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これは異世界ですか?

 「ここがあの有名なキゲンデ・・・」


 「私も噂程度しか聞かないがここでは何かが必ず起こるらしい。油断はするな」


 「ほえぇ、何か前にも同じ景色にあったような気が・・・」


その頃、キゲンデには三人の女子達が来ていた。葉月、神無月、カレントだ。彼女達は王の命を受け、怪しそうな場所を探索していたのだ。そこで目を付けたのがこのキゲンデだ。するとカレントが


「ある本に書いてあった。こういう無法地帯に犯罪組織があるって」


と言い出した。それに続き、葉月も


「確かにそういうケースは見られる。実際、その集団はこの世界では見たことが無いらしい。それに王女様を助けるなど、そんなおかしな連中は初めてだ」


と歩きながら言い出した。しかし、ここは未知の世界でもあり、どんな怪物が現れるかも分からない。警戒をしながら歩くことにした。するととてつもない魔力を葉月が感じた。それはほかの二人にも感じたらしく、辺りを見渡した。この魔力はドラゴン、いやそれ以上の量を感じた。このキゲンデには何かがある、三人はそう確信した。そして目の前を通ったのは・・・小さなドラゴンだった。体は青く、皮膚は鉄みたいで何だかおもちゃみたいなものだった。


「え、えっとこれって・・・?」


神無月は絶句してしまった。カレントも


「こ、こんな者も存在するんだ・・・あははは・・・」


と対応に困っていた。しかし葉月だけは別だった。腰に添えた刀を取り出し、鞘から抜き取った。


「どんな姿の魔物でも必ず打ち取る」


そう言って、その魔物に刃を向けた。それに気づいたのか、その小さな魔物はピューッと遠くに逃げてしまった。


「追うぞっ!!」


「えええっ!?た、隊長っ、私たちはその謎の組織を探して報告することじゃ・・・」


「今はあの魔物を追うぞっ!!」


カレントの言葉も空しく彼女には届かなかった。そして葉月は二人を置いて、走り出した。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ~!!」


「私、走るの遅いんですからっ!!」


カレントも走り出し、後から神無月も二人を追うように走り出した。そして、三人がいなくなった場所で誰かがやって来た。


「ふ。ここはなかなかいい場所だな。ここなら好き放題暴れられるな」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


その頃、暗黒の魔城(ノワール・カステルム)から出発した6人は謎の人物を発見した場所へ向かっていた。


「ね、ねえ・・・一つ聞きたいのだけど・・・これ何?」


「ん?ああ、これはシルバーフェンリルと言ってね、僕が作ったモンスターだ。この子大きいからこんな人数でも簡単に乗せられるよ」


「あ、あははは。それはすごいね・・・」


宝華はただただ戸惑っていた。こんな生き物を見たことがないだけでなく、この生き物やあの城、それにあの三人の少女を作ったという事実に困惑していた。実際、このシルバーフェンリルだっけ?大きな白い角が生えていて、それに尻尾もあり、ふさふさしている。おまけに四足歩行で馬よりも速いと思う。あのおどおどしてた彼が裏でこんなことをしていたことに驚いた。


(どうしてこんなことを私に言ってくれなかったの?話してくれたらいいのに・・・)


とふと思ってしまった。私では信頼できないってこと?何だか信頼されてなさそうでちょっとがっかりした。するとシルバーフェンリルの動きが急に遅くなった。怪しいと感じた黒季は前を見渡すと、そこに誰かがやってくる気配がした。


「んんんん?あれは・・・まさか、ジャラゴンっ!?」


「あ、ちょうどいいとこに。助けに舟だ。助けてくれーー」


何やら何かから逃げているようだった。シルバーフェンリルに止まるよう指示し、ジャラゴンを回収した。


「一体誰に追われてるんだ?」


「それが・・・って来たぁぁぁっー!!」


ジャラゴンが指してる方向に向けると、前から刀を持った少女がこっちに向かって走って来てるではないか。


「・・・えっどういう状況?」


あまりの出来事に黒季は戸惑ってしまった。すると何かに気付いたのか、少女は急に止まった。何だかどこの国とも違う制服を着てるし、魔力も感じる。これはただの人間ではないな。すると少女が喋り出して


