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ノワールVSブラッド 再戦

 「・・・うぅ、てここは・・・!」


マールスが目を覚ますとそこはグレゴリーの医療室にいた。しかもベッドで寝ていて、隣にはルーナも寝ていた。実の所、あの戦いの後から記憶がすっかりなくなっていた。一体何が起こったのか、自分でも分からない。しかし今分かってるのは、助かったという事実だ。しかし誰が?すると扉がガラガラと開き、中から顔なじみのある人達が入って来た。


「よ~、みんな元気そうやね。ほな、見舞いに来たで」


「よかったぁ~、みんなもう起きないのかと思ったけど、目が覚めてよかった!!」


カメルとユピーテだ。二人はこうしてお見舞いに来ては、目が覚めるのをずっと待っていた。ほかのみんなも来てはいたが、顔を見ただけですぐに出て行った。もっと心配してもいいのに。


「な、何故私達は助かったのだ?一体どうなっているのか分からなくてな」


マールスが不思議そうに二人に聞くと、カメルが答えてくれた。


「実はなぁ、わいもよう分からへんねん。急にドサッて置いてあったからこりゃいかんと思ってすぐさまここへ連れて来たんだ」


つまり誰かに助けられたということだな。ユピーテも怪我を負っていたからすぐ逃げることは不可能だ。となると、誰かが私達を助けたということになるな。しかしそれでも解決は出来ない。マールスは頭を悩ませた。


「ん、そう言えばブラッドの姿が見えないな。どこに行ったの?」


「あ~、ブラッドはんはどっかに出かけてもうた。行き先も教えてくれんかったし、きっと別の世界に行ってもうたんか、それとも用事があったんか・・・」


カメルもよく分からないらしい。しかしその話を聞く限り、任務ではないようだな。まさかあのブラッドが勝手に出ていくなんてことは今まであり得なかったからな。しかしとにかく今は休めるとしよう。


「はい、あ~ん。リンゴを切ったからどうぞ」


ユピーテがりんごを切ってくれたみたいで、それに甘えてマールスはリンゴを食べた。


「ブラッド・・・あなた今どこに?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


時同じく、ノワールとブラッドが見つめ合っていた。ブラッドはこっちの方を見て、


「貴様とやるのは久しぶりだな。最初に言っておくが、今までの俺とは一味違うぞ」


「他人の血を吸っておいて、どんだけ慎重派なんだ、いや臆病といった方がいいかな?」


と言い返した。するとブラッドは血相を変えて睨んでいた。


「何故臆病だと言える?」


「わざわざ僕に会いに来たのに、彼女達は無関係なはずだ。それを血を吸ってまで、やっぱりあの時と変わってないな」


「それは貴様も同じはずだ。そっちも我々の邪魔をするからこうしたまでだ」


「そっちが余計なことをしなければいいだけの話だろ?」


二人の緊迫した空気が辺りを包み込んだ。お互い目力が強くなっていき、いかにも殺し屋の目をしていた。どっちかが殺され、どっちかが生き残るか?それとも全滅か?二つに一つだった。


「やはり貴様と話が合わないようだ。悪いが消えてもらおう」


「また怯えちゃうんじゃないの?」


「以前の俺とは一味違うと言ったはずだ」


ブラッドの目はガチだ。これは相手にしてあげないとな。問題はそっちがどう動くか?しかしブラッドは何かするどころか、ただ両手をポケットに入れたまま立っていた。特に何か攻撃を仕掛けて来た訳でもなく。


(これが前と違うってこと?)


そんなことを考えていると、地面から何かが出てきて僕の腕を嚙みちぎった。さっきの一撃で右腕を全部失った。しかし一体どうやって?


「教えてやろう。これがその力だ」


するとブラッドの周りに赤い何かがふよふよと浮いていて、回っていた。それは龍の形をしていて、口には僕の腕を噛んでいた。これって八岐大血の龍だよね?これってまさか!?


