「静かにしろ。何のために来たか分かるか?」
ジャラゴンの後ろから男女がぞろぞろとやって来た。中にはまだ紹介してない者もいた。まずは赤いツインテールをした少女、《フレイ・フリート》のレイヤ。名前と見た目の通り、火を使う能力者だ。これもオリジナルモンスターの一種だ。次に《マッドエンプレス》のパルン。ドレスを着て、紫の長髪と大きな傘を持っている女性型モンスターだ。実は悪魔型モンスターだ。次に《酒吞童子》の赤丸。立派な角が少し生えて、パルンと同じくらい長い髪を持っている。実はパルンとは姉弟だ。次に《リヴァイアゴン》のリア。長い青髪に尻尾が生えていて、大きなコートを羽織っている。ちなみにリュウ玄とは仲が良く、同期でもある。最後は秘書のツツジ。《セイントピクシー》と言うモンスターだ。ほかにもヤミナ、レモン、エリス、リュウ玄、ミズオ、コロロ、グルド、ユキナ、アークを連れて来た。一体何故こんなに連れて来たか、それは・・・。
「彼女達のフォローを頼んだ」
そう、ヴィーラと戦う気だったのだ。ここまでやって何もせずに帰るのはつまらない。せめて相手の実力を見てから帰ろうと考えていた。
「何で私達まで付き合わなきゃいけないの?あんた達でやればいいじゃん」
「甘ったるいことを言わない、アスール。いいか、これから敵はどんどん強くなる。いざと言う時のために戦ったほうが吉だ」
そう言うとツツジ、ツヴァイ、フェリカ、ジーナは泣きながら拍手をしていた。そんなにすごいこと言ったっけ?
「素晴らしい。感激です。このツツジ、もう涙が止まりません」
「何か変なモンスターばかり作ったわね、ノワール・・・」
「・・・なんかすいません」
ヴェルデに事実を言われ、ちょっとしおれた。しかし、これで役者は揃った。
「お前達、時は来た!!今こそ、我らの力を見せつけるぞ!!」
そう言うと、モンスター共は盛り上がった。人間側は渋々拍手をしていた。どうやらこれ以上戦いたくないらしい。そんなことをしている時、後ろからまた爆発が起こった。
「またか~!!・・・今度は暴れまくるよ、ヴィーラ!!」
後ろには十二神将共と戦闘員が来ていた。それにカオスも連れて来ていた。
「今度こそ始末してやるっ!!」
ブロンガスは怒っていた。どうやらさっきの爆発も彼らしい。
「行くぞっ!!」
ノワールの掛け声と共に、両者が一斉に攻めて来た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ガキンッ、ガキンッ、ドカーンッ、ドカーンッ!!!あちらこちらで金属音と爆発音、銃声までもが聞こえていた。戦闘員共を薙ぎ払い、カオス共を倒していった。するとカオスは姿を変え、今度は猿みたいな姿に変わっていった。すると素早く動いて、壁を上って上からジャンプしてみんなの頭の上に飛び交った。
「何よっ!?このカオス野郎っ!!」
レモンはカオスを触って投げた後、爆発した。ほかのみんなもカオスを薙ぎ払っていた。姿は変われど、カオスはカオスだった。
「なかなかやるね~!!今度は僕が相手になろう」
青紫は両手を蛇に変えて、ノワールファミリーに襲い掛かった。間違いなく毒蛇だと思う。牙から何か雫が下垂れてきてるから。あれに噛まれると間違いなく即死するだろう。するとグルドがその蛇を抑えた。蛇はじたばたと動き、押さえつけられてるせいか動けなくなっていた。
「これならもう動けまい」
グルドが余裕そうに言っても、青紫は顔色一つ変えなかった。むしろ彼女も余裕そうに見えた。
「誰がそれで全部なんて言った?」
するとグルドの足元から毒蛇が出てきて、グルドの足と腕を噛んだ。
「うっ、うぎゃあぁぁぁーっ!!」