「貴様、何者だ?なぜそのドラゴンをかくまう?それをこっちに渡せ」


と命令してきた。


「いやいや、これは僕のドラゴンですし、そもそもあなた誰ですか?」


「答える必要はない。そっちがその気なら、私が倒す」


「ええええー。僕一応平和主義者なんですけど・・・」


「ねえねえ、何が起こったの?」


と白沢が乗り出してきた。すると遅れて二人もやって来た。当然二人の反応は


「やっと追いつきましたってえええー、なにこれっ人間とモンスターが一緒にいるっ!!」


「やはりただの組織ではないですね。しかし、ぜえ、はあ。ちょっと休ませてください」


まあこんな反応するか・・・んん、あれ?三人組の女性?ってまさかこれのことっ!?なんか変わった連中だな。魔力はあるが、自身と比べてまだ弱いな。でもそれでも強いほうだと思う。


「なるほど・・・そっちがその気なら私達も戦わないといけないですね?」


「え、ちょっ、ジュジュ?」


「へぇ~、うちが何者かと知って喧嘩売るんだぁ~やるっきゃないでしょ」


「えっ何で?!」


「私も一生懸命頑張ります」


「そんな、コロロまでっ」


「私もーっ!!なんか面白そうだし」


「・・・なんでやねんっ!!」


みんなが何か乗り気になってるから、つい突っ込んでしまった。なんでこうなるの?すると彼女達も


「やはりお前達、あの黒い連中の仲間だな?」


「これはかなり危険です。みんな気を引き締めてかかりましょう」


「っしゃー。燃えて来たぁぁぁー」


こうして彼女達の戦いは始まってしまった。っていや何で?


「そうだ、そいつらめったんめったんのぎったんぎったんにしてやれー」


ジャラゴン、お前は何言ってんの?残ったのは僕、宝華、シルバーフェンリルだけになった。


「なんでこうなるの?」


「知らん」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ここキゲンデである戦いが勃発していた。まずは葉月VS白沢もといブラン、神無月VSジュジュ、カレントVSレモンの壮絶な戦いが始まった。コロロはサポート要員として戦闘には参加していない。残った僕達はただただ正座をして見ていた。


「なんでこうなったんだ?」


「知らん、2回目」


宝華は考えることすらやめていた。まあ、僕も半分諦めかけてるし。その頃、神無月VSジュジュ線では


「くっ、体が動けない?!どうして」


「くっくっく、私の糸はどんな相手も操ることが出来るのよ。そのままマリオネットになっちゃえ」


どうやらジュジュの得意の糸攻撃に苦戦していた。このまま彼女を操ってほかの二人を倒す気だな。


「負けたら私の人形コレクションにしてあげる。みんなかわいいから」


「な、何ですってっ!!」


ジュジュにはある趣味がある。それは可愛い女を人形のように飾ることだ。しかもそれは生きてるらしく、彼女の着せ替え人形として集めているらしい。これを知った時、怖気が走った。これで勝負がついたか・・・と思った時、彼女の糸が切れ始めた。さすがのジュジュもこれに驚き


「な、何でなの?糸が切れてしまうなんて」


「はあ、はあ。私を甘く見ないで。私はこのマゼンタの副隊長なのよっ!!」


マゼンタ?聞いたことがない部隊だな?実際、いろんな世界を見て来たけど、そんな部隊は初耳だ。それに糸が彼女の体から消えて行ってる!?


