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第七十二話 世界樹観光

 空飛ぶ家は順調に旅をして、エルフの里まで、あと100キロの距離に来た。今、俺達のブームは遥か遠くのエルフの里を見る事だ。


 最初に気がついたのは、エルフの里まで、あと何キロの地点だっただろうか?


 前方に何か巨大な物があると、一部の蜂っ子が騒ぎ出したのだ。最初は山かと思ったが、どうにも違うように思えた。


 最悪の場合、魔王に関係するものかと心配すらしたのだが、エルフ二人が教えてくれた。あれは世界樹なのだと。


 そして、その世界樹こそが、エルフの里なんだって誇らしげに言ってた。うん、あれは自慢して良いと思うよ。


 こんな遠くから見えるなんて、世界樹は凄いものだと全員で盛り上がった。それ以来、暇があると甲板に出て世界樹を見るようになった。



 そして世界樹から5キロくらいの距離までやってきた。もはや遠近感が変だとしか思えない大きさで、世界樹の幹に張り付くように作られた建物すら見える。


 「なぁ、エルフから見たら、俺達は怪しくないかな?」

 「たぶん、大丈夫・・・かな?」


 ルナリアの大丈夫が頼りないので、設計チームを使者として送る事にした。それが成功して俺達は敵では無いと分かってもらえたようだ。空飛ぶ家は、ゆっくりと世界樹に近づく。

 

 甲板にはルナリアとローズムーンに出てもらい、俺達の言葉が嘘では無いと証明する。その甲斐あって、まだ多少は警戒してたエルフ側も、笑顔が増えた。


 同胞を救ったとして歓迎を受け、世界樹の見学も許されたので、世界樹の頂上まで登ってみたが非常に疲れた。

 途中からハルナやアキナに掴まって、飛んでったのは内緒だ。

 ハルナと正面から抱き合って掴まり、背後からアキナが俺を抱きしめて密着した状態で飛んだんだけど、ハルナの首筋にキスしてペロって舐めたら、ハルナが失速して落ちそうになった。


 二人から飛んでる時はイタズラするなと、厳しく説教されてしまった。


 そんなアクシデントはあったが、無事に頂上に辿りついた。そして、この時ほど自分の語彙の無さを悔しく思った事はない。

 美しい景色を、それを見た感動をどのように表現したら良いのか分からない。


 「松島や、ああ松島や、松島やって、こいつは違うか」

 「マツシマ?」


 いつの間にかサァベルが来ていた。さすが元ネコ科だ。メチャクチャ登るのが速い。


 「俺の故郷にある景色の美しい場所なんだ」


 ま、今はどうだか分からんけどな。


 「私も行ってみたいですわ」

 「そうだなぁ。一緒に行きたいな。でも、この景色をサァベルと一緒に見れたから、俺は満足してるよ」

 「私も満足してますわ」


 サァベルを抱きしめると、サァベルも抱きついてくる。こういうスキンシップが大好きなんだよな。

 サァベルとイチャイチャしてたら、俺の両脇にハルナとアキナがムスッとして立っている。

 俺を連れて来たのは私達なのに、と不満顔をしている。二人の腰に手を回して抱き寄せた。


 三人の美少女を抱き寄せて見る絶景は格別なのだ。周りには誰もいないので、爆発しろとか言われる事もない。

 富士山の頂上も絶景だったけど、シーズン中は人が多すぎるのが難点。


 あれ?

 ふと疑問が。


 いや、降りてから考えよう。


 今度はアキナと正面から抱き合う。そして背後からハルナに抱きしめられる。二人に挟まれて空を降下していくのだが、箱に乗ってないエレベーターみたいだった。


 途中、サァベルがひょいひょいっと降りていくのを見たけど凄かった。あれだけ動ける奴はいないよ。

 サァベルが俺達に気がついて、笑顔で手を振っていたので気をつけろと叫んだら、アキナに耳元で叫ぶなと怒られた。


 ごめんなさい。


 家まで戻ってくると、ルナリアやローズムーンとその家族に出会った。家を見学したいらしい。プライベートな場所は見せられないと断ってから案内した。


 操縦室を見せた時は、世界樹を一周してから元の場所に戻した時は、その滑らかな動きに驚いていた。

 ちょうどベティ先生が、食堂で甘味を幸せそうに食ってたので浮遊石について説明してもらう。


 「あとで駄賃に甘味を所望するのじゃ」

 「マッサージもつけるから、よろしく」


 二人の家族は浮遊石について、関心を持ったようだが、手に入れるのは不可能に近いと聞いて残念そうだった。

 やはり、世界樹の上下移動は大変なので、エルフには重要な問題みたいだね。

 さらに関心を持ったのはスライムによる浄化についてだった。家のトイレの清潔さに驚いたみたいで、スライムを使ってると聞いて、さらに驚いていた。

 

 これは我が家のスライムを譲って、お試しで両家で使用してもらう事になった。後々、便利と認められたら、エルフの里で使えば良いしな。


 「お礼というわけでもないが、君に面白い事を教えよう。このユグドラシルの何処かに特別な木の実がある。探してみるといいよ」


 この木の実は世界樹に宿る木の精霊王が、気に入った者に贈るプレゼントだそうだ。七色に光ってるので、すぐに分かるらしい。


 「お父さん。私、本気で怒るよ」

 「彼なら本当に見つけるかもよ?」


 ルナリアが言うには、御伽噺で木の実を見た者はいないそうだ。でも、面白そうなので話に乗るのだ。俺の為に怒ってくれたルナリアにお礼を言っておこう。


 翌朝、いつもより早く目が覚めた。なので散歩に出かける。世界樹には危険な魔物はいないと聞いてるので安心だ。


 木の枝の一本を選んで進んでいく。木の枝と言っても、メチャクチャ太い。我が家を縦に三つは並べないとダメなくらいだ。


 そんな枝も段々と細くなり、幅が3メートルくらいになってる。そろそろ前に進むのが怖くなってきた。

 そんなとき、さらに前の方で何か光ってるのが見えたので、もう少し進んでみると、七色に輝く木の実を見つけた。

 

 もっと人跡未踏の場所にあるのでは、と疑問に感じたが、「お前一人じゃ無理だろ?」と言われた気がしたので、仰る通りですと頷いた。


 せっかくの好意だし、もらおうとしたが、ここで閃いた。


 「俺のパートナーになれ!」


 七色の木の実にやってみた。

 あっ!!

 光始めたよ!?

 モンスターじゃないのに、マジっすか!?



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