第七十五話 空飛ぶ家の増築
翌朝、夜間の見張りをしてくれた第二飛行部隊を休ませて、第一部隊に周辺の索敵と掃討をさせる。
上空からでは地上に対して死角も多いので、サァベル、リル、ゴーレム娘の二人も参加させて、空と陸から掃討任務を行わせた。
その副産物として、かなり上質なモンスターの肉を確保できたので嬉しい限りだな。
働き蜂っ子は給食担当者以外は、総動員で伐採作業に取り組んだ。一週間ほどかけて空飛ぶ家を着陸させる場所と、資材は確保できた。
大木を切るのは大仕事だけども、それ以上に大変なのは切り株の除去だと思ってた。どうするつもりかと心配してたら。
「ベティ先生、お願いします!」
「うむ、任せるがよい!」
ベティが切り株のある一帯を深さ100メートルくらいまで泥の海にしてしまった。おかげで切り株は泥の中に沈み、大小の岩も沈んでいった。
以前、オークの死体を地の底へ沈めてたけど、またアレをやったみたいだ。
地面は整地したかのようになり、空飛ぶ家は無事に着陸できた。
甲板にはベティの特等席が作ってあり、そこにジュースと菓子類が用意されてある。
「先生、お疲れ様でした!」
「うむ。また何かあったら、言うが良い」
「ありがとうございます!」
ベティはニコニコしながら、ジュースを飲み菓子を食べている。俺より待遇が良いんじゃねぇかなぁ?
「む? これはワシのだからやらぬぞ」
「食わないから安心しろよ」
ベティ先生が手招きするので近寄ると、手のひらに砂粒をのせている。
「ここいら一帯を広く深く探ったらの、これだけ見つかったのじゃ」
「これってまさか浮遊石か?」
「察しが良いの。褒美をやろう」
皿にこぼれた菓子のカケラを俺の口に入れやがった。どうせなら、丸々一個くれよ。
「土台に混ぜるかの?」
「頼むよ」
「うむ」
「なぁ、先生。浮遊石が大量に眠る場所はあるのかな?」
「あるじゃろうな」
そうか。行ってみたいな。
「どこに、とは聞かないんじゃな?」
「知ってるのか?」
「知らん」
「そうか。まぁ縁があるなら見つかるだろ」
そして、その縁はある。このタレ目で眠そうな顔した美少女が、その縁を繋いでくれた。焦らずとも、必ず出会う。
「この世界にはの、地のベヒモス、海のレヴィアタン、空のナーガラージャと呼ばれる最強の獣がおるのじゃ」
そのうちの一匹が、ここで菓子を食ってるな。
「ここからでは見えぬが、空の遥か上には浮遊する陸地があると聞く。ナーガラージャが言っておったよ」
「この家で行けるかな?」
「たぶん無理じゃろ」
残念だ。実に残念だ。
「その天空に浮かぶ大地が、理由は分からぬが地上に落ちた。四散したその名残りがくれてやった浮遊石じゃな」
「それなら、落ちた地へ行けば!!」
「うむ」
楽しみだな。いつか、必ず。
「仲間を集めるが良い。まぁフェイロンの場合は、ハーレムの美少女を兼ねるのじゃろうな」
その通りである。
森から資材置き場や空飛ぶ家まで、かなり距離を空けたので、モンスターから奇襲を受ける事は無くなったと思う。
なので、第一飛行部隊の半数を周辺に村落が無いか探す為の探索チームにした。守備が薄くなるのは、サァベル達に負担をかけるが頑張ってもらうしかない。
だが、その甲斐あって50キロほど離れたところに、村を発見したそうだ。
「周りは崖で歩いていくのは不可能な場所でした。何故、こんな所にと思いましたが、住人は人魚達でした。彼女達ならば海を使いますから、陸路は必要無いわけですね」
人魚なんているのか。
一度会ってみたいな。
何か得るものがあるかもしれないし。
「とても綺麗な女の子ばかりでしたよ。フェイロンさんの好きな巨乳揃いでしたし、交渉が楽しみですね」
その通りだな。
「交渉はサファイアに任せるとして、人間と取引はやってくれそうか?」
「難しいですね。その人魚達は下半身を人間と魚と、自分の意思で切り替えできるのですが、それが仇となったようです」
「と言うと?」
「人間の奴隷にされた仲間が多かったようですね」
サファイアの初めての任務としては厳しいかな?
「私は人間じゃないのと、女性だからという理由で、会話が許されましたので」
「俺が出ない方が上手くいく、かな?」
「分かりません。その辺はサファイアさんが判断するかと思います」
そうだな。
その為の交渉役だもんな。
「素晴らしい報告をありがとう!」
胸の名札を見た。
トムキャットと書いてある。
名前を呼んで、改めて礼を言った。
「そんな、お礼なんて!」
トムキャットのトム子は手をブンブン振って恐縮してる。戦闘特化型と言ってもゴツイ奴じゃない。見た目は可愛い美少女なんだ。
トム子をギュッとハグして、頭を撫でたら物凄く照れてた。可愛い奴め。