「そう、お前の推察通り、これは八岐大血の内の一体だ。俺はその龍を自在に操ることが出来るのだ」


こいつ、いつの間に強くなっていたとは!!さすが、吸血王(ヴァンパイアロード)。血を使ってこんな芸当をするとは。少々、油断しすぎたかな。


「なんだ、見かけ倒しじゃないんだね。恐れ入ったよ」


「恐ろしいか?ならいくらでも貴様に恐怖を与えてやる!!」


ブラッドは上機嫌になっていた。するとまた体から八岐大血の龍が現れた。今度は二匹。


「喰らえっ、そして食い尽くせっ!!大血(オロチ)・アギト」


その大血(オロチ)と言った龍は口を大きく開いて、いかにも自分を丸呑みしそうになった。しかし、バァァーン!!二匹の大血は消えていった。これはどういうことか?ブラッドは困惑するも、その正体を見抜いた。


「貴様っ、大血の魂を抜いたな!?」


「その通り、どんな物にも呼吸して生きてる限り命はある。だからちょっと魂を抜いただけだ」


ノワールは大血の魂を抜いたのだ。なので魂を無くした大血はただの血に戻ってしまった。


「血の出しすぎに気をつけな。お前は血が無いと危ないんだから」


「ご心配ありがとう。ならまだある内に貴様を倒す!!」


今度はやっと動いてくれた。紅血之剣(ダインスレイブ)を取り出して、斬りかかろうとした。しかし間一髪回避出来たが、奴は何故か余裕の笑みを見せた。まさかっ!?


大血(オロチ)・剣の太刀」


すると刃の方が大血に変わってこっちを追いかけて来た。まさか、こんな技も用意したとは、結構面白い。これなら退屈せずにいられそうだ。大血はずっと追いかけてきて、狭い所でも血である限り、通り抜けられるのだ。


「しつこいな。魂抜いちゃえ」


僕をずっと追いかけて来てるので、仕方なく魂を抜いた。するとまた、ただの血に戻っていった。これで面倒くさいものは消えた。あとはあいつを倒すだけだった。しかしそれでもブラッドは余裕の笑みであった。すると今度はポケットから何かを取り出した。


「今度はこういう攻撃はどうだ?」


取り出したのはデッキケースだった。何だ?トランプかウノで決着でもつけるのか?その後、ブラッドはデッキをシャッフルして上から2枚引いた。そしてそのカードを投げた。


「見せてやろう、これが新しい力だ!」


すると投げたカードが突然光り出して、カードから怪人が出て来た。


「な、何だ、これ!?」


突然の出来事に衝撃を受けた。だってカードから怪人が出てくるなんてっ!?ここアニメでもないのに何でもありだな!?出て来たのは体色は黒と赤で、全身にねじれた紐のような装飾が施された怪人・ダインドール、二足で立ってる黒い牛で、鎧や槍を持っている怪人・ロードバイソン。どれもさっき出て来た怪人とは比べものにならない力を放っていた。


「教えてやろう。これはとあるお方から授かったカードだ。このカードには怪人の絵が描いてあり、自身の魔力と引き換えに召喚が出来るのだ!!もちろん、強さもそのままでやられてもカードに戻る、まさに最高の武器だ!!」


ブラッドが自慢げに話していた。なるほど、そのカードの力で怪人を呼んでいたって訳か。ドゥルジュもそれで呼んだのかな?しかし、それはすごく面白いものだな!!益々ほしくなってきた。しかし怪人はいらないかな。


「どうした?まだ戦いは始まったばかりだぞ。ゆけっお前ら!!」


ブラッドが指揮を上げると怪人共が僕目掛けて襲ってきた。3対1とは随分ハンデが効いてるな。しかしこれでいい。


「これなら退屈せずにいられそうだ」


「その言葉、いつまで続くかな」


その後、ブラッドも参戦して辺りは混沌状態になっていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


その頃、とある会議室にて。そこには12人、丸い机を囲うように椅子に座っていた。その中心にはノワールとブラッドが戦っているシーンが映し出された。みんなこれを見てどよめき始めた。


