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本当に転生しちゃった?

 その頃、ノワール達はと言うと。


「あっれ~~~!!!」


ワープゲートの中を進んでいた。しかし吸い込まれるように進んでいったけど。ここがワープゲートだということは入ってすぐに分かった。ただし、行き先が分からない以上どこに飛ばされるかは分からない。帰ってこれる場所ならいいけど。


「うわあぁぁぁ~!!助けて~!!」


後からブランがやって来た。それに続き、ぞろぞろとやって来た。どうやらみんな吸い込まれたらしいな。失態だ、ほかにも隠し玉があったなんて。気づけなかった僕が悪いな。みんなが混乱してる時、目の前に明かりが見えた。どうやらゴールだろう。段々と明るくなっていき急にまぶしくなった時、みんな放り出された。辺りを見渡すと、どこか見覚えのある荒地だった。戻って来たと安堵する彼女達。しかしただ一人、ノワールは違和感に気付いた。この景色、荒地は荒地だけど違う。あのキゲンデに長くいた僕なら分かる。ここはきっと別の世界だ。誰かがここへ飛ばすようワープ能力を操作したに違いない。


「どうしたの、そんな険しい顔をして?」


アスールが話しかけて来た。彼女達はまだ入ったばかりだから仕方がないか。しょうがないと思い、事情を説明した。


「ここはキゲンデではない。別の異世界に僕達は飛ばされた」


「そうかぁ・・・・・・ん?」


その話を聞いた女子達は一旦黙り込んでしまった。え?ここってあのキゲンデじゃないの?帰って来たんじゃないの?別の異世界ってどういうこと?疑問が頭から湧いて来た。


「そのまんまの意味だ」


「そのまんまなの?」


「そのまんまだ」


再び黙り込んで、数分後にえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!!!!!!と荒地に悲鳴が響いた。よっぽどショックやったんやな。


「じゃあ帰れないってこと?!地球にも」


「そんなの聞いてないっ!?どうにかしてよっ!?」


「そもそもここどこーーーーー!!??」


ブラン、アスール、ヴェルデは悲鳴を上げた。もうみんなパニック状態だ。何とか帰る方法を見つけないと、彼女達がうるさい。それに面倒くさいし。すると一人の女性が前に立って


「みんなっ!!いつまでもうじうじしてはだめよっ!!!ここは異世界だけど、私達も別の異世界に行ったばかりじゃない?!」


と叫んだ。アマリージョだった。言われてみればそうか。あっちも異世界か。


「私達は異世界の知識も多少ある。みんなの知恵を使ってこの世界を生き延びましょう!!!」


とみんなに発破をかけた。そういえば能力も与えたし、別の世界でも頑張れるんじゃないと一瞬思った。するとみんなは


「そ、そうだよねっ!!私達が諦めてどうするのよっ!!」


「ほんと、ほんと。みんなで地球に帰りましょう」


「その前に妹二人を連れ戻さないと」


「あ、そうだ。一度セブンブレイ王国に戻らないと」


とわいわいし始めた。この調子で頑張っていければこっちも嬉しい。僕も僕なりに頑張らないとな。まずここはどこかについて調べよう。


「それじゃあ、役割分担を決めましょう。まずノワールはリーダー、私は指示係、ブランとヴェルデはこの周辺の視察、アスールとヴィオレは食料と住処の確保。みんなそれじゃあ、行くよぉぉぉぉ!!!」


みんなはそれぞれの役割を果たしに出かけた。残ったのは僕とアマリージョだけだった。


「一緒に頑張ろうね」


「こっちもよろしく」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ブオォォォォォンッ!!!荒野を駆ける車の姿が見えた。軍事用車で走っていて、屋根は無かった。運転してるのは女性だ。しかも数人乗せている。運転してるのはなんと葉月だ。


「このあたりで間違いないのね?」


「はい、目撃情報はこのあたりだそうです」


助手席には神無月が座っていた。どうやら任務のためにここへ来たらしい。中にはカレント、白鳳、ドナまでも乗っていた。これがマゼンタ第8部隊の主力戦力だ。ほかにも戦闘兵はいるが、主な戦力で言うと彼女達が上位だろう。


「さて、これから忙しくなるぞ!!」


葉月はそう言って、アクセルを深く踏んでスピードを上げた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「「・・・暇だなぁ~」」