「驚いた?これが私の能力、”心なき者どもサイレントアビリティー”。私の手に触れた魔法を打ち消す能力よ」


なるほど、これは確かに強いな。まさか、こんな能力を持つ人がいるなんて。これはジュジュも苦戦しそうだな。もう一方のカレントVSレモン戦はどうなっているのかな?


「ぶっ殺してやるよっ」


そう言ってレモンは手榴弾を投げ続けていた。彼女の能力はあらゆる物を爆破させる”爆発術(ハジケマクリ)”の能力を持っている。ありとあらゆる物を爆発させることが出来る能力だ。例えば石を爆弾にすることも可能だ。また、爆発の威力をさらにあげることも出来る。なので彼女は懐にある手榴弾を投げ続けている。まあそんなに投げてもねー。


「ほれほれほれぇ~さっきから当たりまくってるけど、大丈夫なのぉ~?そろそろ身が持たないんじゃ・・・っ!?」


どうやら彼女も気づいたらしい。何と服だけがボロボロになって体は傷はあるが、血が出ていなかったのだ。


「これが私の能力、”金剛機構(マテリアルメタル)”だ。この能力は一定期間、身体を頑丈にする能力だ。驚いたかっ!!」


「なら能力が発動出来ないくらい痛めつければいいだけでしょ?」


そう言ってレモンは再び手榴弾を投げ続けた。それに対し、カレントは金剛機構(マテリアルメタル)を使って身体を強化した。そして残った葉月VS白沢もといブラン戦はどうやら相手の方が有利なってるらしいな。なんか白沢固まってない!?


「ど、どうして?何で体が動かないの・・・?!」


「これが私の能力、”絶対ナル命令(コマンドクイーン)”。私の言葉を聞いた者は私の言うことに従うのだ。お前に”動くな”と命令した」


相手はかなりのチートスキルだな。本人の命令には絶対って訳だな。そりゃ苦戦するわな。しかし流石にやばいと思ったのか、ここは交代しよう。相手が悪いし。


「ちょっとごめんね」


そう言って葉月の肩を叩いた。すると白沢が倒れこんだ。白沢は少し安堵した。


「な、なんだその能力は?私の能力を打ち消すなど・・・何故黄美虎と同じ能力が使える?」


「それは・・・ちょっと内緒で。さて、ここからは僕が相手になろう。お前は下がれ」


「私はまだ大丈夫よ」


「そうか、なら戦うぞっ!!さてとこっからは本気でいくか」


「いいね。了解っ!!」


そう言うと黒いオーラが出てきて二人を包み込んだ。そして二人の髪は白くなり、黒季はロングになった。


「やはり、こっちの方が落ち着くな」


「分かる。なんだか解放された気分だよね」


「な、何が起こった?貴様ら、何者だっ!?」


「初めまして、我はノワール。通りすがりの男だ。以後お見知りおきを」


「同じくブラン。通りすがりの女の子よ。よろしくね」


これは宝華自身も驚いた。何か性格変わってない?なんかさっきと様子も違うし。それでも葉月は刀を構え直して


「私はマゼンタ第8部隊隊長、葉月桃樺だ。お前たちに決闘を申し出る」


と彼らに宣言した。


「いいだろう。そちらの要求を叶えてあげよう」


そう言ってノワールとブランは剣とレイピアを取り出した。まさかの展開に宝華はただじっと見ていた。どちらがこの場を制するのか、今決闘が始まろうとしていた。


「うおおおおおっー!!」


最初に走ったのは葉月だった。刀を突き刺して走った時、ドゴンッと地面から大きな揺れが起こった。地面は赤く染まってまるでマグマが噴き出るような感じだった。そして地面から爆発と共に何かが出て来た。


「ふははははっ、我はドゥルジュ。お前たちを始末しに来た」


出て来たのはドゥルジュと言う奴だった。一言言えば動物のサイみたいな奴。体は黒く、角もある。ここまでは普通のサイと変わらないが、二足歩行で手があり、頭に鶏冠みたいなのがくっついてて、肩に角が生えてきてるし、マントもしてる。なんか剣や鎧など武装してるし。


