第九十四話 浮遊大陸の戦闘
どう見ても天使にしか見えない奴らと戦うのは嫌だと思った。何しろ、俺の世界じゃ神の使いだものな。士気が低下しちまうよ。
しかし、そう思ってるのは俺だけみたいだ。こっちの世界じゃ、ただの翼がある種族でしかないようだ。
仲間の士気が下がらないのは、有り難いが数の暴力は止めて欲しいよな。
「翼人の数は、およそ500!!」
近くにいた蜂っ子が報告してくれた。
我が家の戦闘専門の蜂っ子は約50人くらい。非戦闘の蜂っ子を入れても200くらいか。ヤバイなぁ、勝てないじゃんか。
でも、そんな負けを認めるような事は、みんなには言えない。
「よーし、俺達が大陸から離れるまで頑張ったら勝ちだ。楽なもんだぜ!」
こう言って誤魔化した。
非戦闘の蜂っ子も外に出して対空攻撃をしてもらう。戦闘専門の蜂っ子も最初は対空攻撃だ。エルフ二人に、ベティ、レヴィ、パールの三人も対空攻撃をしてもらう。
こちらがどうにか迎撃態勢を整えた頃、翼人の大軍は空飛ぶ島の上空に到達した。キラキラと何かが瞬いたと思ったら、足元に魔法攻撃が炸裂した。
畜生め、先手を取られたか。
数が少ないのだから、こちらが先制攻撃をしたかったんだがなぁ。
ベティが分厚いドーム状の防空壕のようなものを即席で作ってくれたので、負傷した蜂っ子を運び入れた。
ユーリとスライム娘が治療にあたってくれる。戦闘要員では負けてるが、こちらは治療スタッフが優れてるのだよ!
「こっちの戦力は少ない。射程範囲に入ったら情け無用! やっちまえ!!」
俺の声を聞いたエルフ二人が反撃の魔法を放った。こちらの攻撃を想定していただろうが、こんな遠距離で届くとは思ってなかったのかな。
まともに食らった翼人がたくさん落ちていく。
続いてベティとレヴィが攻撃を仕掛けた。これまた大量に翼人が落ちていく。この四撃で翼人は散開して接近してくる。
そこに向かって誰かが、飛んで翼人の部隊に突撃を仕掛けた。
「馬鹿野郎!! 最初は迎撃に専念しろって言っただろうが!!」
敵の空戦能力も分からないってのに。
だが、誰かは知らないが強い。一方的に翼人を蹂躙している。
「心配するでない。あやつはパールじゃ。翼人がどれほど強くても相手にならぬよ」
ベティが教えてくれた。
なるほど、それなら大丈夫か。
だが翼人はパールと戦うのを50人ほどに任せて、残りは俺達を目指して飛んでくる。
「対空迎撃用意!! 撃てッ!!」
非戦闘型の蜂っ子が次々と吹き飛ばされていく。逆にこちらの攻撃を食らった翼人が落ちて転がっていく。
どちらも相当な数が倒されたし、その数は大体同じ数だった。だが、それでは数の少ない俺達が不利だ。
エルフやベティ達の魔法で、その差を埋めたいが散開されてしまうと効果が小さくなってしまう。
最初に敵が密集してる時に撃てたら、大打撃を与えられたのにな。まぁ今さら言っても仕方ないけれど。
そこへ伝令が来た。
「もうすぐ大陸から離れるので頑張って欲しいとの事です!!」
空を見ると、翼人達の動きがおかしい。
大陸から離れる事に不安があるのだろう。
なにしろ、地上に落ちたら帰れない。
こちらの島に落ちた味方を回収して、大陸に帰れるか、考えてるのかもしれない。そして負傷した仲間は見捨てると決断したようだ。
英断なのか、愚かな判断なのか、俺には分からないな。そんな決断をする日が来ない事を祈りたいものだ。
つーか、なるべくなら戦争はしたくない。俺は美少女とイチャイチャして遊んで暮らせたら、それで良いんだからさ。
撤退する敵を見送りながら、そんな事を考えたよ。