「これは・・・!主が作られたカードっ!?何故あの下級程度の奴が持っているのだっ!?」


「何に、あのカードは雑魚しか入ってないデッキだ。強い奴は別の奴が持っているる。まあこれはこれで見ものだなな♪」


「我はカードより、あの少年が気になるのであ~る」


会議室はノワールの話題で持ち切りになっていた。人型もいれば、図体がデカい奴もいる。彼らは黄道13星座隊(ゾディアーク)。グレゴリーで十二神将(ヴィーラ)と同じアートルムによって設立された組織だ。十二神将(ヴィーラ)よりも厄介で野蛮な奴らが多く、みんな相当の実力を持っている。国、世界を滅ぼしかねる力があるため、滅多に招集はされない。そんな彼らが再び招集されたのだ。


「一体何事・・・」


「私は暇を持て余したので大丈夫」


「私はまだ仕事中なんだけど」


しかしみんなが来るかって言われるとそうでもない。みんな予定があったりで来れない奴らも多い。しかし今回は久しぶりにみんなが揃っている。これには何か裏があるようだ。


「うおぉぉぉっ!!!燃えて来たぁぁー!!早くアイツと戦わせてくれ!!」


「そんなことを言っちゃダメ。もっと慎重に行くべきよ」


「しかし、私の占いではあまりいい結果が来ていない。何かが起こる前に手を打たなくては」


すると上からアートルムがやって来た。それに対してみんな椅子から立って頭を下げた。


「お待ちしておりました、アートルム様。今回は12人揃っています」


「急な招集で悪いね。おや、珍しいね。ほとんど揃うのは久しぶりだね」


「俺様は何度も来てやってるが」


アートルムは中心に止まり、モニターを消した。そして別のモニターが現れた。そこには地球のほかに色んな惑星が映っていた。その中で赤くバツが描かれた惑星があった。


「この世界はもう僕達の配下になった。残り少ない惑星も頑張ってくれ。それとまだ地球には手を出すな」


「そそんな勿体ぶってないでとっとと攻めようぜぜ~~っ♪」


「同じことを言わせるな」


ある奴の一言でアートルムは睨みつけた。しかし笑顔であっても圧があるためそれ以上喋れなかった。


「ん?あれ、一人来てないけど?」


アートルムは何かに気付いた。ほかに一人、来てないからだ。黄道13星座隊って書いてあるから13人いるはずだ。しかし今日はその一人が来てなかった。


「あ~、あいつならいつもの所ですよ。またあそこで厄介になってます」


「あららら~、折角みんな集まって来てくれたのに残念」


「むしろあそこがあいつの居場所なんですよ」


「良くはありません。主の命令に背くなど愚の骨頂です」


急な余談で会場は少し和んだ。いつもこんな感じで話し合っている。


「ねえねえ、それよりさっきの男、どうするの?」


「やらないなら私達がやっちゃっていい?」


すると同じ顔の二人が話しかけて来た。顔もそっくりで容姿もそっくりな双子だ。それに対しアートルムは


「まだだめだ。もうちょっと観察をしようと思う」


と答えた。すると二人は


「え~~、戦いたかった」


「ちぇ、お預けかよ」


と残念がっていた。


「今は手を出さないほうがいい。ごめんね」


とアートルムは労いの言葉を掛けた。すると一人の男性が立ち上がって


「しかし、いつまでも観察するんじゃねえだろ?いつまで見張っとくんだ?」


と言い出した。するとアートルムは


「それは後日決める。それまで彼がどんな力を持っているのか確かめたいんだ」


と答えた。男はその後黙って椅子に座った。


「ほかに質問はあるかい?」


とアートルムが聞くも誰も質問しなかった。


「では今日はこれで終わり。引き続き作業にあたってくれ。くれぐれも彼には注意してね」


そう言うとスッと消えてしまった。しかし残された12人は帰ることなくその場に残った。


「今のどうだった?」


「あのお方が言うセリフじゃない」


「何を警戒されておられるのだ、あの方は?」


みんな今日の会議についての話し合いを始めた。そういえばまだ名前を名乗ってなかったな。


蠍座大臣(スコルピウス)のスコル・ボナパルト”。別名「毒将軍」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の執政官。長い紫色の髪をおさげに切れ目の眼鏡をかけ、ネクタイをしめている。