「何しにここに来た?」


「このマゼンタという奴らを倒しに来ただけだ。最近、同僚や仲間が次々と倒されているからな。だからお前達を殺しに来ただけだ」


どうやらあの怪物は相当恨みを持ってるな、そのマゼンタに。実際、そのマゼンタがどういう組織なのかは分からないけど。ただ、せっかくの戦いを邪魔されたことに関しては許せなかった。


「こいつらは我の獲物だ。殺したければ、ほかの所に行け」


「そうしたいのは山々だが、せっかく見つけたんだからな。邪魔しないでとっとと立ち去れ」


どうやら聞く耳は持たないらしい。しかし、もっと怒っている者がいた。それは彼女達、特に葉月だった。


「貴様っ、私達を倒すだとっ!?そのためにどれだけの命が無くなったかわかるのかっ!!」


「ふんっ、人間など所詮下等生物だ。いくら力を手に入れても、元々の力の差が大きすぎるんだよっ!!魔族に勝てると思っているのか?」


「貴様だけは絶対に許さないっ!!」


そう言って葉月はドゥルジュに襲い掛かった。しかし、それが分かってるかのように


「やはりつまらんな。喰らえっ」


と右手から火の玉を出してきた。あの火の玉に当たれば、全焼は避けられない。しかし葉月はそんなことお構いなしに全速力で走って行った。そして火の玉を縦に掻っ切った。火の玉は別れた途端、別々の所に飛んで行ってそこで爆発した。


「なかなかやるな。ではこれならどうだっ!!」


そう言って今度は肩の角から電撃攻撃をしてきた。今度は避けられなかったのか、直に浴びてしまった。


「ぐ、ぐああああっー!!」


「「隊長っ!!」」


ほかの二人も遅れる形で合流した。


「ふはははは、やはり切れなかったか。やはり単細胞だな、人間は」


攻撃を当てたのが嬉しかったのか、ドゥルジュは上機嫌になっていた。葉月はさっきの攻撃で多少のダメージは負ったが、それでも勇気を振り絞って立ち上がった。


「くっ、こんな傷、昔と比べたら全然痛くない。ここからは私も本気でいかせてもらう。”私よ、回復しろ”」


そう言うと傷がどんどんなくなっていった。おまけに疲労感も無くなっていた。


「何だとっ!?まだ立ち上がれるだと!?貴様、一体何をした?」


「私の能力を使って魔力と体力を回復させただけだ。ただし、この命令は一回しか使えないけどな」


なるほど。自分の能力で回復するとは、なかなかおもしろいな。さっき彼女がもろに当たったのは、相手の戦闘能力を知るためにわざと喰らったんだ。この女、ただ者じゃない。


「く、あまり攻撃するとこっちの魔力が減ってしまう。ならっ、来いっカオス共!!」


そう言って地面から何かが出て来た。どうやら黒く小さい目だけしかない者がうじゃうじゃと出て来た。ドゥルジュが兜と剣を取り出して、それを持たせると兜を付け腕が剣に変わった者になった。何か大きくなってるし。それを3体作り出した。


「ふふふ、これなら時間稼ぎにはなるな。ゆけお前らっ!!」


そう言うと奴らは急にこちらに襲い掛かった。


「ええええっ、何なのあれっ!?」


宝華は隠れていたが、あまりの出来事につい身を出してしまった。てこっちに襲い掛かってくる。や、ヤバいっ!!何人かこっちに襲い掛かろうとしていた。その時、急に体が二つに分かれて消滅した。


「やれやれ、間に合って良かった」


切ったのはノワールだった。体のスライムを伸ばして、刃状にしてカオスを切ったのだった。


「た、助かった~」


宝華は少し安堵した。すると、ノワールがこっちに来て


「お前はどうするのだ?このまま見るか、戦うか?」


「えっ?どうするって?」


宝華は混乱してしまった。この世界に来てから、驚くことがいっぱいありすぎて、脳の整理が出来なくなってしまったからだ。でも私が戦うなんて、そんなこと・・・。その頃、みんなはカオス達と戦っていた。


