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怪人を倒したら、懐かしの珍客が来た

 「みんな、行くぞ~!!!」


葉月の掛け声と共にみんなが攻めて行った。それと同時にカオス達も攻め入った。数百体のカオスとたった数人の人間、数で言うとこっちが不利そうに見えるがこっちは能力を持ち、さらに戦い慣れているから数百体も楽々となぎ倒した。やがてカオスがいなくなると今度は4体の怪人が動き出した。


「なかなかやるな。だが私は一筋縄ではいかないぞっ!!!」


ムースシュバルツは剣を振り回し、葉月と鍔迫り合いになった。両者一歩も引いてない。どうやらあの時よりも強さが違うし、修行したんだな。


「私を舐めては困るな。以前とどれだけ強くなったか腕試しをしよう」


葉月は相手の剣を弾き返し、体を斬りつけて行った。怪人だから血は出ていないが、それでも大きなダメージは与えられている。その証拠に鹿怪人の足元がおぼついてきた。


「ぐ、結構鍛えられてますね。しかし私も負ける訳にはいきませんっ!!」


そう言うと角が突然光り出し、黒い電撃を放っていた。やがて電撃は球体に形を変え、発射準備にかかっていた。そう、奴はあの球体を放つ気だ。しかも魔力量が多いから、相当強いな。


「この技を喰らって生き延びた者はいませんよ」


そう言い放つと電気の球体を葉月に目掛けて放って来た。しかし葉月は避ける様子もなく、刀を構えていた。恐らく、あの攻撃を切る気だな。すると後ろから影が出てきて、電気の球体をもろに喰らった。


「!!!!」


驚く葉月。ムースシュバルツは嘲笑っていた。しかし僕には分かる。こんな無茶なことをするのは・・・。


「いやー、結構痺れたけど私の電気程度じゃないね」


そう夏奈もといアマリージョだ。彼女は電気属性だから電気攻撃が効かないのだ。


「な、馬鹿な!?」


驚くのも無理はない。そもそも夏奈姉自体はタフだから。葉月も若干驚いてた。


「何だ、貴様は・・・?」


「うん?そういえば紹介してなかったね。私はアマリージョ。ちょっとビリッとしちゃう女だゾっ!!!」


「あまりーじょ?」


葉月は首を傾げた。そういえば、初めて会った時はまだ姉さん仲間になってなかったからな。まあ今後ともよろしく頼むよ。


「呑気に会話とは余裕があるようですね」


痺れを切らしたのか、ムースシュバルツは再び襲い掛かって来た。すると今度は横から白く光る何かがムースシュバルツ目掛けて接近してきた。やがてぶつかって、ムースシュバルツは倒れてしまった。もちろんこの正体は白沢もといブランだ。


「お待たせ。ごめんね、あの虫ちゃんと蟹ちゃんを同時に相手してたら全然そっちに余裕がなくて」


いや頑張りすぎだろっ!?あの二体も相手してたのかよ!?すると後ろからキュレックストーロ、アーマードキャンサーが飛んできた。めっちゃ余裕そうやん。


「こ、こいつら強すぎて話になりません!!」


「何か聞いてた話と違うけど~!!」


怪人達は焦り出してパニックになった。するとブランはまた光り出して光線のように動き出した。


「”瞬間閃光(アクセルスターダスト)”」


この技は十秒間だけネットの電波のように速く動ける技だ。ラピッドスターと比べても速度が倍違う。その技を使って怪人達を斬りつけて行った。やがて怪人達は怯み始めた。その隙にみんなが攻撃を仕掛けるが、上から大きな手が落ちて来た。パーの手をしていて、下にいたら踏みつぶされる程の大きさはあった。みんな間一髪で避けられたが、今度は体が上に浮いていてそのまま落としてきた。みんな必死でかわし、やっとの思いで逃げ切った。


「いや何でもありかよっ!?」


「全く・・・こんな手を使うなんて」


「そうでもないみたい。みんな下敷きになってる」


確かに見てみると怪人共が地面に埋もれていた。これは絵になるな。やがて地面から出てきて


「こらあぁぁ~!!俺たちを攻撃してどうするんだ!!」


と怒鳴っていた。その様子を一部の女子達が笑っていた。そんなにおもろいか?