その頃、ノワールとアマリージョは地面に座っていた。やることが無くて、呆けていたのだ。ちなみに彼女達はまだ帰って来てない。たぶん、迷ってるか道草を食ってるに違いない。だとしたら一時間以上も待ってられるか。


「なんで遅いんだ、あいつら?」


「なんかさっき仕切ってた自分が馬鹿らしくなってきたよ」


二人はやる気を無くしたようだ。何も考えたくないし、動きたくもない。ただただ帰ってくるのを待つだけだった。すると遠くから4人が帰って来た。やっと帰って来たか。しかし何やら慌てている様子だ。やがてつくと、4人は息を切らしていた。よほど走ったんだろう。仕方なく、僕は4人に水を渡した。するとまるで喉が渇いたかのように、水をすぐに飲みほした。何か悲惨だったんだな。やがて落ち着いたころにブランが話した。


「い、今っ、マゼンタがこっちに来てるのっ!!」


マゼンタか、どっかで聞いたことがあるような、ないような。つい最近ぐらいだったかな?それともそれより前・・・?何か分かんねえな。


「マゼンタ?マゼンタ・・・ってあの時の彼女達っ!?」


アスールが驚き出した。あの時ってどの時?


「あん時のあれか?」


「どん時のどれよっ!?あんた忘れてるんじゃばいの!?」


「いや~思い出せそうで出せない。何かほかに特徴は?」


「女の子だらけだったじゃん」


「・・・ああ、あの時のあれか」


「いやだから、どの時のどれよっ!?」


なかなか会話が進みそうにないので、直接見てみることにした。しばらく歩くと砂埃が出ている所を見つけた。よく見ると車が走っている。驚いたな、地球のほかに車があるなんて、いや異世界だから当たり前か。ある世界もあるからな。しかし、どこに向かって行ってるんだろう。するとその前にモンスターらしき生き物が出て来た。もしかして、あれと戦うとか?モンスターが近づいてくると車は止まってしまった。すると車から女性が出て来た。その女性は刀を構えてモンスターに斬りかかろうとした。それに続き、数人降りて来た。


「なんか見たことあるな・・・つい最近」


「つい最近って認知症じゃないんだし、はっきりしなさいよ」


「私、彼女達を知ってる気が…思い出したっ!!アスールがあっちの世界に来た時に来てた人達よ!!」


ブランが思い出したようだ。お前も覚えてなかったんかい。しかし、アスールがキゲンデに来た日に遡ってみると、何となく思い出してきた。急に刀を振った人達だな。もしやここは彼女達の世界なのか!?


「ねえ、さっきからあの人達の話をしてるけど、知り合いなの?」


アマリージョが不思議そうに質問した。まだこの3人は会ったことがないんか。じゃあ仕方がないな。


「あんな狂暴な奴ら、知り合いじゃない」


「そう、あっちの世界でちょっとあってね」


「でもみんな可愛かったよ!!」


「そ、そうなの・・・。じゃあ彼女達は一体何なの?」


「それは僕達も分からない」


僕達はただただ遠くを眺めていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「そっちはどうだっ!?」


「今の所、大丈夫ですっ!!」


「私も何とかっ!!」


「全く、今度は結構な数ね!」


その頃、第8部隊のみんなはモンスターと戦っていた。戦っているのはあのミノタウロスに似たモンスターで、名を”アサルトバイソン”と言う。黒い巨体に立派な角が付いて、二足歩行で武器を持っている。彼女達は大量発生したアサルトバイソンの討伐の任務に行っていたのだ。


「しかし、何でこんなに増殖したんですかねっ!?」


「私も分からないが、もしかすると私の知らない所で何かが起こっているのかっ!?」


葉月は冷静に判断した。そもそも大量発生の任務など滅多にないからだ。雑魚モンスターを討伐するのはもちろんだけど、それはあくまでS級以上に指定されたモンスターの討伐のついでだ。この世界ではモンスターの強さに階級があり、E~Zの評価で指定されてる。Eから段々強くなっていき、S、SS、SSS、そして最高のZはより強力なモンスターの証だ。討伐任務はマゼンタ本部で決められており、主にS、SS級のモンスターが多く、SSS,Z級のモンスターは一体いるかどうか分からない。今戦っているアサルトバイソンはB級の強さを持っている。なので能力を持っている人なら簡単に倒せる相手って訳だ。ちなみにマゼンタの戦闘力もこの基準で判断してる。葉月はSS級だ。