「ふははははっ、やれ。もっと暴れまくれ。こいつらを片付けたら、今度は地球に進出するぞ!!」


「何ですって!?地球ですって?!」


「そうだっ!この世界を蹂躙した後、地球に行って兵を送り込んで、地球を支配するのだ!!」


ドゥルジュのあまりの発言に宝華は黙ってしまった。


(何なの、さっきから黙って聞いていれば。皆殺しなど、地球を征服するなど。やってることが無茶苦茶じゃないっ!!もう許さないわっ!!)


元々正義感の強い彼女は彼の発言に怒りを覚えた。そして宝華は立ち上がって


「おいサイ野郎。あんたの言ってる事、本当に事実なの?」


「なんだ貴様?俺様が言ったんだから確定じゃないか?それがどうしたんだ、人間?」


「うっさいバカっ!!あんたを私は許さないからなっ!!」


「ふはははは、そんな無防備で私とやるというのか?」


「別に力なんてあったってそれは強いって訳じゃない。そんなもの、ハンカチやスマホみたいな物よ。本当の強さってのはたとえ無防備でも前に進むことが出来る勇気ってものよ。確かにあんたは強い。でも今のあんたはそのへんな者を呼び出して、自分を守っているだけじゃない。本当は弱いんじゃないの?」


「なんだとっ!?」


「弱いからそんな物に頼っちゃうんでしょ。剣とか持ってるけど、自分が蒔けるのが嫌で火とか電気とか使ってたんじゃないの?それにあんた、ここ蹂躙するとか地球に行くとか言ってるけど、プランはあるの?費用は?時期は?まあ、例えあんたが地球に来ても私が倒すけどね」


「ぐぬぬぬぬっ!!」


すごいな!怪人相手にもひるまないなんて。流石”正論女王(ロンパクイーン)”。彼女はどんな相手にも忖度なく正論をズバズバと言ってくるから、誰も言い返せないのだ。言葉で彼女より言える者、多分世界中探してもいないんじゃない?でも今、こうやって活躍してるからすごいスキルだな。


「ふ、ふん。皆殺しにした後でゆっくり考えるつもりだったんだ!」


「そんな無責任な考えで地球に来ないでくれる?正直迷惑。来るんだったら、もうちょっと体と頭を鍛えなおして現れな」


「ふん、いきがりおって。なら見せてやる。俺の強さってやつをよっ!!!」


そう言って持っていた剣を振りかざした。すると宝華は足をあげて剣を止めた。


「なっ!?」


「はえー!?」


なんて奴だっ!?剣を足で止めやがった。なかなかいないぞ、こんな人間。自分も驚いてしまった。いや待て、熊に勝てたんだからサイが相手でも勝てるか。流石、霊長類最強!!異世界でも活躍だ!!


「何か変なこと考えてない?」


「・・・いいえ」


やっぱ感が鋭いからか、圧を感じて怖いな。


「まあ、結論から言うと人間も怪物も弱いのはお互い様ってこと。才能があるからって、もっと強くなるため鍛錬しないと強くなれないわよ、水泳と同じで」


確かに。彼女はスポーツも得意だが、それは人一倍練習したからだ。それはずっと見て来た僕だから分かる。彼女は努力家だってことも。だから宝華のことは嫌いになれないの。


「ねえ、さっきの質問の答え、私もやってやるわっ!私も何かやりたくなってきたわっ!!」


すると持ってた青い石が突然光り出して、その後頭痛が起こり跪いてしまった。ドゥルジュが攻撃するも全部跳ね返されてしまった。前回同様、石に守られたのだ。その後石は左目の中に入って行った。その隙にノワールはすかさず指を伸ばして、彼女の体に刺して魔力を与えた。