「おのれ~、よくもコケにしやがって!!こうなったらこれならどうだ!!」


するとアーマードキャンサーは体を大きくさせた。やがて形を変えていって、もう二足歩行の姿ではなく普通の蟹みたいになっていった。足は6本で甲羅もついていた。ハサミもさっきの物とは比べものにならないほど大きくなっていた。


「流石に~これは危ないんじゃない?」


カレントは怯えていた。どうやらこんなモンスターと遭遇したことがないんだな。しかし葉月は怯むことも無く


「お前達はどんな敵にも立ち向かう勇気がある!!私はそんな部下を持って誇りに思うぞ!!だから弱音を吐かない!!」


と叱責した。するとその言葉が響いたかのように


「分かりました。私、頑張ります!!」


と堂々と宣言した。そして巨大蟹のハサミ攻撃が来て、みんなを木っ端みじんにしようとした時、二人の女性がハサミを止めていた。カレントと宝華もといアスールだ。


「あなた、そんなに力があるの!?」


「鍛えてますから」


そう言って二人は力を合わせてハサミを掴み、そのまま背負い投げをした。巨大蟹は裏返ってしまい、動けなくなっていた。


「こんなにもあっさりやられるとは」


「大きければいいってもんじゃないってことね」


何やかんや言ってお似合いだな。するとタイタンアーサーが元に戻そうと巨大蟹を持とうとした時、地面から植物の蔦が生えてきて、タイタンアーサーに直撃した。その衝撃で再びバラバラになってしまい、再起不能になった。


「全く、この技って有能ね」


そうこれは春香もといヴィオレだ。確かにこういうことにも使えるから結構便利かも。


「あなた達も結構やるんですね!!あなた達は一体?」


白鳳が不思議そうに聞いて来たので二人は


「私はアスール。海一番の女よ!!」


「私はヴィオレ。成長とわくわくが好きな女!!」


と紹介した。何か盛ってない?今度は白鳳が


「わ、私は白鳳すももです。第8部隊のサポート要員として頑張ってます」


と自己紹介をした。こういうシンプルなのがいいんだけどね。それに小さいから小学生?ぐらいかな。


「この~俺が相手になってやる!!」


キュレックストーロが再び立ちはだかって来た。彼は赤いレイピアを片手に襲い掛かろうとした。しかしその時に誰かが剣を弾き返した。彼女は秋穂もといヴェルデ。


「な、あんたはさっきの!?」


「先ほどは相手になってありがとう。またあんたと戦えるわ」


そう言ってガキンッガキンッと剣同士がぶつかり合った。それと同時に横からも誰かやって来た。


「私も微助力ながらも戦います」


と言うと手を剣に変えてキュレックストーロを斬りつけた。彼女はドナ・マリーだった。どうやら助っ人として入って来たな。


「くそ、卑怯だぞ!!2対1なんて卑怯すぎるぞ!!」


「別にルールなんて決めてないし」


「な!!」


「私の強さにあなたが泣くわよ!!」


ヴェルデはまたキュレックストーロを斬りつけた。その隙にムースシュバルツは攻撃を仕掛けようと準備していた。


(ここなら見つからないし、一気に倒せる!!)


ムースシュバルツはまた角に電撃を溜め、電撃玉を発射しようとした。しかし後ろから


「そんなことさせません」


と角に誰か触って来た。攻撃を溜めることに集中していたムースシュバルツは謎の奇襲に驚愕した。それに角に溜めた電気がいつの間にか消えていた。もちろんこれは神無月黄美虎の仕業だ。彼女の能力で力を消したのだ。


「きっ貴様ぁ~!!」


「第8部隊の権限において、実力を行使するわ!!」


ムースシュバルツはキレて、彼女を斬りかかろうとした。しかしそんな攻撃をもビクともせずに、槍を取り出して彼の体を一突きした。強い一撃に後ろに転がってしまった。副隊長の名は伊達じゃないな。その後、ブランが再度立ち上がったムースシュバルツを斬りつけた。