天秤座大臣(リブラ)のバランス・バローン”。別名「ギガンデス」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の守備を任されてる。見た目はロボットのような姿をしていて、手や足は秤をひっくり返したような形をしている。また体の中心には針メーターが付いてある。

蟹座大臣(キャンサー)のブジン・ザ・タラバ”。別名「蟹軍曹」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の軍隊長。彼は緑色の武士の鎧と兜を付けている。手には大きなハサミがついており、背中に旗と刀を背負っている。

山羊座大臣(カプリコーン)のアイギバーン”。別名「黒魔導王」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の策略家。杖を持った老人の姿をしているが、本来の姿は想像を絶するものらしい。魔法技ならこのメンバーで一番多い。

乙女座大臣(ヴァルゴ)のアーミャ・デメル”。別名「慈愛のデメル」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の錬金術師。ピンクのポニーテールでビキニ姿をしている。めんどくさがり屋。

牡牛座大臣(タウラス)のグレイト・エリュトロン”。別名「牛魔王」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の戦士。二足歩行の牛で赤い鎧を着て、金色の角が生えている。常に戦闘狂で脳筋系だ。

水瓶座大臣(アクエリアス)のポカリ・ヴェネッツィ。別名「水乙女」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の回復役。丸眼鏡をかけた水色おさげ髪の隠れ巨乳女性。性格はおどおどしている。

魚座大臣(ピスケス)のポワソン・ト・レミー。”別名「恐怖后」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の医者兼科学者。青色の髪を束ねていて、ゴーグルみたいなものをつけている。性格は残忍でマッドサイエンティスト。ちなみにポカリは彼女の助手だ。

牡羊座大臣(アリエス)のアタマース・ダダネルス”。別名「運命の支配者」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の占い師。13人の中でも上位にいるほど強く、また彼女の占いは必ず当たるらしい。冷静沈着な性格の持ち主。

双子座大臣(ジェミニ)のジェミー・カストルとミーニ・カストル。別名「ジキル・ハイド」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の参謀。ツインテール髪で目に眼帯が付けてる。ちなみにジェミーは髪が右半分黄色に染まっていて、左目に眼帯がある。ミー二はその反対。性格は二人揃って残忍である。

獅子座大臣(レオ)のネメアー・ビースト。別名「銀獅子」。黄道13星座隊(ゾディアーク)の副リーダー。中年男性の姿をしてるが、戦闘時には巨大な白ライオンへと姿を変える。いつも厳しいそうで彼を怒らせてはいけないらしい。ちなみにこの中で2番目に強い。

射手座大臣(サジタリウス)のノヴァ・アルティメート。別名「審判する者」。黄道13星座隊(ゾディアーク)のリーダーで仲間思いの持ち主である。普段は青年の姿で活動してるが、戦闘時には四つの足と体の上半分がくっついたドラゴンみたいな姿になる。黄道13星座隊(ゾディアーク)の中では一番強い。


以上が黄道13星座隊(ゾディアーク)のメンバーだ。ほかにも一人おるがその紹介はまた後にしよう。会議室は色々と言葉が飛んできている。みんな言いたい放題言って、その後でまた揉める。


グレイト「絶対に戦うべきだ!!」


アートルム「相手の情報がないのにどうやって戦うと?」


話し合いはヒートアップしていって、いつの間にか二つの勢力に分かれてしまった。それをポカリが止めようとするも喧嘩は収まらなかった。むしろ火に油を注いでしまう。このままではらちが明かない。するとノヴァがみんなを静止させた。何か言いたいことがあるようだ。


ノヴァ「え~と、こういう時こそ、みんなで協力しましょうよ。相手は未知の敵。能力を分析して今後の時のために調べましょうよ。その時にどうするか考えればいいのではないですか?」


