第八十八話 操縦室付近の工事
この空飛ぶ国となる岩盤の周囲から、浮遊石を徹底的に回収しまくった。何しろ全長10キロくらいあるんだし、どれだけ高性能でも良いんだ。
考えたくないが、もし国の首都に墜落なんてしたら、天文学的な数値の損害額が発生してしまうだろうからな。
「フェイロンよ、これだけあれば巨大な岩塊も、この家の如く手足のように操れるじゃろ」
ベティは笑顔で断言してくれた。
「どこまでも高く登れるか? この中心地に来る為に迂回したろ?」
「そうじゃな。元の素材も良いからの。大丈夫だと思うのじゃ」
よし、太鼓判をもらったぞ。
ベティを抱きしめて礼を言った。
最近は一緒に仕事をするせいか、これくらいのスキンシップをするようになった。
この眠そうな目をしたタレ目の美少女は、以前は抱きつくと鬱陶しいと怒ってたが、最近は怒らなくなった。
「ほれ、仕事は終わっておらぬ。操縦室をつくらねばならんのじゃろ?」
「うん。山を作ってもらったよね。あそこの頂上付近が良いと思うんだ」
操縦室と司令室は、標高500メートル付近に作る事になった。操縦をするナツミ達の意見も入れて、仮眠室、風呂、トイレ、キッチンも作る事になった。
またナツミ達は飛べるが、俺は通うのが大変なのでエレベーターも作ってもらった。
エレベーターの発想は簡単だった。ゾリドだったかゾルドだったか、俺達を襲った賊共の一人乗りの飛行機がヒントになった。浮遊石の円筒形の籠を作って上下移動させるんだ。
出入り口は麓に一つと、操縦室の高さに一つで、合計二カ所に作った。
「この先、もしかしたら空を飛べる連中と戦いになるかもしれないから、護衛の控室も作るべきだと思う」
「それなら、スライム娘を常駐させる治療室も作りましょう!」
ハルナとアキナの意見を聞いて、護衛控室と治療室を追加設置して、それらの人員を考慮して仮眠室とトイレと風呂を拡充したのだった。
「待って! 妥協したくないから!」
そう叫んだのはフユミだ。
水の宝珠を頂上に設置して麓の湖に流す計画なのだが、宝珠は温度調整も出来るのだ。
「宝珠を操作してお湯を別経路で、こっちに流したりしたいです」
これは他からも賛成意見が出た。
快適な生活に妥協はしない、フユミの欲望を見た瞬間だった。操作は蜂っ子に任せるので、宝珠までの縦穴を追加しておいた。
これが元の世界なら売店も要求されたか。それとも米海軍みたいにアイス製造機の設置とか。いや、あれば設置したいけどね。
我が家は美少女ばかりだから、必須機器になると思うけど、無いから仕方ないね。
こうして操縦室まわりは、ほぼ完成した。
俺達は頂上へ向かって、宝珠の設置場所の製作を行い、盗まれないように偽装もしておいた。操縦室からの縦穴の確認と、そこから宝珠の操作が出来るかも見ておく。
すべて問題無かったので、宝珠を操作して水を出した。空飛ぶ家での宝珠の運用しか見てなかったので、こうした外部で何も気にする事なく全力で水を放出する景色は凄かった。
麓に囂々と流れていく様子は、まるで急勾配の滝みたいだった。あとでサァベルに聞いた話だが、麓では地響きのような音がして驚いて、全員で様子を見に外へ出たそうだ。
そして縦横が二キロで、最大深度が100メートルの穴が、みるみるうちに湖に変貌する姿は圧巻だったそうだ。人魚達の盛り上がりぶりも凄かったらしい。
そのうちに食用になるような魚を湖で繁殖させたいと思うし、その時は人魚が活躍してくれるに違いない。