「なかなかやるね、君」


「あなたもすごいわ!さっきの反射速度!」


ブランと神無月は息のあった攻撃に褒め合っていた。こいつらは馬が合うな。遅れて葉月も現れた。


「こ、この~!!何なんだっ、貴様らは!!」


ムースシュバルツは立ち上がるも度重なる攻撃のダメージで立つのがままらななくなったいた。それとさっきの答えに対しブランと葉月、神無月は


「私の名はブラン。最初に言っておくわ、私はか~な~り、強いわっ!!!」


「私の名前は葉月桃樺。マゼンタ第8部隊隊長。その命、神に返しなさい!!」


「私は神無月黄美虎。マゼンタ第8部隊副隊長。今の私は、負ける気がしない!!」


と何故か格好よく名乗った。こいつら、決めてやがるな。そして両者は武器を取り、戦い始めた。それと同時にキュレックストーロとヴェルデ、ドナも戦っているし、アーマードキャンサーとアスール、カレント、タイタンアーサーとアマリージョ、ヴィオレも戦っていた。いよいよ戦いはクライマックスに入ろうとしていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


戦いがクライマックスに突入している頃、そういえば僕は何をしてるかって?岩に座って見ていた。何でかって?答え、面倒くさいから。そもそもこの程度の敵ぐらい簡単に倒せるし、戦った所で面白くもないし。ていうか前会ったドゥルジュもその程度だったな。それが4体になっただけだ。それに彼女達の実力も知りたかったし。あと楽出来る。まあこういうものに限って調子に乗って自爆するのがオチだろうけどね。正直見てみたい。


「そういえばずっと聞きたかったんだけど・・・あんたはそこで何をしてる訳っ!?」


あ、やべ。よりにもよってアスールに見つかってしまった。みんな戦いに夢中になっていると思ったばかりに、つい隠れるのを忘れた。アスールの一言に気付くようにみんなこっちを見て来た。・・・何か気まずいな。どうやって説明しよう。A.とりあえず謝る。B.黙って見守る。よし、謝るのも戦うのも面倒だから、Bにしよう。なので石にまた座った。


「ノワール!!なぜ見てるのよっ!?あんたも戦いなさいよっ!!」


アスールの呼びかけも空しく彼はただただ眺めていた。


「この~!!あとで覚えておきなさいよ~!!」


アスールは青の三叉槍(ブルートリシューラ)を取り出してアーマードキャンサーを攻撃していた。態勢を立て直したのか、ハサミと足で防いでいた。しかしそれでも彼女の攻撃を一つ一つ防ぎることは出来なかった。怒りに任せた彼女の攻撃は一つ一つの威力が大きすぎた。


「ま、待てっ!!貴様には手加減という物がないのか!?」


「うるさいっ!!どうもこうもあるかっ!!”グランドブルー”!!」


アスールは槍攻撃をした。主には槍をただ振りかざして相手を斬りつけるシンプルな技だ。何度も斬りつけるとどんな怪人も一瞬で倒してしまう威力を持っている。アーマードキャンサーはこの攻撃をもろに喰らい続けていた。その仕上げにカレントが


「今のはすごい反面ちょっと引いちゃった。けどこれで終わりよー!!”ゴールデンインパクト”」


拳を握って相手を殴る技だ。この技の力で強度は高くなっているため、アーマードキャンサーの甲羅を一瞬にして砕いた。アーマードキャンサーは


「もうちょっと、アピールしたかったぁーーーー!!」


と言い放って爆散してしまった。この戦いでアスールとカレントが勝ったのだ。


「やったぁー!!!何とか倒せたわ!!」


「想像を絶する戦いでしたけど、何とか勝てましたね」


アスールとカレントは喜びに浸ってハイタッチをした。その頃、ヴェルデとドナの方はというと


「あんた、剣も強いね。どうしたらそんなに強くなれるの?」


「それはこちらのセリフです。さっきの攻撃をかわすとは、一体どうすればいいのですか?」


こっちもこっちで楽しんでるな。お互い剣を使っているからか、息の合ったコンビネーション攻撃を仕掛けて来てる。当然二人に翻弄されたキュレックストーロは攻撃を喰らって転がってしまった。


「ぐっ、こんな奴ら見たことが無い!!」


と言い出すとヴェルデとドナが


「ありがとう、さようなら。”ヴェールスラッシュ”」


「あなたの運命はここまでですね。”ルージュカッティング”」


と言ってキュレックストーロを斬りつけた。この技はどちらとも素早く動いてただ斬りつけるシンプルな技だ。


「そんな、この私がやられるなど!?」


と言い残して爆散した。ヴェルデ、ドナの勝利であった。その頃、アマリージョとヴィオレは


「こいつ、体がバラバラなせいか、全然効いてないんだけど!?」


「落ち着いて、きっと攻略方法が分かるはずよ。それまであっちをお願い」


「わ、分かったわよ。体を縛らせるわ」


ヴィオレは地面から蔓を出してタイタンアーサーの動きを止めた。手、足、体に顔と絡めているから動かなくなっていた。その隙に攻撃を仕掛けるもなかなか効いてる様子ではなかった。


