第六十八話 南大陸
嵐をやり過ごしてからは順調に空の旅を続けている。そして、ついに南の大陸を発見したのだ!
「食料の補充もしたいよね」
ミッキーの言葉に頷く。
保管場所に困らないのだから、どれだけ物資はあっても良いのだ。
綺麗な砂浜が続く海岸に着陸すると、第一飛行隊に索敵任務を任せた。
一時間後、帰ってきた兵隊蜂っ子達が言うには、この付近に危険な存在はいない、との報告だった。
そこで俺は全員に上陸許可を出して、しばしの休暇を楽しませることにした。
屋外の調理セットをミッキーに出してもらい、バーベキューなどの準備をしてると蜂っ子達も手伝ってくれる。
それが終わると、全員が砂浜へ走っていったが、途中で飛び跳ねてるのは砂が熱いからだろうな。
遠浅の海が太陽の光を反射して実に眩しい。それ以上に眩しいのは、我が家の美少女達か。何しろ、水着が無いので全員裸で遊んでる。
ヌーディストビーチって、こんな感じなんだろうか。我が家以外は誰もいないし、ヌーディスト・プライベートビーチってとこか。
俺も全裸になって海へ走っていくが、砂がヤケドするんじゃないかってくらい熱い。見かねた蜂っ子が波打ち際まで運んでくれた。
透明度の高い、膝くらいまでの深さの海が一キロくらい沖まで続いてる。その先は青い海になってるから、急激に深くなってるんだろう。
まぁ、あんな所まで行く奴はいないよな。
俺はサァベルとリルを誘って、三人で砂浜で城をつくって遊んでた。気がついたら夕方で、時間も忘れて遊んだのは、いつ以来だろう。
近隣を探検して遊んだ蜂っ子に教えられて、湧水を湛えた池で、体を洗って砂を落とした。二人が洗ってくれたので、お礼に体を洗う手伝いをしてやったが不評だった。
「いつまで同じとこを洗うの?」
「砂なんか入ってませんわよ。指を入れないで下さいませ!」
夜、みんなで楽しく食事を済ませて、自室に戻ったあたりから、日焼けしすぎて背中の痛みが我慢できなくなってきた。
ライムの部屋を訪ねて事情を話すと、クスクス笑いながら状態異常無効を付与してくれた。とても楽になったので、その後はライムと楽しく会話をして過ごした。
「ライムは海は入らなかったのか?」
「スライム娘と一緒に入ったわよ。ほら、少し焼けてるでしょ?」
服を少しずらして見せてくれた。
「この前の続きをしようよ」
と、ライムに囁かれたので、二人きりの時間を過ごしたのだった。
体を洗った池で真水の補充をした後、大陸の内陸へと進んだ。草原に林、森に川と景色は変わらない。
「報告! この先、五キロ地点で襲撃を受けてる村が有ります。助けますか?」
「勿論だ!」
すぐに、第一飛行部隊、第二飛行部隊に出撃命令を出した。24名が素晴らしい速度で飛んで行く。
伝令の蜂っ子に、手の空いた者は甲板に出て、いつでもニードル攻撃を出来るようにしろと言って回らせる。
もう一人の蜂っ子にサァベル、リル、ユーリ、ミッキー、ライム、ミスリーン、イオリに戦闘準備をするように伝えさせる。
「いざって時は伝令が二人じゃ足りないな」
「じゃあ、普段から五人くらい用意する?」
今日の操縦を担当するハルナが聞いてきたが、普段は二人でも多いと思ってたんで、即答出来なかった。
伝令が戻ってきた時に、二人ついてきた。キーラとベティだ。
「私は行かなくていいの?」
「襲われた村の事情次第だけど、キーラには分身作成をフル活用してもらうかもしれないから、万が一にも怪我は困るんだ」
「ユーリの回復があるのに。過保護さんね」
キーラは納得したようだ。
「ワシは何故、声をかけてもらえんのじゃ?
まさかとは思うが、役立たずと思ったか?」
寝て過ごすとか言った癖に、緊急時に呼ばないと怒るのかよ。
「ベティ先生には、いざって時に助けてもらうつもりだったんだけどな。ずっと寝てるって宣言したクセに怒るのかよ」
自分の発言を思い出して何も言えなくなったらしい。
「蜂っ子達は可愛くて仕方ないのじゃ。万が一にも死なせたくないのでな」
孫を溺愛する老人みたいだな。キーラは我が子を死なせたくないと言ってくれたベティに微笑んでいる。
村に到着すると戦闘は、すでに終了していた。蜂っ子達に戦死及び負傷者は無しだった。死体を検分すると、ブタのような頭部に人間のような体をした亜人だった。
中央都市のあった大陸には、こんな奴らは存在してなかったよな。
「ありがとうございます」
この村の村長が礼を言いに来た。その背後には村の住人達がいるけど、あまりに少ない。事情を尋ねると、男は皆殺しで運が良ければ使い捨ての労働奴隷にされるらしい。
女は絶対に殺されないが、それはオークの子を孕む為だそうだ。産めなくなった女は殺されて、食われるらしい。以前、奇跡的に救助された女性の証言が残ってるんだとよ。
胸糞悪い話だ。
アース・クロニクル・オンラインには、そんな連中は居なかったんだがなぁ。俺と同じ別世界から来たのか、蜂っ子達みたいに生まれ変わった存在か。
「助けるぞ!!」
我が家の家族に反対者はいなかった。
それが俺の誇りだな。
「ありがたいが、やめなされ。オークは5000もいるのです。皆様は強い。だが少ない。やめておきなさい」
身内を見捨てるような発言を、誰がしたいだろうか。だが命を助けてもらったからこそ、身内をを捨てても止めろと忠告するのが、この村長さんの誠意なんだろう。
「そうか、じゃあ仮に助けだしたら、美少女は俺がもらうぞ。俺は美少女が大好きなんだ」
そう言ったら、蜂っ子達め。大爆笑しやがった。「スケベー」「エロ男」「巨乳スキー」とヤジが飛ぶ。言った奴の顔は覚えた。あとで泣かす!
「助けてもらえるならば、どうぞ差し上げますので、どうか・・・どうか、よろしくお願い致します」
泣いている村長さん見たら、もらい泣きしそうになっちまったよ。だから、ぶっきらぼうに挨拶して、その場を離れた。




