第六十二話 試験飛行
高さ30メートルで静止してた家は、ゆっくりと動きだした。速度がどの程度まで出せるか分からないが、今のところは人が軽くランニングしてるくらいの速さだろうか。
蜂っ子達は働く蜂っ子も戦う蜂っ子も、無邪気に喜んで一緒に飛び始めた。それを見て俺も一緒に飛びたくて仕方なかったよ。
最初は無秩序にバラバラに飛んでいたけど、そのうち兵隊蜂っ子は、以前に決めた小隊で編隊飛行を開始した。
四小隊のうち、どこが見ていて美しく飛んでるかを競い出したので、ブルーインパルスかよって叫んでしまった。
その叫びを耳聡い蜂っ子が聞いていて、それは何かと質問してきたのだが、どう答えたものか困ってしまう。
「衣装を青で統一してて
誰よりも速く飛ぶんだ。
しかも、飛ぶのが上手い。
編隊飛行なんか天才で
しかも強いんだ」
結局、適当に答えた。
どーせ、ブルーインパルスの事を知ってる奴なんて、こっちの世界にはいねーし。
数日後、兵隊蜂っ子は青い戦闘服を着て空を飛んでいて、それを見た俺は、あの戦闘服、カッコいいなと感心する羽目になった。
しばらく甲板で景色を楽しんでいたが、操縦室を見に行く事にする。とても大切な事だからな。
操縦室は進行方向の前側にあった。まだ二層目フロアは壁も何も無いから、すぐにわかる。
そこには設計チーム四人組がいて、慎重に操縦していた。見てみると、船でいう操舵輪のようなものは無く、石板のようなものがあった。
「あら、景色はもういいの?」
「乗り心地は如何?」
アキナとフユミが尋ねてきた。
「景色は完成後に改めて楽しむよ。乗り心地は最高にいいね。もう、お前らを専任パイロットにしちまうか」
「ありがたいけれど、姉妹達の中に私達以上の適任者がいるかもね」
と、ナツミ。
それなら無理に決める事もないか。ところで、今になって気がついたのだが、操縦室の前面って、かなり大きいガラス板がハマってるんだけど、どうしたんだ?
こちらの世界にもガラスはあるし、かなり普及してるが、操縦室に使用されたガラス板のように大きくて厚みがあり、透明度が高いものは無かったはずだ。
「ワシが作ったのじゃ。蜂っ子達が何やら困っていたのでな」
「ありがとう。あとで礼に肩を揉むよ」
「うむ」
「腰も揉ませて頂きます」
「うむ」
「胸と尻も揉ませて頂きます」
「うむ・・・む〜?」
空飛ぶ家は三日ほどで中央都市に到着したが、上空を飛ぶと大騒ぎになるので、迂回して都市北部の荒野に着陸する。
俺はサァベルとライムを連れて、久しぶりに自宅へ戻った。だが忙しいのは、これからだ。
まず、冒険者ギルドへ向かい、受付嬢に依頼が終了した蜂っ子は、次の依頼は受けないと伝えておいた。
「承知しました。ですが常連さんは落胆するでしょうね」
「こちらの仕事が終われば、すぐに依頼は受け付けますので、よろしくお願いします」
次に治療院と衛生管理ギルドへ移動し、しばらくスライム娘を休ませると伝える。衛生管理に関しては、スライムが仕事してるのでライム達が不在でも困らない。ギルド長に書類仕事を押しつけるだけなので罪悪感は感じないのだ。
治療院は割と患者が来るので、休めそうにないから、空飛ぶ家から通ってもらう事にした。元宿屋の家でも良かったんだけど、ユーリと二人きりになると、マズイ娘がいたからね。
こうして蜂っ子を総動員しての、全力工事が始まった。ログハウスで寝泊まりしながら、昼夜三交代で突貫工事が続く。
周囲には危険な生物はいないので、ログハウスや空飛ぶ家の近くに、焚き火をしながら休憩する者もいたようだ。
ユーリは久しぶりに設計チームの連中に会ったのが嬉しいようで、笑顔で話かけていた。設計チームの四人も愛想よく受け答えしてる。
さすがだなーと思ったのは、ユーリってさりげなくボディタッチするんだよ。俺は出来ないんだよなぁ。
ある時、ナツミがユーリに頼まれていた。何でも、宿屋の家に忘れ物をしたんで、一緒に来て欲しいと。
今、宿屋の家は戸締りをしてはいるけど、一人で家に入るのが嫌って気持ちは分かる。もしかしたら不心得者が侵入してないとも限らないんだからね。
けど、ユーリの場合は下心が見えまくりだ。二人きりになって、ナツミを抱こうってつもりなんだろう。何しろナツミは、美少女揃いの蜂っ子の中でも群を抜く美少女だ。