噛まれた反動で横たわってしまい、二匹の蛇共が自由になってしまった。そして蛇はそのままみんなの方へ向かった。すると今度はどこからか氷の風が吹いて来て、蛇共が固まってしまった。
「今度こそ大丈夫なはず」
これはユキナの仕業だ。これはユキナが元々持っていた力だ。一応氷属性のドラゴンだからな。
「ありゃぁ~、これじゃあ僕の手がかじかんでしまう。ブルトシュバイン、この氷、何とかして溶かしてくれない?」
「ガン・・・ガン・・・オデ二マカセロ・・・ガンガン」
するとブルトシュバインの体から火炎放射器が出てきて、氷漬けになった蛇を溶かし始めた。そして次第に溶け始めて、蛇は彼女の元へ戻っていった。彼女の手は赤く腫れていた。
「あ~あ、僕の手はしばらく使えないね」
「でもあいつの仲間を一人仕留めたじゃないか」
「そうだね・・・ってアレ?何かへっちゃらみたいなんだけど?」
彼女達の目に飛び移って来たのは、さっき蛇に噛まれたグルドだった。彼は噛まれても何事もなかったかのように立っていた。
「俺に毒は通じないし、噛まれても何ともない。なぜなら俺はゾンビだからな」
そうグルドはゾンビのドラゴンなのだ。元々ゾンビなので毒は効かないらしい。
「こりゃまいったな。僕の戦略が次々と攻略されていくな」
「所詮貴様は特殊系能力しか持ってない。戦闘向きではないから、引っ込んでろ!!」
後ろからブロンガスが割り込んできた。片手には剣を持っていて、彼が剣を振るうと衝撃波が出てきて、みんな間一髪避けられたけどその衝撃波は後ろにあった建物を粉々に粉砕した。こいつは結構強いな。
「避けられたか。ならこれならどうだ!!」
すると彼のコートの袖から6連式のガトリング砲が出てきて、みんなに発砲し始めた。その弾一つ一つに威力があり、壁に大きな穴が開くぐらいだった。
「どうだ!!この”ブロンガトリング”の威力を!!」
「ちょっと、僕達に向けないでよね」
みんな色んな所へ逃げていくので、好き放題に打っていた。その時、ブロンガスの後ろから誰かが近づくのを感じた。
(不覚を取る作戦か!!だが残念だが、この俺様に不覚などないわ!!)
そしてガトリングを後ろに回して、発砲し始めた。弾は体を貫通して、体中穴だらけになった。普通の人なら死んでるが、彼は違っていた。発砲をやめ、後ろを振り向くと
「!?」
ブロンガスは言葉を失った。彼は体中を貫通して、ふらふらとなってるにも関わらず血を流してないし、途端に体がどんどん塵に変わって空中を漂った。そして塵は一つの所に集中的に集まって体を結成した。もちろんさっきの体を。
「驚かせてごめんなさい。こうでもしないと危なくて」
こう、律儀に挨拶したのはミズオだった。彼は能力”散乱術”の力を使っていた。これは事前にノワールからもらった能力だ。その名の通り、体を塵に変える能力で、着てる服や持っている物全てをミスト状に出来る力がある。自身が触れた物も可能だ。
「なっ!!このっ、このっ!!」
ブロンガスは驚くもすぐさま剣を振るい始めた。しかし、いくら彼が剣を振っても、能力の性質上攻撃が一切届かなかったのだ。この様子を見て、青紫はやれやれと言わんばかりに呆れていた。
「あんな偉そうに言ってたのに、自分もダメダメじゃん・・・」
そんなブロンガスに追い打ちをかけるようにまた後ろから誰かがやって来た。今度はリュウ玄だった。リュウ玄はブロンガス目掛けてキックをした。するとブロンガスはそれに気づかなかったのか、そのまま前へ押されていった。ミズオは塵になってたので問題は無かった。
「こ、この~!!この俺様をコケにしやがって!!許さんっ!!」