「とはいえ、流石にこの数はっ!!」


「隊長が苦しんでいる!!私も副隊長の身であるから足手まといにはならないように気を付けないと!!」


流石の葉月もこの数はきついらしい。それも数十ではなく、数百というくらいだ。このままでは私ならともかくみんなが危ない。しかし、隊長としてくじけることだけはしない、そう心に誓って戦い続けた。


「んんっ!!何か後ろの方から別の何かがきますっ!!しかも人で・・・その数6人です!!」


「6人っ!!後ろから来たってことはこの闘牛を倒したってことだよね?そんなに強い人がいるなんて」


「ここは地球とは違う世界です。能力を持ってる人がいてもおかしくないかと」


敵を次々と薙ぎ払いながら、会話をするとやがて闘牛共の動きが止まってしまった。そしてそのまま倒れてしまったのだ。


「これは・・・!?一体どうなっているのだ!?」


葉月は混乱していた。あの牛の軍勢が急にぱたりと来なくなり、終いには全滅させられていたからだ。一体ならともかく、数百体もの数を簡単に倒すなど、恐らくごく稀に見るZ級の力を持っているに違いない。


「お前達、警戒を怠ることなくやるぞ!!白鳳、向こうにはほかに何が見える?」


「ちょっと待ってください」


白鳳はそう言って目を閉じた。白鳳の能力はどんな所も見ることが出来る”天眼通(ホークアイ)”の持ち主だ。この能力は目を閉じないと使えない能力でもちろん戦闘向きではないが、約5万キロ遠い所まで見れたり、透視能力、相手を分析することが出来るという非常に優れた能力だ。さっき白鳳は能力を使って向こう側にいる人を見つけたのだ。白鳳は辺りを見渡していると


「見つけましたっ!!え~っと、女性が5人、男性が一人います」


「ほかにはいないのか?」


「確認しましたが、ここにいるのは私達とその6人だけです」


「そうか、分かった。とりあえずその人達と話をしてくる。何か事情があるかもしれないからな」


「一緒にお供します」


「白鳳、場所はどこだ?」


「ここからそう遠くはないようです。大体800メートルぐらいには」


「分かった。もう解除していい。みんなそこにいくぞ!!」


「「「「「はいっ!!!!!」」」」」


そう指揮って、葉月を先頭にみんな向かって行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「この牛、おいしくねえな。何かクソまずいし。広島の牛、特にコウネの方が絶対に美味しい」


「何喰ってるのよ。それにしても結構ハードだったわ。あんなにも牛が来るなんてね」


「そうだな。まるで広島県みたいだな」


「何言ってるのか意味が分からん」


ヴィオレはやれやれと言わんばかりに呆れていた。その頃、6人もアサルトバイソンを全部倒したのだ。何でここにいるかって?それは数時間前。遠くから眺めていた時、ブランがこんなことを言い出した。


「ねえねえ、ちょっとあっちに行って助けない?」


「何言ってるの!?私達、あの出来事でもう敵扱いされてるんですけど!?」


アスールが驚くのも無理はない。何しろ一度は戦った相手だから。


「でも、もし助けてあげたら、敵として認識されなかったり・・・なんて」


「世の中そんなに甘くない」


アスールはきっぱりと否定した。こんな状況で何を言ってるんだろう。でもこの世界の情報も知りたいし、あんまりゆっくりも出来ないからな。それになんか苦戦してそうに見えた。このまま帰ってもいいがそれでは後でみんなに酷いバッシングを受けられるからなあ。


「もうせっかくなんだし、助けたら?」


ヴェルデが救出するように促した。


「それと助けたついでにこの世界について教えてもらったらいいじゃない」


それも手だな。わざわざ街へ行くのも面倒だからな。しょうがない、とりあえずあのモンスターが湧き出てる所に行くのが手っ取り早いな。


「分かった。お前ら、行くぞ」


そしてここに来た。結構多かったけどみんな一生懸命戦ってたし、僕は邪魂吸収(ゼーレアブソーブ)でモンスターの魂を抜いたから、そんなに大変じゃなかった。それにしてもミノタウロスっておいしいのかな?ラノベで読んで思ったけど、ミノタウロスって結局牛の怪物だよね?なら肉牛としてもいけるんじゃない?ちょっと好奇心が出た。早速一体のミノタウロスの体を解剖した。でも普通の牛と違って二足歩行だから人間を解剖してるみたいだ。解剖してみると、中から赤い血が大量に出血して、体や地面を赤く染めた。その中から肉を引き裂き、生のまま食べることにした。これがおいしかったら怪物の絶品料理が作れるし、わざわざ牛肉を買わなくて済む。期待を高めて口にすると・・・ものすごくまずかった。なんか血の匂いがすごいし、味もなく、とにかく吐き気がした。こんなものを食べたら、普通の肉が食べたくなってきた。とここまでがここで起こったことだ。