この言葉を聞いてみんな固まってしまった。なんかまずいことを言ったかな?実はノヴァ、黄道13星座隊(ゾディアーク)のリーダーをしてるがプレッシャーに弱く、人前で話すのが苦手であった。そもそも彼自身、コミュ障だし。これでよくリーダーに務まったなと時々思うらしい。絶対反発するに違いない、そう思っていると


「そうですよ。いきなり攻めてもやられるだけです。ここはリーダーの言う通り、敵の情報を調べるべきです!!」


とポカリがフォローしてくれた。それに続き、みんな賛同してくれた。良かったぁ~!!みんな聞いてくれて。リーダーってだけでこんなに効果が出るなんて。ノヴァは思い切って


「よし、各自それぞれ調べるように!!それでは解散!!」


と言い残して、消えていった。それに続き、みんなも姿を消した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


その頃、ノワールとブラッドは今も戦い続けていた。相手の出した怪人相手もしながら、なんとか耐えていた。


「もう諦めたほうが身のためですよ!!」


ブラッドが降伏するよう促してくるも、僕は受け入れなかった。


「だが断るっ!!」


「なら死ねっ!!」


死ねって言われても死なないんだけどね。しかし彼らの猛攻撃を防ぎきれる余裕が無いのも事実だ。何しろ、後ろには貧血で倒れた彼女達がいるから。この状況を経験したノワールでも戦いづらかった。せめて怪人共は倒せたらと思い、怪人をメインにして倒そうとした。


「どうした、お前らしくないな」


「うるさい、お前のせいでこっちは大変なんだから」


怪人の攻撃を避け、すかさず剣で攻撃もする。そして隙が出来た時、剣を大きく振りかざして怪人達を後ろに飛ばした。その後、後ろに回って再び斬りつけると、怪人共は爆散して消えていった。


「これであと一人」


「驚いたな、あの怪人を2体同時に倒すなんて」


「僕は敵対するものは必ず殺す。それが例え何人であっても!」


「ほほう、では今度は私が全力を出して差し上げよう!」


そう言って紅血之剣(ダインスレイブ)を作り出して、再び襲い掛かった。剣と剣がぶつかり合い、火花がちょっと出るぐらい互いに圧を押してきた。やがて攻撃をかわして襲い掛かるも、血で作った龍を呼び寄せるためまともに近づけなかった。


「そっちがその気なら、僕も同じことをしよう」


「何っ!?」


すると背中から黒いスライムが出てきて、血の龍を食べて飲み込んだ。やはり血の味だったが、久々に感じた味だった。


(昔はよく血を食べてたな)


最近、幼少期の記憶が徐々にだが戻りつつあった。昔はよく人やモンスターを殺しては食べ、殺しては食べて生きてきたからな。しかし最近は豚肉や白米、野菜などを食べているから全然血を摂取していなかった。余談は置いといて、僕はその食べた血の龍を分析した。


「なるほど・・・こういうことか」


すると今度は僕の手からスライム状の龍が生まれた。これはブラッドの能力を真似てみたものだ。


「な、ばかなっ!?私の能力が使えるだとっ!?」


当然、ブラッドは驚いてた。まあ、自分と同じ能力が使えるって珍しいか。でもこれで少しは楽しめそうだ。


「さてと、今度はこっちの番だな。今度は僕が全力を出して戦おう」


「な、さっきのは全力じゃなかったというのか!?」


「そうだ。さっきはお前の力を測っていたんだ。前よりは成長してるね。でもまだまだだね」


「お前、ふざけているのかっ!?」


「いいえ、至って健全です」


「いい加減にしろっ!!」


ブラッドは激しく憤慨して体中から血を出血させた。もしや、あれか!?