するとブロンガスは今度は地面に手を付け、魔法陣を出現させた。すると地面から棘が出てきて、二人に襲い掛かった。ブロンガスの能力、それは”大地の怒り”と言う、地面を操る能力だ。この能力で山を作ったり、消したりすることが出来る。
「あいつが能力を使うなんて何年ぶりだ!!面白くなってきた!!」
すると後ろで見てた琥珀が飛び出て、殴りかかろうとしてきた。そして声を荒げて、衝撃波を出した。その威力はクレーターが出来るほど強かった。すると彼女の横から誰かが襲い掛かって来た。レイヤだった。彼女は琥珀に襲い掛かるも、琥珀もレイヤに殴りかかろうとした。拳はレイヤの拳にぶつかって、そして離れて行った。その後休む暇なく、彼女に襲い掛かった。
「なかなかやるな。一体どうなってんだ、あんた?」
「・・・私はただ戦っているだけ」
レイヤはそう落ち着いた口調で話した。補足だがレイヤは寡黙キャラなのだ。なので決して怒らせてはいけない。こういう人が一番爆発しやすいからだ。
「面白れぇ!!今までで戦ってきた奴でお前みたいなタイプは初めてだ!!」
「・・・よく言われる」
するとレイヤの手から何か赤い物が出て来た。それを指と指の間に挟んで、後ろへ伸ばした。
「・・・怒りの葡萄」
すると両手を前へ伸ばして、赤い物を投げつけた。その形はまるで葡萄のように小さく丸っこかった。やがて琥珀の体に触れると大爆発を起こした。この技は爆発する葡萄を出して、投げつけることで爆破させる技だ。それを数十粒投げ、見事命中させた。しかし煙から琥珀が堂々と歩いていた。
「これは~流石に効くな」
「・・・死ななかった。・・・残念」
レイヤは少し残念がっていた。すると今度は赤丸が出てきて、琥珀の死角に入って蹴り落した。
「っしゃあぁぁ!!これでお前に貸しが出来たな!!」
「・・・まだ終わってない」
レイヤの言う通り、琥珀はまだ立てられる状態だった。傷はあるものの、致命的までとはいかなかった。
「お前の攻撃なんざお見通しなんだよ!!あの時、お前が来ることは分かっていたからな。腕はかすれたが、その前にかわしておいたんだよ」
「こいつ、俺様の攻撃が効かないとは!!こりゃぁ、やりがいがあるってもんだ!!」
「・・・とりあえずあいつとうじゃうじゃ出てくるカオスを倒そう」
琥珀と赤丸、レイヤの周りにうじゃうじゃとカオスが湧き出た。今にも襲い掛かってくる状態で、まさに四面楚歌だった。そしてカオスが襲い掛かろうとした時、何者かがカオスをスパッと斬りつけた。しかも目に負えないスピードでカオスを次々と斬っていた。その正体は・・・
「ごめんね。あっちもこっちもカオスだらけでもう嫌になっちゃうよ」
そう、ブランだった。それにフィア、ゼクス、ノインも一緒について来てた。
「がるるる・・・あいつ強い、気に食わない。絶対倒すです!!」
「同じネコ科で盛り上がっちゃうな」
「みんなぁ~、ここは穏便にいきましょ~」
突然の救援にレイヤと赤丸は感激した。
「別にいらねぇけど、あんがとな!!」
「・・・ありがとう」
すると琥珀が笑いながら
「ふはははははっ!!そうこなくっちゃつまらねぇな!!こっちも全力で相手してやっからよ!!」
と構えの姿勢をとった。
「よ~し、みんないくよぉー!!」
ブランの掛け声と共に一斉に襲い掛かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
場所は変わって、ここではリアとレモン、エリスがブルトシュバインと戦っている。ブルトシュバインのガトリング、ミサイル攻撃にみんなかわしていた。
「ちょっと、こいつバンバンと鬱陶しいぐらい撃ってくるんだけど!!ねえ、同じ能力同士で何とかしてよ!!」
