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死にたがりの神様へ  作者: ヤヤ
第四章 悪意は忍び寄る
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56.無事とお願い

「ぼっちゃぁああああん!! ご無事で!! ご無事でなによりでございますッ!!」


「……誰だこのバカを呼んだのは」


 シラッとした目で馬車を降りたリオルと睦月を見やったリックに、ふたりはそっと顔を見合わせ、それから何事も無かったように「こんにちは」を口にした。

 リックはそれに無言の睨みを向けると、組んだ腕をそのままに操手の男に目を向ける。


「お前もお前だ。なぜ屋敷をあけてひとりこんな所に駆り出されてる。屋敷の者の送り迎えが出来なくなったらどうするつもりだ」


「そこは大丈夫っす! 坊ちゃん探しに尽力せと仰せつかっておりますので!」


「……」


 リックの顔が凄く冷めたものになるのを気にも留めず、操手は「いやぁ、坊ちゃんってば愛されてる!」なんて声を発す。

 それを無視し、リックはシアナたちに挨拶をするリオルたちを一瞥。軽く息を吐いてからその傍らへと寄っていく。


「──では、リックを見つけたのはシアナ様ではなくてリレイヌなんですね?」


「ええ。この子が魔法で作り出した案内役を頼りに見つけたわ。場所は……」


 ちらりとシアナの目がリックを見る。


「……土の中」


「「え……」」


 リオルと睦月が驚いたように無言のリックを振り返った。リックはその視線からも目を背けると、そっと目元を細めて口を開く。


「土の中にいたのは事実。間違ってはいない」


「事実って、君それはさすがに……」


「……犯人の顔は見たのか?」


 リックはゆるりと首を横に振る。


「さあ、見てないからなんとも。気づけば眠らされて気づけば暗闇の中にいた。今ある事実はそれだけだ」


「……許されないだろ」


 リオルの呟きに、睦月は不機嫌顔に。「どうするつもりだよ」とリックを見る彼に、目線を向けられたリックは鼻で笑う。


「どうするも何も、リピト家の力を使い探し出すまで。徹底的に痛めつけてやるさ」


「犯人の顔も見てないのに、大丈夫なのかい?」


「そこはなんとでもなるだろ」


「いやならねえだろ」


 不服そうな睦月。リオルもその考えに賛同するのかコクコクと数回頷いている。


 リックはそんなふたりから顔を背けると、口を引き結び無言に。彼も彼なりに不安なのだろうと、察したシアナがにこりと笑って手を叩く。


「そういうことなら、犯人探しの適任者がここに居るじゃない。ねえ、リレイヌ?」


「? わたし?」


 不思議そうにシアナを振り返ったリレイヌに、シアナはこくりと頷く。そして、こそりと小さな彼女に耳打ちをし、あることを告げる。

 リレイヌはそのあることにハッとし、「そっか!」と一言。リオル、睦月、リックを見て、ニコリと笑う。


「出来るよ、リック! 犯人探し!」


「え……」


「魔法! 魔法使えばちょちょいのちょい!」


「ちょちょいの……」


 戸惑うリックに、リレイヌは近づく。


「探そう、リック」


 必ず。必ず探して、そして見つけよう。


「リックが明日も笑えるように」


 私、頑張るから!


 にっこり。文字通り笑うリレイヌに、リックは沈黙。静かに頷くと、小さく下を向き、顔を上げる。


「……お願い」


 お願いするよ……。


 告げたリックに、リレイヌは明るく頷く。

 そんなふたりを眺めるリオルと睦月は、互いに顔を見合わせると、やれやれと言いたげに鼻から息を吐き出した。

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