「く、どうすれば!?」


するとアマリージョが体の中に光る何かを発見した。それは宙に浮いていて、ちょうど真ん中の辺りにあった。もしかするとあれがっ!?アマリージョの脳裏に何かが浮かんだ。あれを壊せばっ!!


「ねえねえ、もうちょっとこのままでいてくれない?」


「はあ!?急にどうしたの?」


「攻略法、分かったかもっ!!」


そう言って蔦を伝って体の方へ登って行った。そして中に入り、壁をよじ登ると予想通り赤く光るものを見つけた。それはこのモンスターの核だろう。これを壊せばこいつは動かなくなる、そう思い短剣で人突き刺しした。すると赤い核は徐々にひび割れてやがて砕け散った。その時、ゴゴゴッと鳴りだした。


「あ、これって・・・危ないやつ?」


アマリージョの見立て通り、核を壊したことでタイタンアーサーは命を失い、体パーツが崩れ落ちていったのだ。その被害に会う前にアマリージョは素早く脱出した。脱出した頃には、体は全て倒れていてやがて塵となって消えていった。


「大丈夫?」


とヴィオレが駆けつけて来た。


「何とか大丈夫よ。それより・・・」


「それより?」


アマリージョはそっとヴィオレに近づき、そして・・・羽交い絞めをした。


「どうしてそのままにしてっていったのに、蔦が無くなってたの!?」


「だって・・・喉が渇いてしまって、その時に蔦が地面に潜って行って・・・」


「このバカバカバカァァーー!!」


かくして二人の姉の勝利に終わったのだ。そしてあの3人はというと・・・絶賛戦い中である。状況は彼女達の方が有利だな。


「ぐ、このままで終わるかぁぁーー!!」


ムースシュバルツは突進攻撃をするも


「ラピッドスター」


「南風月」


と二人の彼女の攻撃ラッシュを喰らい、そのまま爆散した。何かこっちは出番が無くて可哀そうだな。でもこれで終わったな。帰ろうか。そう思った矢先、突然彼女達が倒れて行った。辺りを見渡すと、何か苦しそうな雰囲気を漂わせていた。幸いみんな生きてるのが救いだけど、一体誰が!?


「おやおやおや、折角援護しようと思ったら、もう倒れてしまったのでしすか?みっともない、まあ所詮は雑魚ということですか」


後ろから何やら聞き覚えのある声がした。もしかするとこの声は!?確かめるために後ろを振り向くとそこには


「やあ、久しぶり~とでも言うべきかな。元気そうだな。やはりこの世界にいたのか、ノワール」


そう、数年前に別の世界で戦った男、ブラッドだった。


「そっちも元気そうだね。どうしてここが分かった?」


「あなたの魔力を感じたからたまたまね。それとさっきの奴らの回収」


・・・真っ赤な嘘だな。僕は他人の嘘を見抜く目を持っている。半分嘘で半分事実だな。そもそも僕そんなに魔力出してないんだけど。きっとこの世界にいるのを知っててこっち来たな。どうやって知ったかは知らんけど。それにさっきの怪人を回収するのは本当だな。しかしあいつがそんな優しいことをするかな?いや、あの時みたいに血を吸って力を蓄えるつもりだな。ていうかそもそも怪人って血を流すっけ?


「んん?ああ、彼女達なら少し血を抜いておきました。死なない程度に血を吸ったので大丈夫です」


大丈夫なのかな?ヴィオレは貧血状態になってるけど。


「そんなことよりここへ来たのは、あなたと戦うためです」


「・・・何だって!?」


あいつ、わざわざそのためにこの世界に来たのか!?案外面倒くさいな。しかしこっちも体がなまってはいけないので


「面倒くさいけど、まあいいよ。出来れば手短に」


と言って剣を取り出し構えた。そしてノワールVSブラッドの復讐劇が始まろうとした。

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