でも、ユーリは蜂っ子達の恐さを分かって無いんじゃないかな。ナツミの冷たい笑みを見た俺は、本当にそう思う。
ナツミの目配せをハルナは見た。
ナツミとユーリが出て行くと、ハルナはキーラに知らせに行く。キーラが周囲の蜂っ子に指示を出すと、ログハウスの外にJKサイズの蜂っ子が20人くらい整列してた。
キーラを先頭に20人が歩き出す。護衛なのか、兵隊蜂っ子のファントムとイーグルまでいた。
それ以外の蜂っ子は何事も無かったかのように、空飛ぶ家の建築作業に従事している。
「キーラ、どこへ行くんだ?」
「自宅ですよ」
「自宅?」
「はい。私の可愛い娘を迎えに」
ナツミに負けないくらい可愛い笑顔で、キーラは答えた。でも物騒な感じがする。これはけして、気のせいじゃないはず。
サァベルとリルも俺についてきた。空飛ぶ家にはゴーレム娘も兵隊蜂っ子もいるから大丈夫か。
やがて宿の自宅につくと、ナツミの声が聞こえてきた。宿の一番奥、俺の部屋からだ。ドアが僅かに開いてる。
俺は神経質で他人が聞き見を立ててたら嫌だから、ことのほか防音には気を使うのだ。だが開いてりゃ意味ないな。
まぁ誰もいないしな。
ナツミは派手に声をだしてる。サァベルとリルは真っ赤だ。でも、キーラ達は冷んやりと冷たい笑みを浮かべてる。
「娘を弄ばれてるからって、ユーリを拷問とかはダメだぞ」
女の子同士だからって放置してた俺が言えた義理でも無いんだよな。
「しませんよ、そんな無粋な真似」
「だから邪魔しちゃダメですよ」
「女の子同士の話し合いですからね」
そう言ってドアを開くと、俺のベッドで二人の美少女が見えた。そしてユーリが驚いて、こちらを見てるのも。
だが、無常にもドアは閉められて施錠されてしまった。
一時間もすれば出てくるかと思っていたが、なかなか出てこない。見るとルリとサァベルは、真っ赤になってモジモジしてる。
「どうした?」
「中の声が聞こえるから」
どうやらユーリは、キーラと蜂っ子達に激しくお仕置きされてるらしい。お仕置きの内容は分からんが、休む間もなく複数の蜂っ子が交代しながらやってるようだ。
サァベルとリルが真っ赤になってモジモジしてるのは、中の様子に当てられたからって事か。
「建築現場に戻ってもいいぞ」
と言ったらリルが戻っていった。サァベルは残るらしい。俺に体を密着させて時々、獣耳を動かしてる。中の声を聞いてるのだろう。
「ユーリが・・・泣きながら許してって言ってますわね」
それを聞いた瞬間に、俺も我慢できなくなってしまった。サァベルを肩に担ぎ上げて、空き部屋に行くとサァベルに欲望を吐き出した。
一緒にベッドで寝てると、サァベルが俺の頭を撫でている。こういう時って本当に優しい顔で俺を見てるんだ。
ユーリの声が聞こえるか確認したら、まだ聞こえると言う。
「当分は終わりそうに無いですわよ」
それならと、二人で風呂を沸かして一緒に入った。体を洗いあってから、部屋に戻ってシーツを片付けた。
食堂に戻るとリルがいた。食事を買ってきてくれたらしい。腹が減ってたので、これは嬉しかった。
リルを抱きしめて頭を撫でてたら、リルはサァベルを見た。二人で微笑みあってる。示し合わせてたのかなと思うが、まぁいいや。
「あいつら、腹が減らねーのかな」
「何人か、鞄を持ってたでしょ?」
リルが教えてくれたけど、全然気がつかなかったな。これは明日まで待たされるかも。
サァベルが建築現場に戻るか聞いてきたけど、戻ってもやる事が無いんだよな。だから、ここで待つ。入り口を施錠して、サァベルの部屋で三人で遊んだ。
やがて36時間も過ぎただろうか。俺の部屋が開いた。キーラが手招きするので、中に入ったんだけどさ。
部屋の中が女の子の匂いで凄いんだ。臭いわけじゃないんだけどね。
そして部屋の中は20人もの美少女がいて、キングサイズのベッドにはユーリが、ぐったりしてる。
「さぁ仕上げをどうぞ」
逆らえない雰囲気だったし、大勢の蜂っ子達に可愛がられてたユーリは刺激的なだったので、男女の営みをユーリに行った。
サァベルに散々出したのに、一日過ぎると復活するようで、ユーリのなかに大量に絞り出した。
すると、気持ちの悪い何かが、ユーリの身体から抜けて空中で消滅した。




