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第三十四話 ジャイアントキラービー空中戦

 もしかしたら、ジャイアントキラービーの上位種では、との懸念をセージュがしてるが、今さら戦闘をやめるわけにもいかないだろう。


 やるしかない。


 「妖精達! 第二射用意!」


 妖精達が再び両手を前に出して構える。


 「用意よし!」

 「撃てッ!」


 魔法のエネルギーの弾幕がキラービーの大群に命中したようだ。


 「キラービーが、たくさん落ちてますわ」


 サァベルが教えてくれる。


 ジャイアントキラービーの大群は、俺達を敵と認定したようだ。黒い霧のように見える大群が、こちらに向かって飛んでくる。


 「妖精達、迎撃に向かえ!!」


 セージュの号令に妖精達が次々と飛んでいく。五人で小隊を編成してるようだ。妖精は魔力で光ってるので遠目からもわかりやすい。それが乱れた空中機動しているので、そこかしこで空中戦が始まったと分かった。


 「サァベル、リルは地上付近の敵を倒せ。ミッキーは戦闘よりも落ちてきた妖精の保護を優先だ」


 三人が飛び出していく。

 サァベルは遠距離攻撃を持ってるが、乱戦になってるので、攻撃をしにくいようだ。妖精達から離れた位置にいるキラービーを撃ち落としている。


 リルは妖精を追い回すキラービーを目掛けて、跳躍しては叩き落とすを繰り返していた。北米で航空兵器を相手に戦うガン◯ムみたいだったので、つい言ってしまった。


 「ライムさん。アム・・・リルがあんな戦い方をしている」

 「能力で跳躍を持ってるなら、ああいう戦い方になるのでは?」


 異世界に来て、サァベル達を仲間に迎えて楽しくやってる。でも、唯一ガッカリなのが、ネタが通じない事だよな。


 まぁ仕方ないんだけどさ。

 つーか、知ってる方が恐いんだけどね。


 ミッキーは歩き回りながら、時々しゃがんでるので、落とされた妖精を回収してるのだろう。


 ウチのサァベルやリルを見てると、かなりの数を撃墜してるけど、それでも足りないんだ。戦いは数だよ、アニキ。


 20匹ほどジャイアントキラービーが、こちらに向かって飛んでくるのが見えた。直掩の10人が飛んでいく。


 ライムが俺の前に出た。ライムの足元にいたスライム5匹も俺を守るように前に出る。たぶん何の役にも立たないけど、その気持ちは嬉しい。


 この戦いが終わったら、パートナーにして可愛がってやろう。


 直掩の10人は強かった。前方から飛んでくるキラービーを魔力弾で撃墜し、さらに飛んでくるのを回避してから、振り向きざまにキラービーの背中を撃つ。

 そんな感じでテンポよく倒すのだが、いくつもの方向から複数のキラービーに狙われると、対応が遅れてやられてしまう。

 今も二人の妖精が落とされた。スライムが落ちた二人を回収してきたので、ユーリが回復魔法をかける。

 酷いな。妖精の一人は針で腹を貫かれてたし、もう一人は片腕を食い千切られてた。


 それを完全に回復するんだからユーリは凄い。


 完全に回復してる自分の体を見て、二人の妖精は驚いてたが、すぐに空へ戻り戦いに加わった。


 「スライム達、戦場に倒れてる妖精を拾ってくるんだ」


 スライムが戦場に出ると、ミッキーが戻ってきた。異次元倉庫から20人ほど負傷した妖精を運び出すと言うので手伝った。

 これも酷かった。腹を食い破られて、内臓が露出してる子もいて、何故生きてるのか不思議なくらいだったが、ライムに言われてしまった。


 「私が身体再生を付与してるから、悪化するだけって事はありえないよ。それにミッキーの倉庫は状態を保存するし」


 ミッキーもうんうんと頷いている。


 こうして話してる間にも、ユーリは酷い怪我をしてる妖精から回復魔法をかけている。さすがに真剣な表情で、とても美しい。いつも、こんな顔してれば良いのにな。


 「セージュ、魔法を使おうよ」


 リナがセージュに言うんだが、魔法は使えないと言ってなかったか。セージュは浮かない表情だったが、覚悟を決めたように頷く。


 「仕方ない。リナ頼む」

 「任せて!」

 

 リナはセージュに肩車のように乗る。


 「魔力回路を構築するよ。構築完了。セージュ、いつでも撃てるよ」

 「了解」


 セージュは片手を真上にあげると、三発の魔法弾を撃った。それは50メートルくらい上で、虹色に輝きながら大きな爆発音を出した。

 すると、空中戦をしてた妖精が一斉に下へ降りてゆく。


 「退避せよって意味の発光信号なの」

 

 と、リナが教えてくれた。三発撃ったのは、全員が確実に分かるように、という意味らしい。


 「極炎魔導砲」

 

 セージュが呟く。それが技の名前らしい。


 「セージュ、シンクロするよ。標的照準は私に任せてね」

 「頼む」

 「照準合わせ、10、20、30、40・・・80、これが限界よ」

 「了解、撃つッ!」


 80の炎の螺旋が確実に敵を貫く。貫いても、なお消えず、その軸線上にいた他の蜂も巻き込んで、燃やし尽くした。そして、そのいくつかの軸線上にはジャイアントキラービーの巣もあった。


 妖精達のエネルギー弾と違い、セージュの魔法の螺旋は巣を大きく破壊し、激しく炎上させたのだ。


 巣が炎上したせいか、キラービーの動きに精彩が無い。その逆に妖精の士気は上がった。下方に降下した後、態勢を立て直した妖精達は、上昇しながら敵に攻撃を仕掛けた。


 油断は禁物だが、これで戦いの天秤は、こちらに傾いたようだ。

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