「家帰ったらステーキが食べたい」


「そんなお金も余裕もない。そもそも牛肉すら高級品じゃないの」


「そうだった。でもお腹いっぱいステーキを食べてみたい」


ヴィオレとそういう会話をすると、実際食べたくなってきた。それはヴィオレも同じでここ数十年、牛肉を食べてない。母さんの祖父母の家で食べたことがあるけど、最近行ってないな。今度行ってみよう。それと同時にブラン達もやって来た。


「ところで彼女達はいつ来るの?」


とヴィオレが言ってきた。そういえばそれが目的でこっちにわざわざ来たんだっけ。


「え、知らんよ。お前が何かプランを考えてるんじゃないかと思ってた」


「私が考えてるはずないでしょ。お兄ちゃんがここに行くよう指示したんだから」


「でも言い出しっぺはお前だろ?」


「いや、そうだけど・・・」


ノープランで、しかも思い付きでここに来たのでその後の対応をみんな考えてなかった。一体どうやって彼女達と話をするんだ?このままじゃ、見切り発車で馬鹿みたいじゃないか。どうこうしてる内に誰かが近づいて来た。やがて足音がどんどん大きくなり、ついには彼女達が来てしまった。しかしこの段階でも6人は全く気付いてなかった。


「あの~、彼らは一体何を揉めているのですか?」


一人の少女が葉月に話しかけた。この娘はドナ・マリー。前にも話したがエルフで第8部隊の隊員だ。すると葉月は


「さあ、一体何をしてるかは分からんが、ただ一つ言えるのは・・・()()()()()()()と言うことだ!!」


「えっ!?敵・・・ですか!?」


「ああ、この私と互角、いやそれ以上の力を持っている。みんな、気をつけろ!!」


そう言うとみんな身構えてしまった。しかしそれでも6人はまだ話していた。全然気づいてないようだ。この異様な空気が荒地の隅で流れていた。彼女達は身構えるも、全然気づいてない彼らにイライラし始めた。すると葉月は刀の鞘を使って、ノワールの肩を叩いた。しかしそれよりもあっちのほうに夢中でそれすらも気づいてなかった。


(いや何でっ!?)


流石の葉月も驚いてしまった。こんな奴ら、今までに見たことがない。それどころか、あっちは揉めまくっているせいかさらにヒートアップしていった。もういざこざが続いてなかなか介入出来なかった。するとドナが


「いい加減に、しなさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!」


と怒り出して、手をバズーカに変えた。これがドナの能力”千の変形(コードチェンジ)”だ。体を生物以外ならどんな物にも変えることが出来る能力だ。その数は数千個以上あるそうで、自分の意思で解除も出来る。そんな彼女が手をバズーカに変えて、ノワールに目掛けて発射した。するとバズーカからミサイルが発射され、そのミサイルをもろに喰らってしまった。ドッカアァァァァンュッ!!!それと同時にすごい爆風が吹いて来た。これなら絶対に気付くだろう。やがて煙が消えて、辺りを見てみるとそこはまるで殺人現場みたいにみんな倒れていた。ちょっとやりすぎたかな?試しにドナが近づいてみると、まだ脈はあったらしい。みんな気絶しているだけだった。