「ちょっとくすぐったいけど、痛みは一瞬だっ!!」


当然苦しみながらも頑張って立ち上がっていた。どんな痛みにも向き合っていた彼女ならこの程度、大丈夫だろう。そして下から黒いオーラが出て来て彼女を包み込んだ。そして制服から黒いコート、黒い襟付き長袖ハイレグ、膝まである黒いブーツに変わっていた。


「な、何なのよ、この衣装・・・あんたこういう趣味があったわけ?」


「いや、それは勝手にそうなるだけだけど?」


「何か適当すぎない?何か外で水着を着てる気分」


「あ、それだからじゃない?」


「・・・あ!」


たぶん水泳をやっていたから、そういう恰好何だろう・・・適当だね。


「き、貴様ら、何喋ってんだっ!?」


「あ、すっかり忘れてた。じゃあそろそろ」


「ふざけやがってぇー!!」


すると角を突き出し、ドゥルジュがこっちの突進攻撃をしてきた。


「これで死ねええええっ!!」


狙いは宝華のほうだったが、彼女は固まっていた。そして片手で突進を止めたのだ。


「な、ばかなっ!?」


流石のドゥルジュも驚きを隠せなかった。それもそのはず、僕の魔力の一部をあげたからね。


「ふっふっふっ、やあサイさん」


そう言うとドゥルジュの角を持ち上げて、遠くに投げた。その後、それに気づいたのかみんな戦うのをやめた。


レモン「な、その姿はっ!!」


ジュジュ「まさかこうなるとはっ!!」


コロロ「あわわわっ何かすごそうです!!」


ブラン『嘘っ!宝華ちゃんがっ!!』


葉月「なんだあれはっ!?」


神無月「また新手の敵っ!?」


カレント「あの人誰?」


そしてみんなに向かって


「私の名前はアスール。異世界最強の女よっ!!」


と元気よく挨拶をした。アスールってあいつも偽名(コードネーム)つけたんだな。それと同時にドゥルジュも立ち上がって


「貴様っよくもやってくれたな」


とカンカンに怒っていた。しかし、それでもアスールは


「何だ、まだ立てられるのね。でもまだまだこれからよ!!」


と言って地面に潜り込んだ。いや、正確には沈んだって方が正しいかな。地面に沈んだせいでドゥルジュは攻撃出来なかった。そしてちょうど下の方からアスールが蹴りを入れた。ドゥルジュは倒れこんでしまった。


「な、何だその力はっ!!」


「これはねー水泳術(オヨギマクリ)っていう能力でね、どんな場所にも沈むことが出来るのよっ!!」


「な、何だとっ!?」


そう、彼女に与えた能力は水泳術(オヨギマクリ)という能力だった。彼女にぴったりなスキルだな。それを見ていたブランはとても感動していた。


「すごいよすごいよっ!!何か私、感動で涙が出ちゃいそうよっ!頑張れーっ!!」


ブランって改めて見るとあんな性格なんだな。


「このこけおどしがっ!!やれ!!あの女を殺せっ!!」


ドゥルジュはカオスにアスールを倒すよう命令した。その隙に体から槍を取り出して、彼女に与えた。


「これは”青の三叉槍(ブルートリシューラ)”という武器だ。これをお前に託す。十分暴れてこい」


「了解、任せてっ!」


そう言うと槍を手に取り、それをカオスに突き出した。この武器、海の力を使って作った武器だから、水属性では最強の武器だと思う。


「お前らは何ボーっとしてる?お前達も戦わないのか?」


「貴様に言われずとも、私は戦うぞっ!!」


葉月は再び刀を構えて、カオスを切った。それに続き、みんなもカオスと戦った。


「向こうはアスールに任せるか。後は頑張れよ」


そう言ってノワールも迫りくるカオスと戦った。

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