第七十三話 世界樹の娘
七色の木の実に、モノは試しとパートナー化の能力を使ったら光ってしまった。多分、こんなの前代未聞だよな。
やがて光が収まると、濃いグリーンの髪色をした美少女が現れた。
「私は世界樹の娘。本当は私を食べて欲しかったのよ。そうしたら貴方の血となり肉となって強くしてあげられたのに」
「いや、こうして話が出来て一緒に歩いていける方が嬉しい。パートナーになってくれるか?」
「もちろんよ。私はフェイロンという大地に根を下ろす事にするわね」
では名前をつけるとしようか。
命名 ナナミ・ユグドラシル
「分かったわ。私はナナミね」
ナナミの能力を見てみた。
・植物育成
・植物効能上昇
・木材植物加工
・果実創造
・植物召喚
戦闘には不向きだな。
世界樹からの贈り物というか、仲間をもらったんだから大事にするよ。
ナナミと一緒に家に戻ると、もう他の仲間も起きていた。なので、全員に紹介しておく。我が家の最大の長所はパートナー同士の仲が良い事で、それは一番の強みだろうな。
仲が悪くてギスギスしてんのが一番嫌だ。パートナー化した時に、そういう願望も刷り込まれるのかもしれない。
でも、俺はパートナー同士でエッチな事してろ、なんて望んだ事は無いんだけどなぁ。
ナナミは仲間になって以降、蜂っ子を何人か連れて世界樹を歩き回っているようだ。戻ってくると、エルフから手に入れた鉢に植物を入れて柱から吊るしている。
「それは何の植物なんだ?」
「薬草よ。病気に効くの。お母さんにしか生えてないのよ」
お母さん?
世界樹のことか。
ナナミに好きにさせておいたら、家の中に緑が増えて潤いが出たように感じる。さらにナナミが来てから我が家の美少女達は、その美しさに磨きがかかった。
ナナミには果実創造って能力があるのだが、これを食べると美容に大変に良いらしい。一週間に一回の割合で食卓に出るのだが、パートナー達の楽しみの一つになってしまった。今やナナミの部屋は、美の貯蔵庫と呼ばれている。
そのおかげで、ナナミ本人も俺に次ぐ重要人物として扱われるようになった。俺的にはベティの方が上だろうと思うんだけどね。
そしてナナミが俺にだけ、くれるものがある。
七色の木の実を食べてたら、俺は強くなっていたらしい。どれくらい強くなれたかって言うと、サァベルを片手で倒せるくらいにね。
「それほどの効能は無いんだけど飲んでみて」
ナナミはそう言って胸を出したので吸ってみた。口のなかいっぱいに、甘いフルーツのようなミルクが出た。
「七色の木の実を食べた時ほどではないけれど、サァベルさんと何とか互角に戦えるくらいには、強くなれるわよ」
そうなのか。
でも、そんな効果は無くても構わないくらい、飲んでて美味いと思う。
「飲んだ瞬間から丸一日は効果が持続すると思うのよ。食べてれば効果は永久に持続したのにね。後悔してない?」
するわけがない。
出なくても、毎日こうして吸ってやる。
「もう、おしまい」
そう言ってナナミは胸を隠した。もう少し欲しかったけど、ここは我慢しよう。
ナナミの部屋を出てキーラの元に向かう。今の強い俺が抱いたら兵隊蜂っ子より、さらに強い蜂っ子が産まれるのでは、と思ったからだ。
キーラの部屋を訪ねて、鍵を閉めると察したのかキーラが見せつけるように脱ぎ始めたので、抱きしめて唇を奪うと、キーラから夢中になって美味しそうに舌を絡ませてくる。
ナナミのミルクの味でもしたのかな。
キーラに滾る欲望を何度も注ぎ込む。これで終わりと思っても、キーラの吐息や小さく漏れ出た声を聞くと復活してしまうんだよ。
自分の部屋に戻ると、サァベルが以前に見せてくれた宝物を出していた。俺を見て箱に戻そうとしてる。
「構わないよ。遊んでたの?」
「ええ、新しく手に入れたんですわ。世界樹の樹液の塊を丸く削った一品ですのよ。中に虫が閉じ込められてるのですわ」
目を輝かせて見つめてるのが可愛い。
「はぁ〜、満足しました」
そう言って大事そうに箱にしまっている。ロフトの奥へおいてくると俺の隣に座った。そんなサァベルを膝の上に乗せて抱きしめる。
そこに誰か入ってきた。振り返るとミッキーで、膝の上で甘えてるサァベルを見て、少し驚いていた。
「どうしたの?」
「あぁ、うん。必要な物資だけど、たくさん補充できたから知らせに来たのよ」
「そうか、旅立ちの準備をしなきゃな」
世界樹でしか手に入らない物は、ほとんどエルフが消費してしまう。その為に俺達が欲しいものは手に入れるのが難しかった。
もっとも薬草の類はナナミのおかげで、エルフの里で購入する必要は無くなったが。
空飛ぶ家とミッキーの倉庫を使って、世界樹の麓と樹上の運搬などを引き受けて、かなり稼がせてもらい、その代価として特産品を譲ってもらうなどして、ついに倉庫は満タンになったとミッキーは満足そうだ。
この世界樹は俺のお気に入りの上位にランクインしてるが、定住する気にはなれない。補充完了が旅立ちの時なんだ。
そして出発する前に二人のエルフに会った。
何しろ、パートナーになれと勧誘したからな。
二人のエルフ、ルナリアとローズムーンは一緒に来る気はあるのだろうか?
「私達は一緒に行くよ」
「まだ見てない世界を見たいから」
二人の家族は、せっかく戻ってきた娘が再び旅に出る事に反対はしないのか、そこが心配だったんだけど、笑顔でよろしくと頼まれた。
「君となら大丈夫だと思ってるよ。まぁハーレムを持つ君なら、100年もしない内に孫を見せてくれるよな?」
「5人でも10人でも好きなだけ、産ませてね。期待してるわよ」
任せて欲しい。
子宮が空になる暇が無いくらい産ませてみせようじゃないか、と冗談で言ったんだけどさ。
「頼もしいな。滅びゆくエルフを再興できるなら、若い娘を全員任せるよ」
マジっすか。
本気で頑張ろう。
ライム達、スライム娘は樹上の水源の浄化などに、スライムを使って実績を作り、エルフ達にスライムの採用を決定させていた。
全然、見ないなと思ってたら、そんな所で頑張ってたとはな。
「これで世界で一番高い場所で活躍するスライムが生まれたのよ」
と、やり遂げた仕事人の顔をしてた。
そしてナナミは世界樹に最後の挨拶をしてた。
「お母さん。行ってきます。いつか、また会いに来るよ」
風が吹いたわけでも無いのに、枝や葉がざわめく音が大きく聞こえた。それが世界樹の別れの挨拶だったのかもしれない。
こうして、世界樹での滞在は終わった。
次は西へ、遥かな西へ。




