第八十話 暖房とお風呂完備
温度を自在に変化できる水が湧き出す宝珠をもらったわけだが、これは無限の可能性があるのだよ。
「お風呂が無制限に入れる!!」
「お湯が無駄遣いできる!!」
「好きな時間にお風呂が入れる!!」
「とにかくお風呂が入れる!!」
我が家の設計チームの四人は風呂の事ばかり。いや俺も嬉しいよ。だけどほら、風呂以外にもあるだろって言いたいわけよ。
俺達は増築した現場に戻った。
飛行部隊に周囲の警戒を頼むと、働き蜂っ子を集めて水が湧き出す宝珠についての使い方について語った。
俺は作るのは素人だ。
だから、こんなのがあると教える事しか出来ない。でも作るプロなら、俺の話から何かを掴むはずだ。今まではそうだった。
それで俺はお湯使った暖房を提案した。
増築した大広間の上に宝珠の部屋を作る。
そこで作った熱湯を配管に流す。配管は各部屋を通って最後は最下層の風呂場に流れる。
各部屋を通る配管に流れる熱湯の熱が部屋を温めるのだ。各部屋を流れた熱湯は流れるうちに冷めて、適温に近い温度まで下がるだろう。
たぶんな。
そしてもう一つ、熱湯を別の配管で貯水槽に流しておく。この貯水槽は壁を薄めに作って、外気に触れさせて冷水にする。
これを風呂のお湯冷しと、トイレの排泄物を流す水洗式に使うのだ。
どうよ!?
「質問なのじゃが、良いかの?」
「はい、ベティさん」
「それは誰が作るのじゃ?」
やだなぁ、もう。
土の申し子。陸の女王、ミラクルベティさんしかいないじゃん。ニッコリ微笑んで、ベティ先生を指差した。
「ワシか!?」
「配管は蜂っ子達の指示通りに作れば良いし、ゴーレム作るより簡単でしょ?」
「そうかもしれんが、なんだかのぅ」
だが常にお風呂に入りたい女の子達は、ベティ先生にお菓子を貢いで、その気にさせた。
改築工事では思いもしなかった問題点が発生した事もあったが、全員で知恵を出し合い、創意工夫で乗り切った。
10日で改築工事は完了して、空飛ぶ家は再び旅に出る。とりあえず、目標を決めるまでは人が歩く程度の速度で西に飛んでいた。
家の中は暖かい。
薄いシャツ一枚で過ごせるほどだ。部屋の中も同様で下着姿で寝てる蜂っ子もいる。下着姿のままでトイレに行こうとしたのを見た時は、さすがに注意した。
基本的に異性は俺だけだが、緊急避難で乗せる事もあるだろうからな。
風呂は混浴。
だって男は俺しかいないから、時間帯を設けたら可哀想じゃん。一応、俺が入ってる時は、札を下げて知らせてるけど、誰も気にしないで入ってくる。
「お風呂は気持ち良いのだわ」
「うむ、濡れたタオルで拭くのとは比較にならんな。蜂っ子どもが盛り上がる気持ちが分かった気がするのぅ」
俺は今、何故か陸と海の王と呼ばれた美少女二人に挟まれて、こうして風呂に入っている。
「あの水の宝珠を、こんな風に使うなんて、さすが私の旦那様なのだわ」
「うむ、あれほどたくさんの配管とやらを作らされた時は、実に面倒じゃったが風呂の気持ち良さを知れば文句は言えぬわ」
二人に抱きしめられ、頭を撫でられて悪い気はしないけどね。
「これから、どうするのじゃ?」
「何か目的はあるのかしら?」
目的は、この世界の美少女達と仲良く楽しく暮らす事だな。ある意味、現時点でも達成してると思う。
だが、何者かに邪魔されるのは嫌なんだ。だから邪魔されない場所を探すか、作りたいんだよな。
その為にまず、浮遊石が大量にある場所を探すんだ。この空飛ぶ家を空飛ぶ城と呼べるレベルにしたい。
「それなら、このまま西に進むと良いのだわ。数千年前に天から島が落ちて爆発したのを見たのだわ」
貴重な情報をレヴィが教えてくれたので、大感謝だ。そこに浮遊石がたくさんあるに違いない。次の目標は、こうして決まったのだ。