「あー、ドナ。私のためにやってくれるはいいが、せめて選ぶものは気を付けてほしかった・・・」


後ろから隊長の声がしたので振り返ってみると、何と隊長や隊員達までもが横たわっていた。どうやらさっきのミサイルの被害を喰らったようだった。


「うわあぁぁぁぁぁぁーー!!!!」


流石のドナもあためふためいた。自分の部隊の人も巻き沿いにしたから。


「ほんっとうに申し訳ありませんでしたあぁぁぁぁ!!!」


ドナは必死に土下座をして謝っていた。しかしみんなは


「いえ、あなたの能力を知っていますから気にしないでください」


「もうこれが最初って訳ないでしょ」


「逃げられなかった私達が悪かったから気にしないで」


「お前にはいつも世話になってるからな。このくらいどうということはない」


と励ましてくれた。ドナはみんなの優しさについ泣いてしまった。


「ぐす、ありがとう、みんな。そしてごめんなさい」


「そうだよ。せめてバズーカはやめてほしかった」


いい雰囲気になっている時に後ろから男性の声がした。やがてみんな気づき、声のする方を向くと、そこには横たわっていたはずの男が立っていた。


「うぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」


「どーも、おいーす」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


彼女達がわいわいしてる時にある男が立っていた。


「どーも、おいーす」


「うぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!」


ドナは発狂していた。あのミサイルをもろに喰らって生きてるなんて・・・そんな奴、見たことが無い。すると急に後ろから葉月が刀を構えて前に出た。


「貴様、何故ここにいる?」


「何故って言われると、こっちに飛ばされた?」


「何で疑問形なんだ!?この世界を何故知っている!?」


「う~ん、さっきと同じ」


と言っても僕もよう分からんかったんけどな。逆にこっちが聞きたいぐらいだ。しかし葉月は


「貴様が何を言おうとも、貴様は私の手で倒すっ!!覚悟しろっ!!」


と言って、聞く耳を持たない。僕は咄嗟に手を上げてしまった。ていうかこの空気でこの世界の情報を聞くって難しない!?それに後ろの4人も警戒してるし。これ話し合いじゃ絶対に終わらんな。するとブラン達も起き上がってきた。


「う~ん、何かすごい音がしたけど・・・ってどういう状況!?」


「こっちも分からん。とりあえず、手を上げてる」


「いや何でっ!?」


アスールは混乱してしまった。それに続き、ブランもアマリージョ、ヴェルデやヴィオレも困惑していた。


「お前達二人は知ってるが、そっちの三人は見たことが無いな。まあ服装でお前の部下だろうな。どんな敵だろうとも私が潰す!!」


「ちょっと、会話どころか物騒な話になってるじゃんっ!!!」


このままじゃみんなが危ない!?絶体絶命の時にブランの姿が見えなかった。あいつ、どこに・・・もしかして逃げたかっ!?もしそうなら、あいつの魂を抜いてやる!!すると葉月の後ろに人影が見えた。やがて後ろにいる小さい少女の後ろに立った。何してんの。あいつ?


「ふう、ふう、ふう。これはなかなか・・・」


「なんか後ろから悪寒がします・・・」


「どうしたの、すももん?・・・って後ろに誰かいたー!!!」


あいつ、あの小さい娘の後ろで何してんだ!?みんなが白鳳の方を向いた。困惑する白鳳は恐る恐る後ろを向くと、そこには自分の倍以上ある身長がある女性が立っていた。ブランだ。その後、ブランは白鳳の方へ歩き出し、白鳳も後ずさりしてしまった。葉月達は戦闘体形に入り、いつでも戦える準備は出来た。そしてブランが突如動き出して、白鳳に襲い掛かった。葉月達はすぐ駆けつけるも戦おうとはしなかった。何故なら・・・


「や~ん、超可愛いいぃぃぃ!!!」


「えっとこれはどういう状況ですか!?」


何とブランは白鳳に抱き着いて、ほっぺをすりすりしていたのだ。いや何してんの?流石に葉月達も白鳳を巻き沿いにさせまいと武器を振り下ろすことをためらっていた。しかしブランがまさかこんな性格を持っていたとは・・・案外人ってちょっとかかわっただけじゃ分からんもんだな。するとブランが


「この娘を助けたければこの世界について、あとマゼンタについて教えて」


と提案してきた。なるほど、これはいいアイディアだ。戦わずして情報を引き出す、これをしたかったんだ。これなら話さざるをえないな。葉月やほかのみんなはためらっているし、実は効果ありかも?