「今度は強くなったこの技を見てみるがいい!!”八岐大血(ヤマタノオロチ)彼岸花(ヒガンバナ)”」


今度は八岐大血(ヤマタノオロチ)を出した後、各首回りから小型の龍が出てきた、それも数十匹も。それに昔見た時よりもさらに大きくなっている。お前が貧血にならない?しかしブラッドはお構いなしに


「これであの女もろ共消えていくがいい!!」


八岐大血(ヤマタノオロチ)を放った。これを喰らえば、広範囲で跡形もなく消えてしまうだろう。しかしノワールは動こうとはしなかった。この光景をブラッドは昔に見たことがあった。あの時も何故か彼は動こうとはしなかった。むしろ彼女達を安全な場所へ移動させている。これではあの戦いの延長戦だ。しかしブラッドの攻撃は止められなかった。


「もう一度死んでみるか・・・」


やがてノワールは八岐大血(ヤマタノオロチ)の攻撃をもろに喰らってしまった。その衝撃と共に彼女達も目を覚ました。


「う~、一体どうなってるの・・・?」


最初に神無月が確認しようとすると、そこには大きなクレーターの跡があって大地の一部をくり抜いていた。そこにいるのはブラッドだけだった。それとノワールの絶望と滅亡の剣(アポカリプス)が地面に刺さっていただけだ。


「・・・なっ!?」


神無月はこの光景に絶句してしまった。それに続き、みんなも体を震えながら立ってみるとみんな絶句してしまった。


「一体どういうことだっ!?」


「ねえ、彼はどこに行ったの?」


突然の出来事のせいか、それとも血を吸われすぎて意識がもうろうとしてるせいなのか、ただただ固まって動けなかった。するとブラッドが彼女達に気付き、彼女達の方へと歩いて行った。


「見ろ、これがノワールの最後だっ!!よくこの目に焼き付けろっ!!」


ブラッドが高々に宣言した時、空から何かが落ちてくる気配がした。それは黒い何かでちょうどクレーターの中心ぐらいに落ちてくるようだ。


「まさかっ!!」


ブラッドはいち早く気づいたが、彼女達は呆然としていた。そして隕石が落下してきたかのように、ドォォォォンッと大きな音を立てた。その拍子に地面も少し揺れた。落ちた所は砂煙が出ていて、何がいるのか分からない状態だった。ブラッドは恐る恐る近づくと、何者かに足を掴まれたのだ。


「う~ん、ちょうどいい所に支えるものがあった・・・。ちょっと借りるよ」


「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁっーー!!」


ブラッドは驚愕した。何しろあの時と同じ光景を目にしてしまったのだから。彼女達も目を開いて見ようとすると、そこには死んだはずのノワールが立っていたのだ。


「嘘っ・・・なんでっ!?」


「一体・・・どういう原理!?」


彼女達も驚愕していた。確かにノワールはどこにもいなかったが、急に空から降ってきた。その事実に頭が混乱した。


「やっぱり死んでも死んでも生き返る。一体どういう能力なんだ?」


「貴様、また生き返りやがって!?なぜお前は死なないっ!?」


ブラッドの質問にこう答えた。


「知らない。ただスライムでもチートスキルを持てば厄介だろ?」


その言葉にブラッドは腰を抜かした。相当ショックだったんだね。強くなったのにまた負けちゃったんだから。するとブラッドはまた口を開いて


「貴様、一体何者なんだっ!?何故我々の邪魔をする!?」


と言い出した。


「通りすがりのスライムだ、覚えておけ。それにお前達が世界を支配するのが気に食わないからだ。世界を支配するのは僕だ」


そう答えた。するとブラッドは何かに怯えたかのように「覚えてろ」と言い残して黒い緞帳(ブラックカーテン)を出して消えていった。あいつ、何しに来たん?分からないまま帰ろうとすると、ブラッドが逃げた所に一枚のカードが落ちてあった。恐らく戦っている拍子に落としたんだろう。そのカードは何も描かれてないブランクのカードだった。そのカードを拾ってポケットの中へと入れた。


「あ、そういえばあっちの世界にまだ妹達がいるから寄らないといけないのか・・・」


ノワールとブラッド、結果はまたノワールの勝ちで収まった。

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