「アタシも避けるのに精一杯なんですけど~。それに同じじゃないし」
二人はお互いに文句を言いつつも攻撃して、相手の攻撃をかわしていた。エリスは物陰に隠れて何かをしていた。
「ガン・・・ガン・・・オデツヨイ、ダレモカテナイ・・・ガンガン」
ブルトシュバインはどうやら余裕そうだった。尽きることにない攻撃に自信を持っているのだ。このまま決着しようとした時、後ろから誰かがグルグルと体を巻いて来た。それは植物のつるで体が動けなくなっていた。それと同時に銃も撃たれた。この出来事に3人は唖然としていた。
「お待たせ。てか何なのこいつ?人間というか・・・ロボットみたい」
やって来たのはヴィオレとヴェルデ、ドリィ、フェリカ、ティーナだった。5人もカオスと戦って、ここまで来たのだった。
「何とか押さえつけられましたが、結構な魔力を持っています」
「主様までとはいきませんが、手ごわそうな相手ですわ」
「・・・結構難しい。・・・でも解体したい」
5人の登場にみんな気持ちが落ち着いた。するとブルトシュバインの体が震えていることに気付いた。しかも何だか爆発しそうな雰囲気だった。
「ガン・・・ガン・・・オデ、オデ、ロボットジャネエ・・・ガンガン!!」
そして体に巻いてあったつるをちぎって、ガトリングを発砲し始めた。
「何で何で何で~!?」
突然の出来事にヴィオレやレモン、みんな困惑した。一体何が奴を怒らせたのか、原因が分からなかった。
「ガン・・・ガン・・・ロボットッテイワレタ。クツジョク、クツジョク・・・ガンガン」
どうやらロボットって言葉が引き金になったらしい。恐らく見た目のことを言われるのがすごく嫌なんだろう。そのせいかさっきより荒っぽく攻撃してきた。
「ちょっとっ!!これじゃあアイツに近づけない!!」
「このミサイル、追尾式だから走っても追いかけてくるわ!!」
「まさに万事休すってやつだね」
「何呑気なこと言ってんの!?」
「・・・・!!」
みんなブルトシュバインの攻撃から逃げるのに精一杯だった。するとエリスがみんなと違う方向へ走っていった。それと同時にミサイルも数発誘導されていった。その後、エリスはブルトシュバインの所へと走っていった。
「ガン・・・ガン・・・ワザワザコロサレニゴクロウ・・・ガンガン」
とガトリングを発砲した。それを見た彼女達は危ないと思い、エリスとブルトシュバインの方へ走っていった。残りのミサイルも自動的についていって、最早混沌状態だった。みんながエリスを庇って地面に倒れたその時、ミサイルが全部ブルトシュバインに命中した。ミサイル攻撃をもろに喰らったブルトシュバインはそのまま倒れ込んでしまった。
「ガン・・・ガン・・・ヤラレタァ・・・ガンガン」
「あ、自滅した」
「したね」
「もしかして、これのためにわざとあいつの所へ行ったの?」
リアがそう聞くと、エリスは黙って頷いた。するとリアはエリスに
「ありがとう!!すごいじゃない!!」
と感謝しながら抱きついた。他のみんなもエリスに抱きつき、褒めまくった。エリスはまんざらでもなかったかのように、ちょっと笑った。するとブルトシュバインが再び立ち上がって
「ガン・・・ガン・・・ツギハマケナイ・・・ガンガン」
とミサイルとガトリングを再び発砲し始めた。
「全く、これだからロボットは嫌いなのよ」
「次はスクラップにしてやるし!!」
「今度は動きを封じさせるわ!!」
「私の剣、効くかな?」
「私も出来る限りのことは致します」
「息切れしないようにね」
「・・・研究材料、傷つけないようにお願い」
こうして、ノワールファミリーとヴィーラの戦いが色んな所で開幕したのだった。