「わ、分かった。そちらのほしいものを与える。だから彼女を解放しろ」


どうやら葉月は諦めたらしい。するとほかの隊員が


「隊長、一体どうしたというのですか!?」


と驚いてた。


「仲間を人質にとられた以上、こっちの方が穏便に済まされる。すまない」


と謝罪した。ようやく話し合いの環境になって、アスール、姉さんや妹もホッとした。もう決まったのでブランは渋々白鳳を解放した。


「もうちょっとハグしたかったな」


「変態か、お前は」


葉月は刀を収めた。しかしまだ警戒はしていた。


「まず何が欲しい?」


と葉月が聞くと


「とりあえず情報が欲しい、この世界の情報についてだ」


と答えた。すると葉月は承諾してこの世界について色々話してくれた。ここは地球と異世界が融合した世界だということ、マゼンタはこの世界の国家部隊ということ、この世界は女性が能力を持って女性社会だということ全てを話してくれた。確かにさっきの戦いを見て、異世界に生息するミノタウロス、地球で作られる車があったからな。何らかの変異で出来た世界だろう。


「この世界は常に異世界からの敵組織に狙われている。理由は分からないがこの世界に何かがあるっていうのは事実だ」


「だからあの時、襲ってきたのか」


「この世界ではそういう奴らを撃退するためにマゼンタの部隊が別の世界に赴き、組織を壊滅させることを主にしている」


「転生とは全く違う形で行くとは驚いたな」


この話を聞く限り、この世界はいかに技術が発展したかが分かる。こんな国、他に見たことが無い。それに女性主義の制度も聞いたことが無い。これはますます面白いな。


「あと一つ教えておく。私は必ずお前の首を取る!!ほかの誰よりも!!」


葉月が突然警告した。ほかにもおるのか、そういう人が?


「マゼンタには各12の部隊があり、大きい順に隊長が強い。特に第12部隊には気をつけろ。あそこはくせ者ぞろいが多く、特に隊長の”師走川 王林(しわすがわ おうりん)”だ。彼女の自治力はマゼンタの中でもトップクラスの実力を持っている。彼女と出会ったら己を呪うしかない。これは警告だ!!」


と力強く熱弁した。師走川王林・・・変わった名前だな。それにしても己を呪うぐらいの実力を持つとは、結構な力を持ってるんだな。ますます会いたくなったけど、今は彼女達のことも考えてお預けにしよう。とりあえず聞きたいことは聞いたから帰ろうか。


「ありがとな、色んな情報を教えてもらって。じゃあそっちもがんばりぃな。お前ら、帰るぞ」


しかしみんなは不満そうだった。


「え~せっかく別の世界に来たのにこのまま帰るなんて嫌よ」


「そうよ。せめてお土産ぐらいは買わせてよ」


「私達、ずっと戦い続けたから休みがほしい」


と駄々をこねてしまった。弱ったなぁ、こいつらがごね始めるとますます面倒くさい。それに観光しに来たんじゃないから。こっちに飛ばされたんだからな。いつまでも道草をしてる場合じゃない。


「とにかく、あっちに妹がいるんだから帰るぞ」


「あ、そうだった。しょうがない、帰るかぁ・・・」


何かテンション低いな。アマリージョもとい夏奈姉もさっきとテンションが違う。・・・面倒くさい。その場でお別れをしようとしたその時、急に黒い緞帳(ブラックカーテン)が出てきて、そこから3体の怪人と大きなバラバラの塊、カオス共が出て来た。その後大きな塊は次第に動き出して宙に浮くと、各パーツが合体し始めた。そして大きな騎士の形をした怪物に変わっていった。一方怪人の方は、一体は大きな角、黒と赤色が混じった体に二足歩行の鹿の怪人、もう一体は赤い体で二足歩行、細いストロー状の針など虫のような怪人、もう一体は赤い体で片手は大きなハサミ、二足歩行の蟹の怪人が


「突然すみません。私、シュバルツムースと言うものです。以後お見知りおきを」


と名乗り出した。それに続き


「私はキュレックストーロです」


「我はアーマードキャンサーです」


と紹介し始めた。ちなみに大きい騎士はタイタンアーサーと呼ぶらしい。いやどうでもいいけど。


「早速ですがあなた方には死んでもらいます」


と唐突に変なことを言い出した。唐突すぎるな!?


「やはりそういうつもりで来たということか!!みんな、手加減は無しだ!!行くぞっ!!!」


「おぉーーーー!!!!!」


葉月の掛け声に釣られ、マゼンタやブラン達も掛け声を上げた。まあこうなった以上、帰る訳にもいかないか。しょうがない。


「全く、面倒ごとを増やして」

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